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人と人の出会いを考えるアートプロジェクト「蛸みこし」/アーツカウンシルしずおか

人と人の出会いを考えるアートプロジェクト「蛸みこし」/アーツカウンシルしずおか

“視点をかえる 発想をひらく”をテーマにさまざまな「住民主体のアートプロジェクトの支援」を行う『アーツカウンシルしずおか』。「そもそもアートプロジェクトって何?」を考えるきっかけとなる芸術探検家・野口竜平さんの作品「蛸(たこ)みこし」についてご紹介。

『アーツカウンシルしずおか』とは

『アーツカウンシルしずおか』

『アーツカウンシルしずおか』のキャッチフレーズは、“視点をかえる 発想をひらく”。

地域資源の活用や社会課題に対応する「住民主体のアートプロジェクトの支援」を活動の中心としながら、物事の見方に変化を促し、発想を広げるサポートをする組織だ。

それらの支援活動を通し、まちづくりや観光、福祉、教育など社会のさまざまな分野においてイノベーションが生まれる、創造的な地域づくりに貢献している。

『アーツカウンシルしずおか』活動の様子

アーツカウンシル長の加藤 種男 (かとう たねお)さんは、“芸術文化”と私たち地域住民の関係性についてこう話す。

「芸術文化は本来、お祭りに代表されるように、私たちの生活の中に根付いたものでした。自分たちの地域で、みんなでつくってみんなで楽しむお祭りは、すべての人がつくり手となります。そこでは、交流と包摂(ほうせつ)こそが重要であり、さらには他者との違いや混交を創造の源泉ととらえて楽しむものでした」

『アーツカウンシルしずおか』活動の様子

「アートプロジェクト」って何だろう?を考えるイベント

2023年3月12日に行われた『アーツカウンシルしずおか』の主催イベント「おもしろい人に会いたい‼︎ 2023 しずおかアートプロジェクト見本市」では、わたしたち静岡県民が「そもそも『アートプロジェクト』って何だろう?」を考えるきっかけをつくりながら、大人も子どももお祭り気分で遊べる1日としてさまざまな企画を用意した。

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※イベントはすでに終了しております

アートプロジェクト「蛸みこし」って?

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『アーツカウンシルしずおか』の主催イベントで行われた企画のひとつ「蛸(たこ)みこし」を知っている人はいるだろうか。

「蛸みこし」とは、芸術探検家である野口竜平(のぐちたっぺい)さんの作品だ。

芸術探検家・野口竜平(のぐちたっぺい)さん

「蛸みこし」は、「蛸の脚はその1本1本に独立した知性がある」という研究に着想を得てつくられた。

しなやかな8本の「竹ひご」を海の生き物に見立て、それぞれの足を1本ずつ8人の人間が息を合わせて担ぐと、その瞬間だけに存在する小さな「共同体」ができあがる。

「蛸みこし」を担ぎながら自然とみんなで息を合わせることと、一人ひとりバラバラな意識を持ったままでいることを繰り返すと、刻々と変化する8人の関係の様相が、蛸の踊りとなって現れていくのだ。

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—------蛸は「私」が動かしているのか、それとも「誰か」に動かされているのか。

次第に曖昧になっていく感覚の中で、「蛸みこし」は私たちに人と人の出会いや集まりについて再考するきっかけをつくってくれる。

静岡県を旅する「蛸みこし」

2023年2月富士市吉原地区から出発し、「蛸みこしを自分も担いでみたい!」という人に出会うための“県内各地を旅するツアー”を野口さんと一緒に実施した。

「蛸みこし」県内各地を旅するツアーの様子

ツアーの中では、「マイクロ・アート・ワーケーション」でホストとして参加した森町、三島市、東伊豆町の3団体にロケ地の提案や担ぎ手への声かけなどを依頼し、地域の人々が「蛸みこし」を担ぐ様子を動画で撮影。

マイクロ・アート・ワーケーションとは

それぞれの地域で行われた「蛸みこし」の様子を、映像で見てみよう。

森町編

三島編

富士吉原編

東伊豆編

必ずしも“担ぎ手”であることだけでなくそれに遭遇することや見守ること、それらを通して何かしら考えることもアートプロジェクトへの“参加のあり方”なのではないかと考えさせられた。

さらに、「蛸みこし」を通して気づいたのは、自分自身(個人)の思いそのものが、地域社会を動かすきっかけになることや、関わるみんなが自身の考えを伝え合い、互いの価値観の違いを見出していくこと、そしてその違いこそが面白いと思えることの素晴らしさだった。

“アートプロジェクトの可能性”は、アーティストや地域住民、社会課題へ立ち向かう企業などとの関わりの中で大きく広がっていくだろう。

『アーツカウンシルしずおか』そのほかの取り組み

『アーツカウンシルしずおか』では住民主体のさまざまなアートプロジェクトが静岡県内で生まれてくる仕掛けとして多くのプログラムが展開中だ。
令和4年度は専門的なアプローチ手法を習得し、他者に伝わる文章作成の方法を実践的に学ぶためにアートライティング講座「かきかたきかく」を実施。令和5年度はアートプロジェクトを企画運営していくための講座として、アートプロジェクトのつくり方「きかくの場」の実施を予定。

また、高齢になってからも独学でユニークな表現活動を続ける人たちを取材し、そうした人たちが生み出す表現を「超老芸術」と名づけ紹介をしている。

「超老芸術」とは

その他、静岡県内を中心に文化・芸術を軸として活動を行う方々をサポートする無料相談窓口が設置されているので、ぜひ利用したい。

『アーツカウンシルしずおか』の無料相談窓口

『アーツカウンシルしずおか』ではいろいろな取組や情報を発信しているので、ホームページやSNSに注目しよう。

『アーツカウンシルしずおか』HP

『アーツカウンシルしずおか』Instagram

画像提供:「アーツカウンシルしずおか」

更新日:2023/3/31

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