【第4回】秒速5センチメートル(2007年)・言の葉の庭(2013年)
美しすぎる映像と詩的な表現にひれ伏す
筆者:こしあん
映画・海外ドラマ、読書、お笑い、カメが大好き。
怖がりのくせにホラーとミステリーが大好きで、生まれ変わったらFBI捜査官になりたい。
休日にどれだけ家にこもっていてもまったく苦にならない超インドア派。
ゆるい解説と小学校から上達していないイラストで、好きな映画を紹介していきます。
秒速5センチメートル(2007年)
「うおおおおーーー、せつねーーー」と叫ばずにはいられない作品。
絵がキレイすぎてせつなさが余計に増します。
雪のふり方とか、桜の舞い方とか、星がちりばめられた夜空とか、もう芸術的!!
都会の喧騒や無機質さ、電車を待つホーム、清々しくのびやかな田舎の風景……。
アニメーションとは思えないほど、あらゆる場面の風景がものすごくリアルで、構図やカメラワークも素晴らしい。
クサくあざとくならない程度の絶妙に詩的な描写とカット割り。
こういうの大好きです♪
ストーリーは誰もが思春期に妄想しがちな、ポエム度の高い純愛物語。
この年齢になると、こういったお話はちょっとくすぐったくて、実写だったらたぶん冷めちゃっていたと思うけれど、絵と音楽が素晴らしいので、素直にスーッと心にしみました。
映画自体が全編で約1時間、3話構成の連作短編になっているので、とても見やすく、ダラダラと無駄に長い映画より、よっぽど満足度が高いです。
美しくて、せつなくて、ピュア
主人公の小・中学時代~高校時代~社会人(現在)という流れになっていて、人と人の関係や感情などいろいろな感覚をさまざまな【距離】で例えているところもグッときます。
美しくて美しくてせつない。とにかくピュア。
山崎まさよしの『One more time, One more chance』が流れる回想シーン。
絵と曲とタイトルのタイミングが神がかっていて、トリハダものでした。
探しちゃうよね~。
交差点でも向かいのホームでも、こんなとこにいるはずもないのにね~。
改めてこの曲の歌詞を読んでみると、単なる失恋ソングではないのかな、と気付きました。もっと深くて重い。
この映画のために作られた曲ではないので当たり前ですが、全部が一致するわけではないけれど歌詞の一部分の感情はリンクするし、自分の過去の失恋の記憶なども呼び起こされて、うわーーーってなります。
しかし、実際にこの映画の主人公のような男の人がいても、「あらやだ、ステキ」とは思えないですね。。。
「おまえいつまで中1の初恋引きずってんだよ、ウジウジしてんなよ、もっとちゃんと現実を生きろよ」って思っちゃいます。
ロマンがなくてすいません……(-_-;)
でもきっと私は、どこかで羨ましいんだと思います。
こんなにきゅんきゅんするような中学・高校時代を過ごし、せつなくも美しい思い出として心に存在していることが。
こういう作品を定期的に観て、汚れきった心を浄化させなきゃな、と思いました。
せめて映画くらいは、ピュアな心で観たいものです……。
言の葉の庭(2013年)
こちらも、葉っぱに落ちる雨のしずくとか、水面に映るキラキラした太陽の光とか、実写かよ! っていうか、実写よりキレイ!!
なんだこれ、本当にすごい。美しすぎて、ずーっと観ていたい。
憂鬱な雨がちょっとだけ好きになります。
そして、エンディング曲!!
高校生の頃、カセットテープで死ぬほど聴いた、大江千里の『Rain』を、秦基博がカバーしていたなんて!!
泣くわー、これは泣くわー。ズルイわー。
映像だけでなく、言葉がとても凛としていて美しいんです。
『鳴神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ』
(なるかみの すこしとよみて さしくもり あめもふらぬか きみをとどめむ)
意味:雷が少し鳴り響いて雨が降らないかな。そうすれば、あなたをここに留めておくことができるのに……
『鳴神の 少し響みて 降らずとも 我は留まらむ 妹し留めば』
(なるかみの すこしとよみて ふらずとも われはとまらん いもしとどめば)
意味:雷が鳴り響いて雨が降らなくとも、君が言うならここに留まるのに……
こんなセリフ、一度でいいから言ってみてぇーー
【今日のまとめ】
どちらも、今もっとも注目されるアニメーション作家・新海誠監督の作品です。
最新作『君の名は。』は、8月26日に公開され、早くも話題となっています。
今の私は『君の名は。』の余韻により、ちょっとしたことですぐ涙がこぼれる状態です。
そんな『君の名は。』については次回、たっぷりご紹介したいと思います!!
【今日のまとめ】
詩的な表現とくすぐったさに心がざわざわ。
ノスタルジックメーターが振り切れます。
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■秒速5センチメートル(2007年)
公式HP
■言の葉の庭(2013年)
公式HP
脚本・監督:新海誠
WOMOシネマ伝道師こしあんの『ぐるぐるシネマ迷宮』 筆者だけの思い出調味料満載の懐かし作品から、あまり共感を得られないようなディープな作品まで、密かな魅力いっぱいのシネマ迷宮へようこそ。出口はたくさんあります。