WOMO

Original

【第8回】チャーリーとチョコレート工場(2005年)

シュールとほっこりの絶妙なシーソーゲーム

筆者:こしあん
映画・海外ドラマ、読書、お笑い、カメが大好き。特技はイントロクイズ(80年・90年代ソング限定)。
怖がりのくせにホラーとミステリーが大好きで、生まれ変わったらFBI捜査官になりたい。
休日にどれだけ家にこもっていてもまったく苦にならない超インドア派。
ゆるい解説と小学校から上達していないイラスト(ときどき)で、好きな映画を紹介していきます。

チャーリーとチョコレート工場(2005年)

ハロウィンからクリスマスにかけて、だんだんと寒くなってくるこの時期に観たくなる作品。

ジョニー・デップとティム・バートン、この二人が組んだ作品は数多く、どれもとてつもない化学反応を起こします。
彼らにしか出せない独特の世界観は、私の好みのど真ん中。『チャーリーとチョコレート工場』は、そのなかでもトップクラスの好き度を誇ります。
次々と投げられる、不思議さ満点、あやしさ満点の変化球に、「もっとちょうだい、もっとちょうだいーーー!!!」となるのです。

おかしなチョコレート工場の経営者、ウィリー・ウォンカを演じるのがジョニー・デップ。
おかっぱ頭にシルクハット、燕尾服に手袋、そして杖。青白い顔に歯並びが異様にキレイ。独特の話し方で子どもじみた言動を連発する不思議ちゃん。
厳しい歯科医の家に生まれ、ハロウィンでもらったお菓子を燃やされるという悲しい思い出をもち、甘いお菓子を全否定する父に反発して家を出て、お菓子工場を建設。ゆえに、「両親」という言葉がうまく発音できないほど“家族”というものが嫌いで、冷めた一面がある。

こういうヘンな役をやらせたら、ジョニー・デップは世界一なのです!!
この役は最初、ジム・キャリーやアダム・サンドラーの名前も挙がっていたそうですが、いや~~~、ジョニー・デップで大正解です。


あらすじはというと……

雪の降りしきるなか、ボロボロで傾くほどの小さな家に、父と母、そしてそれぞれの祖父母4人(同じベッドで寝ており、ほぼ一日中そこにいる)の7人で暮らす少年・チャーリー。貧しいながらも明るくつつましく、家族みんなで肩を寄せ合って暮らしており、愛情をたっぷり注がれ、家族思いの心優しい少年に育っています。
この家の近くにある、ウィリー・ウォンカのチョコレート工場のお菓子は世界中で大人気。でも、その工場の内部は完全非公開で謎だらけ。ある日ウォンカは「生産するチョコレートの中に5枚だけ金色のチケットを同封し、それを引き当てた子どもを工場見学に招待する。さらにそのうちの一人には想像を絶する素晴らしい副賞がつく」という告知を出し、世界中がチケット争奪で大騒ぎとなります。

健気なチャーリーに泣かされる

チャーリーがチョコレートを買ってもらえるのは、一年に一度、自分の誕生日の時だけ。
誕生日にようやくチョコレート一枚ですよ!!!
ほぼ毎日、甘いものを口にしちゃってる自分が恥ずかしいですよ。

そんな境遇でもチャーリーは、不満なんかまったく口にせず、きらきらした瞳でそのチョコレートを両親から受け取り、さらにそれを家族みんなで分けようとするんですよっっっ!!!
どうですか、奥さん、泣かせるじゃないですか~。

おじいちゃんが、「これはおまえがもらったものだよ」と言っても、「だから自分の好きにするんだ」と言って、みんなで分け合って食べるんです。
このシーンでもう号泣(;;)

また、二人のおじいちゃんがまるっきり正反対のキャラクターで、一人は優しく陽気なおじいちゃん、一人は頑固で毒舌なおじいちゃん。でも、それぞれ違う角度からチャーリーを支えるんです。
金色のチケットを手にした時、貧しい家のためにそれをお金に換えようと言うチャーリーに、毒舌おじいちゃんが言った言葉がかっこいい!

チャーリー一家の素晴らしさが胸にしみます。まさに【ボロを着てても心は錦】です。


それに比べて、金色のチケットを手にする他の子どもたちの生意気ぶり、甘やかされぶりったら!!!

肉屋の息子で、常にチョコレートを食べ続けている食いしん坊の肥満少年・オーガスタス。
お金持ちの家庭で、チョコレートを買い占めてチケットを手に入れたわがまま少女・ベルーカ。
いつもガムを噛んでいて、「一番」や「優勝」に異常にこだわる少女・バイオレット。
自分の考えがすべて正しいと思い、それを曲げない秀才気取りの反抗的な少年・マイク。

ムカつくキャラクターのオンパレード。
でも、このわかりやすい対比が上手いですよね。

チョコレート工場の見学の途中、言うことを聞かない生意気なガキたちが、一人また一人とイタイ目にあうんですよ……クックックッ……。胸がすーっとします。

そのシーンで、ウンパ・ルンパという小人がたくさん出てきて、歌って踊るのですが、これがもう傑作で。
悪ノリがすぎるのですが、言うことを聞かない、自分勝手で生意気な子どもたちへの戒めなんですよね。
工場内の色使いや装飾も、悪趣味なのかポップでオシャレなのか、そのギリギリのところをついてきて、それがたまらなく楽しい。

【今日のまとめ】

ちょうど東急ハンズでウィリー・ウォンカのチョコレートを見つけたので買ってみました。
キャラメル味とイチゴ味があり、店先で5分くらい真剣に悩みましたが、おそらくキャラメルは鬼のように甘いだろうと判断し、イチゴ味に。どうせなら両方買いたかったのですが、1枚500円もするんで……輸入菓子ってお高いわね~。

……イチゴ味で正解でした。たしかに日本のチョコレートよりは甘いのですが、イチゴの甘酸っぱさとパフの香ばしさにより、甘さがおさえられていて美味しかったです。


甘いお菓子を誰かと分け合うしあわせ。
『チャーリーとチョコレート工場』は、それを教えてくれる映画です。



そしてこのほど、『チャーリーとチョコレート工場』の新作の製作が決定したとのこと。
ウィリー・ウォンカの若い頃を描くそうです。
ただ、ジョニー・デップ×ティム・バートンのタッグではないかもしれないですね。

それから、本場アメリカのユニバーサル・スタジオには、『チャーリーとチョコレート工場』をモチーフにしたレストランがオープンするそうです。なんともうらやましい~。
ぜひとも、日本にも作っていただきたい!!!



【今日のまとめ】
ジョニー・デップ×ティム・バートンの真骨頂
悪ふざけとイマジネーションの応酬




---------------------------------------------
■チャーリーとチョコレート工場(2005年)

出演:ジョニー・デップ、フレディ・ハイモア
監督:ティム・バートン

隔週水曜更新。次回の更新は11/9(水)です。

更新日:2016/10/28
コラムシリーズイメージ

WOMOシネマ伝道師こしあんの『ぐるぐるシネマ迷宮』 筆者だけの思い出調味料満載の懐かし作品から、あまり共感を得られないようなディープな作品まで、密かな魅力いっぱいのシネマ迷宮へようこそ。出口はたくさんあります。

よみものシリーズ