【第22回】「シズオカ×カンヌウィーク2017」に便乗
静岡市とカンヌは姉妹都市なんですよ
筆者:こしあん
映画・海外ドラマ、読書、お笑い、カメが大好き。特技はイントロクイズ(80年・90年代ソング限定)。
怖がりのくせにホラーとミステリーが大好きで、生まれ変わったらFBI捜査官になりたい。
休日にどれだけ家にこもっていてもまったく苦にならない超インドア派。
ゆるい解説と小学校から上達していないイラスト(ときどき)で、好きな映画を紹介していきます。
「シズカン」でフランス気分
5/13~5/28まで開催中のイベント「シズオカ×カンヌウィーク2017」。
今年で8回目となる「シズカン」。上映会やイベント、マルシェなど、静岡市内のさまざまな場所で盛り上がりを見せます。
▼シズオカ×カンヌウィーク2017
http://www.cannes-shizuoka.jp/
そして今年はなんと、シズカンとまちぽスタンプがコラボして、モバイルスタンプラリーを実施します!
対象会場を2つまわってスタンプをゲットすると、抽選で限定ワインをプレゼント~♪
▼詳しくはコチラ
https://womo.jp/column/detail/24829/
ぜひぜひ、いろんな会場を訪れて、イベントを楽しんでくださいね!
というわけで今回は、「シズカン」で特別上映される映画を3本ご紹介します。
アーティスト(2012年)
第84回アカデミー賞、作品賞・監督賞・主演男優賞・衣装デザイン賞・作曲賞の5部門を受賞した作品。
今のこの時代に、あえて白黒&サイレントで描き上げる、古き良きハリウッドの黄金期を舞台にしたロマンティックなラブストーリーです。
色やセリフのない世界で、俳優さんだけでなく、主人公の飼い犬役の“犬優”の細やかな演技が光ります。
・セリフがない(字幕での言葉はたまにあります)
・音がない(音楽はあります)
・色がない(効果的に色が使われるシーンもあります)
シブがき隊のデビュー曲「NAI・NAI 16」を歌い出してしまうくらいの「ない・ない・ない」尽くし。
無駄なものをそぎ落としたサイレント映画から観客が読み取るもの。
それは、トーキー映画(いわゆる普通の映画)よりも、受け手によってさまざまな違いがあるのではないでしょうか。
ヘタにたくさんの言葉で飾られるより、無言で見つめられるほうがグッとくるというもの。
私は、この映画のラブストーリー的な部分よりも、観客を楽しませる、笑顔にするという、エンターテインメントの素晴らしさと難しさについて考えさせられました。
そして、言葉のいらない上質なエンターテインメントは、世界中の人々の心を動かすことができるということを、少し羨ましく思いました。
この映画はハリウッドの黄金期を描いているけれど、実はフランス映画。
アメリカのお家芸である映画を題材にしたこんな素敵な作品をフランスに作られてしまったなんて、アメリカ的にはかなり悔しかったのではないでしょうか。
でも、その作品にアカデミー賞を受賞させるアメリカの懐の深さも素晴らしいと思います。
日本の国技である相撲界で外国人力士の活躍が目立ち、強い日本人力士がなかなか出てこないことに悔しさを感じつつも、相撲界全体が盛り上がるのは嬉しいし……。
なんていう複雑な感情に似てますかね?……似てないかも。
■『アーティスト』は、5/21(日)15:00~ 「MIRAIE リアン」コミュニティホール七間町で上映
ライク・サムワン・イン・ラブ(2012年)
昨年亡くなられたイランの巨匠アッバス・キアロスタミ監督による最後の作品。
第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式招待作品でもあります。
全編日本国内で撮影された日本語の映画で、高梨臨や加瀬亮が出演しています。
一番大きなポイントは、静岡がロケ地のひとつになっているということ!!
JR静岡駅前のロータリーで撮影が行われたそうです。
家康公の銅像が出てるんですよ~。
身近な場所が海外監督の作品に出ているなんて、それだけでテンション上がりますよね~。
この監督の作品を観るのは初めてでしたが、なんとも言えない不思議な空気感が漂う作品でした。
主人公の女性は袋井出身という設定なんですが、「名物が桜えびで…」というシーンがありまして。
静岡人からすると「チョット、チョットチョット!!」と、ざ・たっち並みのハモりでつっこみたくなりますが……まさか、これはわざとなのかっっっ!? 監督は桜えびは由比の名物だと知っていたのに、あえて袋井にしたのかっっっ!?
と深読みしちゃうような雰囲気の映画です。
ストーリーはというと、80歳を超えた元大学教授とデートクラブで働く女子大生、彼女の恋人である青年、それぞれの“一方的な愛”“うそとほんと”をめぐるドラマ。
1日にも満たない時の流れを追う話ですが、出てくる人がみんなちょっとヘンなんです。
そして「普通だったらそのシーン切り取らないよね」というシーンがいくつもつながれていきます。
説明も何もなく、細かい状況を淡々と映すことで観客に考えさせ、想像させていく。
特にドラマチックな場面や激しい展開があるわけではないのに、何か起こりそう、何か起こりそうという妙な緊迫感があるんです。
これって、ある意味、すごいですよね。
役者の方々も演技演技していない、ごく自然な感じで、リアルな質感というか、『こういう人いそうでいない』感じがおもしろいんです。
加瀬亮が、束縛が強すぎてちょっとアブナイ感じの恋人役なんですが、それがうますぎて、本当にいろんな役を演じられる人だなぁと大感激。
■『ライク・サムワン・イン・ラブ』は、5/28(日)13:30~ 清水中央図書館で上映
ブルース・ブラザース(1981年)
黒いハットに黒いサングラス、黒いネクタイに黒いスーツ。
映画を観たことがなくても、全身黒づくめのこの凸凹コンビはなんとなく見覚えがあるのではないでしょうか。
映画は、刑務所から出所してきた兄のジェイクを、弟のエルウッドが迎えにくるところから始まります。
ぽっちゃり体型のジェイクがいちいちかっこつけていて、さらにキレッキレのダンスを披露するシーンで爆笑します。
この二人は孤児院で育ったのですが、その孤児院が税金を払えずに立ち退きを迫られていること知り、危機を救うために奮闘するお話です。
昔のバンド仲間を探し出し、コンサートを開いてお金を集めようとするのですが、その途中でなんやかんやあっていろんな人たちに追われるはめに……。
とにかくハチャメチャでぶっ飛んだお話ですが、観ていて爽快で、とっても楽しい気分になれることは間違いナシ!
聴いたことのある曲がたくさんかかるので、思わず踊り出したくなります。
ブルース兄弟は、見た目は全然かっこよくないし、むちゃくちゃな行動ばかりするのに、なぜかだんだんかっこよく思えてくるのが不思議。
義理人情に厚く、人としての筋が一本通っていて、コレというこだわりを持ち続けているからでしょうか。
全編を通して、観ている人を楽しませようとする作り手の心意気が伝わってくる作品です。
■『ブルース・ブラザース』は、5/28(日)19:00~ 清水マリンパークで上映
清水マリンパークでは「海辺のマルシェ」として、たくさんの飲食店が集まります。
港の海風を感じながら、ワインやビール片手においしい料理を味わい、大きな野外スクリーンで映画を楽しめるなんて最高に贅沢ですよね♪
なかなか味わえない非日常体験なので、ぜひ足を運んでみてください!
隔週水曜更新。次回の更新は5/31(水)です。
WOMOシネマ伝道師こしあんの『ぐるぐるシネマ迷宮』 筆者だけの思い出調味料満載の懐かし作品から、あまり共感を得られないようなディープな作品まで、密かな魅力いっぱいのシネマ迷宮へようこそ。出口はたくさんあります。