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【第27回】意表をつくジャパニーズ・ヒーロー・ムービー3選

へんっ! しんっ!

筆者:こしあん
映画・海外ドラマ、読書、お笑い、カメが大好き。特技はイントロクイズ(80年・90年代ソング限定)。
怖がりのくせにホラーとミステリーが大好きで、生まれ変わったらFBI捜査官になりたい。
休日にどれだけ家にこもっていてもまったく苦にならない超インドア派。
ゆるい解説と小学校から上達していないイラスト(ときどき)で、好きな映画を紹介していきます。

意表をつくジャパニーズ・ヒーロー・ムービー3選

ヒーロー映画と言えば「マーベル」ですが、アイアンマンやスパイダーマン、スーパーマンのように、ド派手に悪と闘うヒーローより、ひっそり誰にも気付かれずに、実は誰かを救っているようなヒーローが好きな私。

そう、ミスチルの『HERO』の歌詞のような!
世界を救わなくたって、周囲の人の心を救っていれば、それはもうヒーローなんですよ!

そして今回は、バカバカしいけど意外と感動して泣けちゃう、日本のヒーロー映画を紹介したいと思います。

ゼブラーマン(2004年)

しまうま模様のコスチュームに、黒いマントをひるがえし、決めゼリフは「白黒つけたぜ!」。
この映画のスゴイところは、バカバカしい話を演技派俳優が勢揃いしてバカマジメに演じているところ。鈴木京香演じる“ゼブラナース”のコスプレ姿には、ビックリしすぎてのけぞりました。谷間スゴイ……。

原作はマンガですが、映画版の脚本は宮藤官九郎です。

もう10年以上前に観たきりですが、恥ずかしながら、当時はクドカンの存在を認識しておらず……。しかし当時からクドカンはクドカンだったんだな! と思わせてくれる作品ですね。大好きです!

誰もが心の隅っこに、子どものころに憧れていたヒーローが、ひざをかかえて座っている。「いい歳してバ力みたい」と言われても、そのヒーローを眠らせたり、消滅させてしまってはいけない。そんな気持ちを思い起こさせてくれます。

この映画を観た後、わたしの中のヒーローは「よいしょッ」と立ち上がり、軽いストレッチを始めていました。

逆境ナイン(2005年)

「それはそれ! これはこれ!」
なんという名言でしょう!!!

いかにもテキトーな言葉に見せかけて、実はものすごく深く心にしみる。罪悪感やうしろめたさに思い悩む人にとって、この言葉はどれだけ気持ちを軽くするでしょうか。

廃部寸前の野球部の監督を任されたナゾの新任教師サカキバラゴウ。彼は野球のルールをまったく知らない。けれど、部員がピンチの時に絶妙な名言を投げかける。
そしてその演出がすばらしく笑えるんです!
文字が地底から古代遺跡のように飛び出してきたり、宇宙から隕石のように降ってきたり。
原作のマンガのノリと手法をさらにダイナミックにバカバカしく実写化して、違和感なく楽しめる映画ってなかなかありません。

野球部員たちに次々と降りかかるありえない逆境に、思いきり笑えるだけでなく、それを乗り越えていく彼らの侍魂に感動をおぼえます。

校長が藤岡弘、野球部監督が田中直樹というキャスティングも絶妙。
主演の玉山鉄二は言うまでもなくカッコイイです♪

そしてこの映画の脚本は、これも当時は認識していませんでしたが、大好きな『勇者ヨシヒコシリーズ』の福田雄一でした。無意識のうちにビビッときていたんですね~。

ポストマン・ブルース(1997年)

単調で退屈な日々の生活に嫌気がさしている郵便配達員が、テロを企てる殺し屋・麻薬の運び屋に勘違いされて追われるという、ありえないほどバカバカしくておかしな話。

けれども彼はヤクザになった旧友のために、自信をなくして田舎に帰ろうとしている殺し屋のために、病で余命いくばくもない彼女との約束のために、理不尽な警察の攻撃に臆することなく(というか気付かず)、必死に自転車を飛ばして町中を奔走するのです。

誰かのために何かを贈るということの温かさと、一つのことを成し遂げる熱い思いに心を動かされることと思います。
なんて、そんなにお堅い話でもありませんが、予想のつかない展開と衝撃と笑いと涙は保証します。

テンポの良さ、小ネタのちりばめ具合、シュールな展開、キャスティング、すべてが素晴らしい傑作です。




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■ゼブラーマン(2004年)
監督:三池崇史
脚本:宮藤官九郎
出演:哀川翔、鈴木京香、渡部篤郎


■逆境ナイン(2005年)
監督:羽住英一郎
脚本:福田雄一
出演:玉山鉄二、堀北真希、田中直樹


■ポストマン・ブルース(1997年)
監督・脚本:SABU
出演:堤真一、遠山景織子、大杉漣、堀部圭亮

隔週水曜更新。次回の更新は8/16(水)の予定です。

更新日:2017/8/1
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