【Woman's File】人宿町やどりぎ座 支配人 蔭山ひさ枝さん
働く女性の魅力に迫る『Woman's File』。womo7月号掲載の女性をご紹介
蔭山ひさ枝さんにインタビュー
小劇場の可能性を追求して静岡の新たな文化発信拠点に
人宿町やどりぎ座 支配人 蔭山ひさ枝さん
名古屋市出身。高校から始めた演劇は、静岡大学入学後も続ける。卒業後、大学の演劇部の仲間3人とともに「劇団渡辺」を立ち上げ、静岡をベースに活動する。2017年、「人宿町やどりぎ座」のオープンとともに支配人に就任。公演やワークショップの企画、運営をしながら、劇団の看板女優として活躍中。
“やりたいこと”を選んで歩み始めた演劇人生
高校、大学と演劇部に所属して、大学卒業後に仲間と「劇団渡辺」を立ち上げました。学生時代と同じくらい倹約すれば、充分に暮らしていけると思ったので、仕事は演劇をやりながら考えればいいかなと、特に就職活動もしなかったですね(笑)。上映作品は古典が中心です。静岡をベースにしたのは、ライバル劇団が少ない環境で、自分たちがやりたいものにじっくりと向き合って活動できるから。そして、結成から4年後に、倉庫を改装した劇場「寿町倉庫」に拠点を持ち、いっそう芝居に打ち込めるようになりました。1か月間劇場を専用で使えたので、それまでの公民館での上演に比べると格段の差がありましたね。その後、「寿町倉庫」への企業の経済的支援がなくなった後は、「アトリエみるめ」として再出発。この時に設立した一般社団法人で劇場の運営も手がけました。自分たちのホームで、劇場も演技もよりよく見せる工夫をストイックに試す一方で、この空間を使ってもっと多くの人に演劇に親しんでもらいたいと思うようになり、私が面白いなと感じたお芝居をブッキング、上演するようになったんです。これが今の仕事に繋がるひとつの転機にもなりました。
毎日催行することでお芝居に親しめる場所に
「人宿町やどりぎ座」は、「キネマ館に劇場を作って文化発信のランドマークにしたい」という創造社の社長さんの強い思いに共感して生まれました。内部の設計段階から関わり理想的な空間は用意してもらったので、あとは走るだけという思いでスタートしました。月替わりの演目やトークイベントなど、定休日以外は毎日何かしら催しがあるのは、映画館にふらりと足を運ぶようにお芝居が楽しめる、静岡をそんな街にしたいから。いずれはこのエリアを静岡の下北沢と呼ばれるようにするのが夢ですね。劇場内にはバーカウンターがあります。お酒でも飲みながら気軽にお芝居を観てください。劇団渡辺は、毎週水曜日に「授業」というお芝居を上演、私も出演しています。この年齢でも女子学生役ができるのは演劇ならでは。年齢を重ねるごとに、違った魅力を出せるように、私自身の演技力も磨き続けていたいですね。
蔭山さんのTurning Point
《16歳》高校で念願の演劇部に所属
中学校には演劇部がなく、高校入学とともに演劇人生がスタート。1年生の夏の大会では、田舎出身で民家に強盗に入る男の子を演じる。
《27歳》野外劇場「有度」で主演を務める
SPACの県民参加体験創作劇場で上演した椿姫では主役に。発声方法から見直すなどし、技術的にも向上。満席になるほどの反響を呼んだ。
《30歳》初めての劇場運営に携わる
倉庫を改装した「アトリエみるめ」の管理団体に。自分たちの演劇を見せるだけでなく、静岡に演劇のおもしろさを紹介する活動も始める。
《38歳》人宿町やどりぎ座オープン
劇場としての設計から携わり、全国的にみてもハイスペックな小劇場が完成。支配人、女優として活動、次世代育成の企画、運営も手がける。
お仕事風景
上演作品のブッキングや開催イベントの企画、チラシの原稿作りなど、劇場の仕事は多岐にわたる。自身も劇団渡辺の看板女優として舞台に立ちながら、若手演劇人を応援する活動にも積極的に参画。上演企画をサポートするほか、学生向けのワークショップを他団体と共同開催している。
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