【第56回】喜怒哀楽が激しくておもしろい韓国映画4選
『パラサイト』きっかけで韓国映画の沼にハマってます
筆者:こしあん
映画・海外ドラマ、Bリーグ、読書、お笑い、カメが大好き。
特技はイントロクイズ(80年・90年代ソング限定)。
怖がりのくせにホラーとミステリーが大好きで、生まれ変わったらFBI捜査官になりたい。
休日にどれだけ家にこもっていてもまったく苦にならない超インドア派。
ゆる~い解説で好きな映画を紹介していきます。
『グエムル ー漢江の怪物ー』(2006年)
今まであまり韓国映画は観たことがなかったのですが、アカデミー賞を受賞した『パラサイト』を観てから、クセがつよい韓国映画の独特な魅力にハマってます。
『グエムル ー漢江の怪物ー』は、監督ポン・ジュノ×主演ソン・ガンホの『パラサイト』コンビです。
冴えないダメ親父が似合いすぎるソン・ガンホ。
怪物が出てくるだけじゃなく、未知のウイルス・パニックってところが、今の新型コロナウイルスとリンクしちゃって余計にドキドキしました。
漢江の橋にエイリアンぽい怪物がぶら下がっているシーンにゾワーッとします。
序盤から出し惜しみせずにガンガンくる。さすが韓国映画。
これがアメリカだったら、たまたまその場に居合わせた元軍人かなんかがヒーローっぽく登場して、自分を犠牲にして怪物をやっつけるんだろうね。
日本だったら、後手後手の対応しかできないお偉いさん方に、現場の職員たちが、「事件は会議室で起きてるんじゃない!」とか言って、現場のチームワークで乗り越える……とかね。
でも、韓国は違うよ。
しがない家族がバタバタしながら、むちゃくちゃなやり方で、ヘロヘロになって娘を助けようとするんだよ。無計画なんだよ、愛すべきおバカたちなんだよ。でもなんかアツいんだよ。
笑いも忘れないし、ヘタに感動させようとしないところが、すごく良い。でもちょっとだけ、あたたかい希望を残したりもする。
アメリカや政府に対する風刺もピリッときいてる。
ポン・ジュノ監督、さすがです。
アーチェリー叔母さん役のぺ・ドゥナがかわいかったです。ジャージ姿ってところがたまらない。
『ハロー!?ゴースト』(2010年)
なんだこれ、めちゃくちゃいい映画じゃんか!
ダサすぎるジャケ写とタイトルで損してる! もったいない!
でもそれも含めて、もはや愛おしい。
まさかこんなに泣けるとは……!!! グシャグシャに号泣しましたわ。
終盤15分、すべてがつながる気持ちよさと共に涙腺崩壊。
冴えない孤独な青年が人生に絶望して自殺を図り、助かったら死者が見えるようになってしまったお話。
主役は『猟奇的な彼女』のチャ・テヒョン。
基本コメディタッチで、中盤はちょっと中だるみするし、笑いのセンスもまぁイマイチだし、オシャレ感もないけれど、ラストにつながるすべてが素晴らしくて。
これはやられましたわ〜。あんなん泣くわ〜。ひーひー泣いたわ〜。
指原莉乃さんがTwitterでオススメしていたので、観た! 泣いた! という人がたくさんいますね。
これ、ホント、おすすめです。心あたたまるステキな作品。
途中つまらなかったけどやめてしまわずに、最後まで観て本当に良かったと心の底から思いました。
『殺人者の記憶法』(2018年)
これはおもしろい! 設定がバツグンです。
ジャケ写のおじさんのインパクトがすごくて夢に出てきそうだけど、映画の中では全然雰囲気が違いました。
むしろ、ガンバレガンバレ!って応援しちゃったし、なんならちょっと泣かされた。
主人公はアルツハイマーの元殺人者なんだけど、しっかりしている時と記憶を失くしている時が入り交じるのがポイントで、これが混乱とおもしろさを生む。
だいたい大事な時に切り替わったりするので、「あ〜、今はダメだよ、今は〜」「早く切り替われ、思い出せ!」って、観てるこちらはワッショイワッショイな気分に。
そして時々、「これ、記憶失くしてるフリしてない?」とか「この記憶、本物か?」って疑心暗鬼になってくるので、どんどん盛り上がる。
目の下がピクピクすると記憶を失くした状態になるっていう設定も、きたきたきた!ってなってゾクゾクします。
人と笑いのポイントがずれるのは、『ジョーカー』を思い出しました。
なんだか切なくて、悲しくなるシーンもありつつ、ちょっと笑っちゃうところもある。そして娘への愛情が深くて、涙をさそうのです。
何より、【生きてる価値のないクズどもは殺す】という潔さが気持ちいい。
殺人者VS殺人者のバトルにテンションが上がります。
素晴らしい、これは素晴らしい。
韓国映画、本当にスゴい。
しかし、ラストだけは「うーん?」ってなりましたが、別バージョンの『殺人者の記憶法:新しい記憶』につながる感じなんですね。
『殺人者の記憶法:新しい記憶』は、途中は『殺人者の記憶法』とほとんど同じなのだけど、いくつかシーンが追加されて結末が異なります。これはこれでおもしろかったのですが、連続で観ると、こちらもいろいろと混乱してきます……。
『監視者たち』(2014年)
凶悪犯の行動を監視する警察の専門組織の話。
1秒たりとも飽きない。ずっとハラハラ・ドキドキの展開。
スペシャリストたちのチームワークって、ホント、カッコいいよね。
笑いもあってテンポもよくて、スタイリッシュな作品です。
コードネームが動物ってのが、またかわいくてお茶目!
職場のみんなでコードネームつけて呼び合いたいなぁ。
そして映画と同じように「動物園開園」って朝礼で言うの。なんかテンション上がって仕事がんばれそう……笑
班長役のソル・ギョングは、『殺人者の記憶法』の主役の人。その時は、大杉漣がカツラをかぶって冴えないおじさんを演じているようにしか見えなかったのだけど、この作品では雰囲気がまったく違っててビックリ。役者さんてスゴイですね~。
内野聖陽と山崎樹範のミックス、ときどきヒロシ。
こんなに渋くてカッコいい役者さんだったなんて! 一気にファンになりました♪
韓国映画の沼にますますハマりそうです。
そのほかの映画コラムもチェック
WOMOシネマ伝道師こしあんの『ぐるぐるシネマ迷宮』 筆者だけの思い出調味料満載の懐かし作品から、あまり共感を得られないようなディープな作品まで、密かな魅力いっぱいのシネマ迷宮へようこそ。出口はたくさんあります。