ストーリーのある暮らし ~STORY.1 発酵食を伝承するライフスタイル~
ステイホームが教えてくれた、暮らしという日常の大切さ――。心の豊かさは充実した暮らしぶりで生まれる、ということを体現した家族のライフスタイルを紹介。どんな想いやこだわりで過ごしているのか。日々の生活、そして人生を楽しく暮らすヒントを得る。
“菌が育つ家”がテーマ 発酵食の魅力を伝承する暮らし
【発酵ごはん教室「円居」主宰】辻村 円さんご家族
つわりがきっかけで知った発酵パワーの伝道師に
県内はもちろん、東京や大阪、四国から毎月通う生徒さんがいるほど絶大な人気を誇る、発酵ごはん教室「円居」。主宰・辻村円さんが発酵食に興味を持ったのは、妊娠がきっかけだった。円さんはセレクトショップやカフェなどを運営する会社でキャリアを積み、のちに結婚、子どもを授かった。「妊娠中のつわりがひどく、“飲む点滴”と言われる甘酒なら身体にいいかなと思ったんですが、そのまま飲むのは苦手で……。砂糖代わりに料理へ足すなどアレンジをしたところ、料理がおいしく仕上がったんです」。麹パワーについてもっと知りたいと、妊娠中に発酵食スペシャリストの資格を取得。得た知識を誰かに伝えたいと教室を開講した。このときお子さんはまだ0歳。「両親が教師で私自身も人に教えるのが好き。育児に専念するよりも仕事と両立した方が自分には合うかなと思いました。」と笑顔で語る。
ひと続きの空間で“暮らしそのもの”を表現
そんな円さんの住まいは、ご主人の実家だった場所。家を建てる際のテーマは“菌”が育つかどうか。発酵菌が育つようにと、ケミカルな壁紙を一切使わず、酒蔵のような造りをイメージしたという。壁は合板のまま、キッチンはモルタル仕上げ。一見無骨な印象にみえる素材だが、円さんが少しずつ集めたという古き良き暮らしの道具がしっくりと馴染む。このキッチン、アトリエと住居空間との仕切りはなく、日常生活が“丸見え”。あえて区切らないことで、暮らしそのままを伝えたい、という想いが込められている。アトリエ・リビング、そして浴室へと続く廊下には、子どもが読書や勉強ができるデスクスペースもあり、こちらもまたつねに顔が見える造りになっている。
家中を愛着のあるもので揃え、家事すべてを楽しみに
「昔ながらの道具や味噌・麹など、一見“古くさい”と思われがちなイメージを、モダンでおしゃれに伝えていきたい」と語る円さん。まるでインテリアのように並べられた道具や食器の数々は、愛着のあるものばかり。好きな作家のランプやうつわ、倉敷や金沢などで買い集めた竹かご・台所道具、漬けた梅や手づくり味噌を保存するホーロー容器、ご主人のお義母さまから譲り受けた古道具――。「毎朝起きるたび、いい家だなぁとついため息が出てしまうんです」。そう話す円さんの“好き”が詰まったこだわりの暮らしぶりには愛があふれている。幸せに満ちた生活は、料理も掃除も洗濯も、家仕事を楽しみに変えてしまうに違いない。
暮らしのアイテム【手編みの風合いが昔懐かしい「行李(こうり)」】
ご主人の実家で眠っていた「行李」。行李とは竹や籐などを編んでつくられた入れもの。まるでインテリアのようにディスプレイされ、今では用具入れとして活用されている。
~STORY.3 大好きなものに囲まれたライフスタイル~ を読む
「円居」発酵ごはんのお教室についてはホームページへ
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