働く女性の魅力に迫る「Woman's File」_トップハット 代表 早川 ナナさんにインタビュー
静岡の働く女性にインタビューし、その輝きの秘密に迫る「Woman's File」。womo2020年12月号掲載の女性をご紹介
畑のチェックを大切にするのは 安全でおいしい旬野菜を届けるため
早川 ナナさん
大阪市出身。大学卒業後に出かけた九州で新鮮な野菜に出会い、農作物のバイヤーの仕事を開始。2009年、菊川市へ移住し本格的に農業との関わりを持つ。2012年、農家のご主人と結婚しトップハットを設立。2020年、旬野菜と無添加の加工品を販売する㐂商店をオープン。まもなく5人目の子どもが誕生する。
元気に育つ野菜の畑と出会い バイヤーへの道を踏み出す
大学卒業後の進路が決まっていなかった私は、九州で出会ったみずみずしい野菜を地元の大阪や東京で売りたいと、農家に飛び込みで交渉し、野菜バイヤーになりました。
一時期は東京の高級料理店でも働きながら、高値が付く野菜や果物についての知識も得ました。
そのうち銀座のお店との取引が増えて仕事は安定してきましたが、天候不良や台風の被害などで収穫量が減ると、思うような数量が入荷しないことも。それは、私は発注するだけで、他は完全に農家さん任せだったから。
「バイヤーは、どんな時でも自分の責任で質と数量をきちんと確保できなければ。そのために畑も見ないといけない」と考えるようになりました。
その頃、農業の課題解決に取り組む「エムスクエア・ラボ」の代表者を紹介され、菊川市に移住し農業と深く関わるように。3年ほど勤めた後、農家の主人と結婚しました。
他の生産者さんから、「俺たちの野菜を売ってくれ」と相談され、生産者団体トップハットを立ち上げたのも同じ年。本当は専業主婦になるつもりだったんですけど(笑)。
新たな販売の仕組みを作り おいしい旬野菜を直接販売
農家さんは自分たちが作った野菜のおいしさに自信を持っている。でも思ったように売れないと、特に新規就農の人にはダメージが大きいんです。農業を続けるためには既存の販売ルートではダメだと思いました。
そこで、トップハットでは、販売者の私が全量買い取り、全て外食産業に直販することに。
課題は安定供給と品質保持。野菜の出来は私も畑で一緒にチェック、顧客からの評価は生産者と共有します。おかげさまで評判もよく、生産者も農業経営が安定し、最近は新たな作物にもチャレンジしています。
2020年には私が厳選した野菜や無添加の加工品を販売する㐂商店もオープン。旬野菜のおいしさや栄養価について、お客様に直接伝えられて嬉しいですね。
これからの目標?
それは10億円売り上げる女になること!そして、㐂商店を女性が働きながら自己実現のために輝ける場にしたい。
一方で、農作物の販売に関する相談事も寄せられるので、別の地域でも農家さんとの信頼関係を築いて、トップハットのような生産者団体を展開していきたいですね。
早川 ナナさんのTurnng Point
22歳 傷心のひとり旅で九州一周へ
目指していたCAの道が閉ざされ九州旅行へ。レンタカーでひとり旅をし、健康的に育つ野菜と出会い、野菜バイヤーという独自の道を見つける。
23歳 静岡に移住、農業の現場に触れる
農業改革に挑む「エムスクエア・ラボ」で働き、海外の農業現場を視察する経験も。農家や農業の課題解決のための知識を身に付けていく。
26歳 結婚、トップハットを設立
農家の嫁になる。生産者から熱望されて、トップハットを設立、セールスマネージャーとして、外食産業への直販の道を切り拓き、実績を上げる。
34歳 㐂商店オープン
旬の野菜や無添加の加工品の直接販売をスタート。自宅に隣接した直売店もオープン。病院や福祉施設などの事業所への配達もまもなく始まる。
早川 ナナさんのお仕事風景
出荷がある時には畑で作物の確認を必ず行う他、農家の元へは定期的に訪問し、生育や作業の様子をチェックする。収穫の最盛期はほとんど畑にいるが、時間ができると道の駅の視察や東京、大阪等の市場調査に出かけ、農家の問題解決の方法や救済につながる商品づくりの企画を考える。
Woman’s File 静岡の輝く女性をクローズアップ。「リアルライフ」が、働く女性の魅力に迫る『Woman’s File』としてリニューアル!仕事もプライベートも自分のやり方でチャンスを掴み夢をカタチにした女性たちの体験談は、あなたが夢を実現するための原動力になるはず。