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【子どもの本とおもちゃ 百町森】大人の今だからこそ、出会えるおもちゃ

【子どもの本とおもちゃ 百町森】大人の今だからこそ、出会えるおもちゃ

まちの案内人にお気に入りのお店やスポットを紹介してもらう、「わたしの散歩みち」。今まで知らなかった楽しみ方やディープな情報を見つけて、このまちの「好き」を再発見する散歩へ出かけよう。北街道周辺の案内人は「カレーと喫茶 あまりろ」の小亀さちさん。今回は、小亀さんのお気に入りスポットだという『子どもの本とおもちゃ 百町森』を深掘りしてみた。

「カレーと喫茶あまりろ」の店主の画像

案内人:小亀さち さん
北街道界隈周辺の案内人は、『カレーと喫茶 あまりろ』の店主 小亀さちさん。テイクアウト販売のカレー店からはじまり、現在は店舗を構える中で知り合ったお店の方やよく行くお店など、“あまり人に教えたくない”というお気に入りのスポットをこっそり教えてもらった。

書店・おもちゃ屋・鷹匠「子どもの本とおもちゃ 百町森」

来るたびにワクワクと発見が

「子どもにこびないことを大事にしている」、柿田友広さんのこの一言にすべてが集約されている気がした。

ここは、1979年開業の老舗店『子どもの本とおもちゃ 百町森』。天井までいっぱいに広がる本やおもちゃは、憧れの遊園地のようであり、静寂な図書館のようであり、そっと大切に手を伸ばしたくなる。

子どもであろうと大人であろうと、気がつけば夢中になってキョロキョロしてしまう魅力がここにはある。

鷹匠の書店兼おもちゃ屋「子どもの本とおもちゃ 百町森」の入り口と入店する女性モデルの画像

入り口すぐは本がずらり。奥に行くとおもちゃが並ぶ

おもちゃというのは「子どもが遊ぶもの」というイメージが強い。しかし、訪れる人々の年代はさまざまだ。むしろ大人の方が虜になってしまうような不思議な引力がある。
柿田さんに「これはどうやって使うんですか?」「プレゼントしたいんですけれど、おすすめありますか?」と聞けば、ひとつひとつ楽しみ方やそれにまつわるエピソードまで詳細に教えてくれる。

うれしそうに、楽しそうに、おもちゃを紹介してくれる柿田さんの姿に、「本当にここにあるおもちゃや絵本が大好きなんだなぁ」と、知らず知らずにその世界観に入り込んで一緒にワクワクしてしまう。おもちゃは「子どもだけのものではなく、大人も一緒に楽しめるもの」が本来価値のあるものなんだと気付かされる。

「子どもはこの程度でいいだろう、という本やおもちゃはたくさんあると思います。でも本当にいいものというのは、大人にも響くんです。本だったら、大人が読んでも面白い。おもちゃだったら、大人が遊んでも楽しい。それがロングセラーと言われるものになるんでしょうね」

鷹匠の書店兼おもちゃ屋「子どもの本とおもちゃ 百町森」の店内を見て回る女性モデルの画像

海外のボードゲームや文房具など、色鮮やかなラインアップに目移りしてしまう

母から子へ渡るおもちゃたち

かつて子どもだった頃に頑張ってねだって買ってもらったおもちゃを、今度は自分の子どもに遊ばせる。そういうことが、『百町森』ではよくあるそうだ。
「長くものを大切にする」というのは、自分が大切にしてきた想い出があってはじめて引き継がれるのかもしれない。「あ、見ぃつけた」の感動に、年齢は関係ない。探し求める出会いから家に持ち帰るまでの楽しさがあるこの空間が、まるで宝箱のように感じた。

鷹匠の書店兼おもちゃ屋「子どもの本とおもちゃ 百町森」の展示おもちゃ「シロフォン付 玉の塔」で遊ぶ子どもの画像

ドイツのおもちゃ「シロフォン付 玉の塔」。ある女の子が3歳からおねだりして小学2年生になってやっと買ってもらったものを、今は我が子に遊ばせているというエピソードも伺った

『百町森』のロングセラーの一つに、ネフ社のおもちゃがある。柿田さんとネフ社との出会いは、30年以上前。「おもちゃの話をすると、すごく面白い人がいるよ」というのを聞きつけて、その人に会いにいったのがキッカケだそうだ。

「なんてステキなおもちゃなんだと、すっかりはまっちゃって。“こういうおもちゃを扱う人になりたいね”、と一緒にいたスタッフたちと話していました。すると、偶然扱える機会が1年後にめぐりまして。“よし、やろう!”となったんですが、経営にのるのはなかなか難しかったですね。そこから、喫茶店をやったり自然食レストランをやったりと、今は笑い話ですが儲けにつながるんじゃないかと色々やってみましたよ(笑)」。

年に数回はドイツへ行き、現地を見て回った。いいおもちゃ屋さんにはいい本が置いてあることに気がついたり、「森のようちえん」などを視察して教育玩具について考えたりと、少しずつ理想を目指した。
「やっぱりこういう店がいいよね。と、試行錯誤してきました。すると最近はドイツへ行っても“うちの店のほうがよくなっちゃった”と思えてきましたね(笑)」

鷹匠の書店兼おもちゃ屋「子どもの本とおもちゃ 百町森」で扱うおもちゃ「はじめての果樹園」で遊ぶ画像

2歳から楽しめる「はじめての果樹園」。カラスが来る前に果樹を集めていくロングセラーのボードゲーム

鷹匠の書店兼おもちゃ屋「子どもの本とおもちゃ 百町森」で扱うおもちゃ「はじめての果樹園」のパッケージ画像

いま一度、純粋に遊びたい

大人になってから改めて良いおもちゃや絵本に触れた時、人は「童心にかえる」。長年愛されてきたものに触れると、何歳であってもワクワクとした感情がめぐってくるものだ。

「例えばネフ社の積み木。積み木を人は“こういう風にやるんでしょ”とばかりに積み上げます。けどそれじゃあ面白くない。工夫して積み上げると、さらなる面白さが実は眠っているんですよ」と、茶目っ気たっぷりに笑顔で披露してくれた。
「ああ、してやられた!次は私も!」と、つい悔しくなって再挑戦してしまうのは、子どもも大人も同じだろう。

ネフ社の「Naef Spiel」で遊ぶ、鷹匠の書店兼おもちゃ屋「子どもの本とおもちゃ 百町森」の店主と女性モデルの画像
ネフ社の「Naef Spiel」で遊ぶ、鷹匠の書店兼おもちゃ屋「子どもの本とおもちゃ 百町森」の店主と女性モデルの画像

ネフ社の「Naef Spiel」。絶妙なバランスで様々なカタチに積み上げられる

ネフ社の「Naef Spiel」で遊ぶ、鷹匠の書店兼おもちゃ屋「子どもの本とおもちゃ 百町森」の店主と女性モデルの画像

道で枝を拾い集めた達成感、ごろごろと転がった石ころの音、カラフルに色付いた落葉探し。木で作られたおもちゃを触っていると、なぜかふと幼い頃の思い出や匂いが蘇る。

「人は、バランスが大事だと思います。自然素材のおもちゃやアナログゲームは、動的な五感を育みます。また道具との付き合い方など、基礎的な部分が養われる。そして絵本は、じっくり眺めて読むという(子どもは実は絵を読んでいます)静的な感性が養われます。その両方があって、はじめてバランスの良い人になっていくように僕は思うんです。両方を、じっくり楽しんでほしいですね」

鷹匠の書店兼おもちゃ屋「子どもの本とおもちゃ 百町森」の書棚の画像
鷹匠の書店兼おもちゃ屋「子どもの本とおもちゃ 百町森」の内観画像
鷹匠の書店兼おもちゃ屋「子どもの本とおもちゃ 百町森」で扱う木のおもちゃの画像

案内人からのおすすめポイント

ドイツのおもちゃや、可愛らしい絵本が沢山、ギュっと詰まったお店。まるで海外のお店に入ったかのような、異国な雰囲気がたまりません。


撮影:森島 吉直/モデル:鈴木 茉吏奈

『子どもの本とおもちゃ 百町森』の基本情報はこちら

ライター
町 紗耶香

フリーランスの編集・ライターとして雑誌や広告に携わる。次世代につなげたい伝統・文化や、大切に育まれた人柄・物事を、本質から伝えたいと日々精進中。

紹介スポット

静岡市葵区

子どもの本とおもちゃ 百町森

大人の今だからこそ、出会えるおもちゃ 来るたびにワクワクと発見がある店

更新日:2023/4/5
コラムシリーズイメージ

わたしの散歩みち まちの案内人が紹介するあのお店のこと、あの店主のこと。そして、このまちの「好き」を再発見する散歩へ出かけよう。

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