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ビールを片手に楽しむ、アメリカンカルチャー/Golden Nectar

ビールを片手に楽しむ、アメリカンカルチャー/Golden Nectar

まちの案内人にお気に入りのお店やスポットを紹介してもらう、「わたしの散歩みち」。今まで知らなかった楽しみ方やディープな情報を見つけて、このまちの「好き」を再発見する散歩へ出かけよう。青葉通り周辺の案内人は『Toxic Works』の間宮貴志さん。今回は、間宮さんがよく気軽にクラフトビールを飲みに行くというアメリカンダイナー『Golden Nectar』をご紹介。

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青葉通り周辺の案内人は、細かなパーツまでていねいにオリジナルで自転車を作り上げる自転車店『Toxic Works』の店主 間宮貴志さん。自転車で街を巡るからこそ発見した、とっておきのおいしい店を今回はご紹介。

アメリカンダイナー・青葉通り「Golden Nectar」

みんなから愛される、この町のアメリカンダイナー

週末にはたくさんの人が行き交う青葉通り沿いの一角に、『Golden Nectar』はある。おいしそうなメニュー看板と「OPEN」の文字。店内からは、ノリの良い洋楽が聞こえてくる。『Golden Nectar』は、アメリカのクラフトビールとアメリカンフードを中心に提供する町のダイナーだ。テイクアウトの小窓から顔を出して、「いらっしゃい」と出迎えてくれたのは、店主の日高さん。

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小窓からひょっこり顔を出す店主 日高さん

中へ案内されると、ビールタップの目の前に8席のカウンターがある。奥には4人席と6人席が1つずつ。女性一人でも訪れやすい、明るくポップな店内。カラフルなネオンサインも目に鮮やかだ。
カウンターや壁などの内装は、日高さんがアメリカで実際に見てきたものを再現したいという思いから、知り合いのアメリカン家具職人と一緒に手掛けた。

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店内に飾られたものたちはどれもアメリカンテイストでかわいらしく、ついキョロキョロと見回してしまう

アメリカの食文化に興味を持って

「地元静岡に、アメリカンカルチャーを持って来たい」という想いで始めた『Golden Nectar』は、2022年で5年目となる。

アメリカのオレゴン州にあるポートランドでは、ビールのゴールデンカラーのことを”黄金の蜜”という意味で『Golden Nectar(ゴールデン ネクター)』と呼ぶ。店名はそこから取ったそうだ。

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日高さんがアメリカンカルチャーに惹かれるようになったきっかけは、ファッションや雑貨、音楽だった。店内にもかわいらしいアメリカン雑貨や食器、観葉植物、アートが飾られていて、日高さんの好きなものがギュッと詰まっているような楽しい空間ができあがっている。

そのうちアメリカの食文化にも興味を持つようになった日高さん。現地へ足を運んだ時、日本以上に幅広い食のジャンルがあることに驚いたという。「“アメリカンフード”と聞くと、どうしてもハンバーガーなどを想像してしまうと思うんですけど、アメリカンチャイニーズやLAフードなど、本当に多様な食文化がアメリカにはあります」

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自分でも飲食業をやってみたいと思っていた日高さんは、10代の頃にアルバイトでアメリカンダイナーの経験を積み、20代の時、一度独立を試みた。その後静岡市内のイタリアンレストランで働き、飲食業のノウハウを積んだ。そしてついに、自分のやりたいお店を始めるために再度独立。『Golden Nectar』を始めたのだった。

『Golden Nectar』で味わえる、最高のビールたち

『Golden Nectar』では、海外のビールを中心に、アメリカや北米カナダなどの有名な種類から、全国的になかなか飲めないような珍しいビールまでさまざまなものを取りそろえる。クラフトビールはタップが常時8種類、缶やボトルのものが数十種類ほど。種類は頻繁に入れ替わるので、いつ来ても新しいラインアップに出会えて楽しい。
度数は2〜3%のライトなものから、10%以上のものも。もちろんビールのスタイルもさまざまで、その日の気分に合わせて選ぶことができる。種類が豊富なためについつい迷ってしまう人は、日高さんに尋ねればおすすめを教えてもらえる。

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日高さんが好きなのは、IPAというスタイル。ホップの香りがしっかり効いていて、ガツンとした苦味の中にも柑橘系のフルーティな味わいがあることが基本的な特徴だ。
「IPAひとつとっても、めちゃくちゃ種類があって。濁っていて味の濃いものもあれば、すっきりしたクリアなものも最近人気ですね。味や香りの幅が広いし、奥が深い。ハマるとすごくおもしろいですよ」

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注がれたビールの黄金色が美しい

『Golden Nectar』では、オリジナルビールも提供している。時期によりテイストはさまざま。オリジナルビールは、今後より力を入れていきたいもののひとつだという。
黄金色のビールが、タップからなみなみと注がれる。ゴクリと一口、鼻から豊かな風味がすっきりと抜けていった。
ビールのほかに、ソフトドリンクやカクテルなどもある。

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日高さんがつくりたい、人の流れと空間

青葉通りを歩くと、『Golden Nectar』外のベンチでビールを飲んでいる人をよく見かける。
今回の案内人の間宮さんも、よくこのベンチでゆったりビールを楽しむのだとか。

ブリトーなどのテイクアウトも実施していて、小窓から日高さんがひょいっとビールやフードを受け渡す風景も、『Golden Nectar』ならでは。この一角は、パッと明るく賑やかな空気感が漂う。

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お店を始める時に、日高さんはこういった風景が地域に生まれることを目指していた。

「アメリカの町では、昔からあるダイナーに気軽に人々が訪れて、ビールやフードを店内や外のベンチ、お店の目の前の公園などで、思いおもいに楽しむ文化があるんです。ゆるーく自分のペースで楽しめるスタイルが素敵ですよね」

ここ静岡で、どんな人の流れを生めば、アメリカの町のようにみんながラフに食を楽しむことができるのだろう、と日高さんは考えた。人通りがあり、昔からある公園が存在する「青葉通り」という場所を選んだのも、そういった訳があるのだという。

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「“クラフトビール屋”を目指しているわけではないんです。もちろんビールに力を入れてはいるんですが、あくまでも、ビールやアメリカンフードも“あたりまえに楽しめるお店”を作りたくて。堅苦しくなく、マイペースに楽しめる居場所。そんなものをずっと思い描いてきました」

思いっきりかぶりつく“幸せ”な時間

『Golden Nectar』で提供するアメリカンフードは、“ビールに合う”ことを意識して作っているという。日本食では出せないアメリカならではのガツンとした味わいは、ビールととても相性がいい。

「オリジナルバッファローウィング」は、日高さんのおすすめ。ジュワッと揚げられたジューシーな手羽元に酸味があるソースを合わせた、常連にも人気の一品。周りを気にせず思いっきりかぶりつき、グッとビールで流し込む。

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手の汚れを気にせず手掴みでカブリ

「バッファローウィングって、アメリカにはどこのダイナーにもあるんですけど、日本は食べられるお店が少ないですよね。僕はビールのおつまみとして“最強”なんじゃないかと思っています」

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「チージーチリフライ」は、カリッと揚がったポテトフライの上に、こっくりとした味わいのチリミートとチェダーチーズを使ったオリジナルソースがとろり。女性でもぺろっと食べきれる量だが、満足感があってつい頼みたくなってしまう一品。

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ラザニアは、焼き上げる前にたっぷりのチーズをかけてオーブンへ。ひと口食べると、層になった生地の間からたっぷりのミンチが溢れ出る。

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『Golden Nectar』のラフな空気感からだろうか、カウンターに座った客同士で自然と会話が生まれ、ここで友達になっていく人もいるという。
日高さんも時おり会話に混じり、ビール好きが集まればビールの話を。音楽好きの人たちなら音楽の話を。皆おつまみを口に運びながら、店内には他愛もない会話と笑い声が響く。

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広めたいのは、食文化だけではない

日高さんは普段から周辺の飲食店とフードイベントを行ったり、クラフトビールを扱うお店とのコラボビールを開発したり、『Golden Nectar』の店内で音楽のライブイベントを行ったりしている。飲食店以外のたくさんのお店とも関わりを持ち、公園を使ったイベントなど、常に楽しい企画を考えているのだとか。

日高さんが広めたいのは、食文化だけではなく、アメリカンカルチャーを楽しむ“居場所”なのだということがわかる。

『Golden Nectar』に訪れる人は皆、とても楽しそうだ。「自然体でいられる場所があるっていいなぁ」と、ビールを飲みながらふと思った。

「ぜひふらっと寄ってみてください。うちはビールやアメリカンフードが豊富だけれども、別にコーヒーを飲みにくるだけでもいいんです。肩の力抜いて楽しめる場所を作れればと思っています」

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案内人からのおすすめポイント

クラフトビールをよく飲みに行きます。海外のトレンドのビールもたくさん置かれているし、オリジナルビールも作っている。ビールと一緒に食べるアメリカンフードもおいしいですよ。

撮影:森島 吉直/モデル:鈴木 茉吏奈

ライター
WOMO編集部 坂本

その人らしさやそこにある想い、空気感、手触りを大切に書いています。まちを歩いて、自分だけの“好き”を見つけることの楽しさを、文章を通して伝えられたら嬉しいです。

更新日:2022/9/8
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わたしの散歩みち まちの案内人が紹介するあのお店のこと、あの店主のこと。そして、このまちの「好き」を再発見する散歩へ出かけよう。

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