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週末ふらっと演劇鑑賞へ。はじめてでも楽しめるSPACの魅力と裏側に迫る!

週末ふらっと演劇鑑賞へ。はじめてでも楽しめるSPACの魅力と裏側に迫る!

臨場感あふれる演劇を多数公演している公益財団法人静岡県舞台芸術センター(Shizuoka Performing Arts Center)、通称『SPAC(スパック)』。舞台のおもしろさはもちろん、舞台セットの秘密や衣裳制作、稽古風景など、裏側からもその魅力に迫る!

『SPAC』ってどんなところ?

入り口はJR東静岡駅南口から徒歩約5分、 グランシップの東側

週末にふらっと演劇鑑賞へ、そんな時間を想像したことがあるだろうか。
東静岡駅前のグランシップ内にある「静岡芸術劇場」は、県立の劇団『SPAC』の活動拠点であり、秋から春にかけて、SPACの演劇がほぼ毎週末上演されている。ここには専用の稽古場もあり、俳優や舞台技術、制作のスタッフも活動している。創られた舞台は世界でも上演され、各地にファンも多い。

入り口はJR東静岡駅南口から徒歩約5分、 グランシップの東側
静岡芸術劇場の内観

建築も美しい静岡芸術劇場。思わず見上げてしまうような、魅力的な空間がそこにはある

生身の人間が演じる表現力

劇中の様子

(写真提供/SPAC 撮影/猪熊 康夫)

演劇は、言葉や身体を使った表現である。そこに音楽や舞台美術、音響、照明などの要素を組み合わせて舞台を創っていくのだ。

SPACの舞台は、とぎすまされた動きやさまざまな表現で、観客の想像力を掻き立てる。ただストーリーが楽しかった、泣けたという感覚だけではなく、自分の中にある感覚が刺激され、劇に入り込むことができるのだ。

「プレトーク」で、はじめての演劇鑑賞をもっと楽しく

プレトークでは観劇のポイントを紹介

しかし、ここは決して演劇ファンのためだけの場ではなく、はじめて訪れた人も十分に楽しめる工夫がされている。

プレトークとは、SPACが観劇前に行っている、これから観る舞台をよりおもしろくするための観劇前のお話。実際に舞台に立つ俳優や、スタッフが作品の紹介・創作エピソードなどを話してくれる。

登場人物や物語のあらすじがわかると、より作品にも入り込みやすくなるので、はじめて舞台を鑑賞するという人には特におすすめ。このプレトークを聴くと舞台の楽しみ方がぐっと広がるのだ。

プレトークを通してより作品を楽しむことができる

SPACの作品の中には、世界の名作を別の設定に置き換えて演出しているものも多い。どの時代を描いているのかや、原作との違い、作品に込められた想いなど、作品の理解がより深まるようにと、10年以上も前からプレトークが始まった。そこでは俳優から舞台のこぼれ話が出ることも。

併設のカフェで演劇をより身近に

劇場併設のカフェも魅力のひとつ

またSPACでは、劇場2Fのカフェにも俳優が立つ。「あの作品観ました」というような会話が気軽にでき、より親近感を持って演劇を楽しめるのも魅力である。

メニューは世界観を大切に考案されたものがならぶ

取材時の上演作品にちなんで出されたノルウェーのお菓子『セムラ』

カフェは通常メニューに加え、上演作品からインスピレーションを受けて考案された特別メニューがならぶ。作品の主人公の故郷でよく食べられているお菓子など、イメージを膨らませながらいただきたい。

開演1時間前には劇場に来て、カフェでお茶やお菓子を楽しみ、プレトークを聴いてから観劇するという流れがおすすめなのだとか。

広々としたロビーで開演までの時間をのんびりと過ごせる

さっそく観劇してみよう

SPAC芸術総監督の宮城聰さん

入口では、SPACで上演されている数々の作品演出を務める、SPAC芸術総監督の宮城聰(みやぎ さとし)さんが出迎えてくれた。劇場に足を踏み入れると、ライトに照らされた壮大な舞台装置が目の前に広がり、その臨場感に驚く。会場全体の雰囲気に圧倒されながらも、「これから始まるのだ」と気分が高揚していくのがわかる。

場内の様子

(写真提供/SPAC 撮影/平尾 正志)

演劇が始まると、俳優の迫力に思わず息をのんだ。思っていたよりも舞台と観客席が近く、俳優の表情はもちろん、息づかいまで聞こえてくるほどだ。声のトーンや大きさの表現も細かく、衣装の動きや仕草の一つひとつがていねいで、細部まで意識していることが伝わってくる。

冒険劇『ペール・ギュント』

(写真提供/SPAC 撮影/猪熊 康夫)

取材時の上演作品は、『ペール・ギュント』。人物の個性が引き立ち、音楽や照明、俳優の台詞それぞれの奏でるものが重なり合って引き込まれていく。本当に心地のよい舞台だった。

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音楽も俳優たちが生演奏している(写真提供/SPAC 撮影/平尾 正志)

壮大な世界観に引き込まれていく

裏側から舞台の魅力に迫る!「バックステージレクチャー」

興奮冷めやらぬまま始まるバックステージレクチャー

舞台を観ていると、想像を超える演出の連続に感動するのと同時に、その仕組みや裏側を知りたくなるもの。SPACでは終演後に創作・技術部スタッフが舞台裏を解説してくれるバックステージレクチャーも日替わりで実施している。今観たばかりの作品の裏側を、専門のスタッフから解説してもらえるのだ。

SPAC創作・技術部スタッフが舞台裏を解説

衣裳は、西洋文化を取り入れた和装など、時代背景も表現

舞台裏の話を聞き、終演後もしっかりと楽しむことができる

「こちらの衣装、何キロあると思いますか?」の問いに観客が答える


この日は、衣裳班のスタッフが作品で実際に使用していた衣裳を見せながら、クイズ方式でレクチャーしてくれた。衣裳はメンテナンスのためにパーツを取り外し可能にするなど、さまざまな工夫がなされている。

また、SPACの作品では俳優たち自ら楽器を持ち、劇中の生音楽も担当することが多いのだが、想像よりもずいぶん重い衣裳を抱えて、どのように楽器を演奏するかなどの裏話も聴くことができた。

あらゆる発見と驚きの連続。鑑賞した舞台のおもしろさがより深まった気がした。

劇中とは少し違った楽しみ方ができる

次回作『守銭奴 あるいは嘘の学校』の稽古場に潜入

『守銭奴 あるいは嘘の学校』のリハーサル風景
衣装も着用して挑むリハーサル

稽古場に響き渡る俳優たちの声。舞台の一番後ろまで届くような迫力と、その抑揚の美しさを感じる


普段はなかなか見られない稽古場に潜入。この日は通し稽古中で、本番さながらの練習に現場には緊張感が走る。

今回の作品は、ドケチな主人公アルパゴンが再婚相手に貧しい家の娘、しかも息子の恋人を選ぶという喜劇。ピリリと効いた皮肉に人間味がにじみ出る、ドキドキと笑いがノンストップの痛快コメディ。

劇中の音楽シーン、この作品でも俳優たちが生演奏している

劇中の音楽シーン、この作品でも俳優たちが生演奏している

俳優と技術スタッフがそれぞれのタイミングを細かく調整しながら、何度も繰り返し稽古が行われているので、稽古とはいえ驚くほどの仕上がり。

本番さながらの緊張感が伝わる

演出家や技術スタッフが真剣な眼差しで稽古を見守る

今までは、少しハードルが高いと思っていた演劇鑑賞。実際に足を運んでみると、初心者でも楽しめる仕掛けがたくさんあるのだと知ることができた。まだSPACを知らない人、見たことがない人も、想いを込めて創り上げられた舞台や空間を感じに行ってみては。

SPAC公演情報

2022年11月26日(土)~

『守銭奴 あるいは嘘の学校』

『守銭奴 あるいは嘘の学校』

ドケチな商人アルパゴンが惚れたのは、貧しい家の娘…しかも息子の恋人?!金か、はたまた恋か?喜劇王モリエールの代表作が、『妖怪の国の与太郎』に続くフランス人演出家ジャン・ランベール=ヴィルドとSPAC俳優のタッグで、新たな痛快ドタバタコメディに生まれ変わる。

演出:ジャン・ランベール=ヴィルド
会場:静岡芸術劇場

『守銭奴 あるいは嘘の学校』

2023年1月14日(土)~

『リチャード二世』

『リチャード二世』

我欲と裏切り。目的のためなら手段を選ばない暴君リチャード2世の没落と、王座に上りつめるボリングブルック。シェイクスピアの数ある史劇の源流となるイングランド王の物語を、SPAC俳優としてまた『忠臣蔵2021』の共同演出など演出家としても活躍が目覚ましい寺内亜矢子が、現代にもつながる物語として鮮やかに描く。

演出:寺内亜矢子
会場:静岡芸術劇場

『リチャード二世』

2023年2月11日(土・祝)~

『人形の家』

『人形の家』

愛情深い夫と子どもに恵まれ、ノーラは幸せに暮らしていた。しかし、ある日彼女の秘密が夫に知られたことをきっかけに、ノーラは「自分はかわいがられるだけの人形のようであった」と気づき……。世界の名だたる演出家たちが挑戦してきたイプセンの傑作社会劇、宮城聰の新演出に注目が集まる。

演出:宮城聰
会場:静岡芸術劇場

『人形の家』

SPAC-静岡県舞台芸術センター

『SPAC-静岡県舞台芸術センター』ホームページ

俳優、舞台技術、制作スタッフが活動を行う日本で初めての公立の劇団。独自の舞台芸術作品創造のための稽古場や、照明や音響において高度な機構を有した劇場など、質の高い作品創作を支える専用施設を持つ。また、学校教育では触れることのできない演劇のおもしろさ、奥深さを地域の若い人たちやその保護者に知ってもらうことを目的とした人材育成事業にも力を入れている。

更新日:2022/11/28
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