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清水の町に循環し、長く愛されるイベントへ。/循環型クラフトイベント『船とハナウタ』4/22、23開催

清水の町に循環し、長く愛されるイベントへ。/循環型クラフトイベント『船とハナウタ』4/22、23開催

2023年4月22日(土)・23(日)、清水港のすぐそば「日の出親水公園」にて開催される、循環型クラフトイベント『船とハナウタ』。今イベントを企画しているチームの皆さんへ、ここに至るまでのストーリーとその想い、イベントの見どころについてお話を伺った。

清水の地に、新たに生まれようとしているクラフトイベントがある。その名も、『船とハナウタ』。
以前、「実はこんなイベントを企画していてね…」とWOMOスタッフの一人へお話を頂いた日から、ようやく詳しくお話を伺う機会をいただくことができた。
すっきりと晴れた2月のとある日、『船とハナウタ』チームの皆さんへ会いに、イベント当日の会場となる「日の出親水公園」へ。

『船とハナウタ』が生まれるまでのストーリー

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『船とハナウタ』の企画の主導となる松田さんは、現在清水を拠点として活動している。自身の活動を通して、清水の素晴らしい作家さんやお店と出会うたび、この町がどんどん好きになっていった。
幼い頃は長期の休みがあると清水区(当時は清水市)の祖母の家で過ごしたことから、楽しい時間を共にした町としても、特別な想いを抱くように。

そんな愛する「清水」に何か還元できないか、とずっと考えていたという。

自身もイベンターとして小規模のイベントをいくつか開催する中、訪れる人たちが楽しんでくれる様子を見て、「みんなの何気ない“楽しい!”を引き出せるイベントをこれからも生み出したい」と考えると同時に、それが一過性のものになってしまうことがもったいないと感じるように。

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「町に循環し、長く愛されるイベントを作れないか?」そう思った松田さん。

どうせやるなら、清水をブランディングしよう。世界に向けて、清水の作り手さんや町の良さを知ってもらえるきっかけづくりをしよう。そんな想いを抱いて、『船とハナウタ』を企画し始めた。

企画する中で、周りから届いた声

「前例のないイベントなので、出店する側も二の足を踏む中で、『船とハナウタ』のInstagramを見て、その想いや企画段階での作り込み、空気感を感じ取って出店を決めてくれた方がいたんです」

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「僕たちができることは、『想いを伝えること』そしてそれを形にしていくことだけなんです。数人でもそれが伝わったことが、とても嬉しくて」

松田さんたちの想いを感じ取っているのは、出店者だけではないだろう。きっと、『船とハナウタ』が少しずつ作り上げられていく様子を見守っているたくさんの人たちも、同じ気持ちでいるに違いない。

『船とハナウタ』では、回を重ねていくごとに集まった資金やつながりを清水という街に還元しようと考えているのだという。

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「イベント開催はまだ1回目ですが、長く続けていく以上は、皆さんの中に根付いたイベントにして、遠回りでもいいから清水に還元できれば。そして作家さんも、訪れるお客さんも、清水の町も、『船とハナウタ』をきっかけに一つの輪になれるといいですよね」

そんな『船とハナウタ』は、第2回目である10月の開催も決まっている。

『船とハナウタ』というタイトル

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松田さんは、企画のコンセプトを固める時、清水が海に面している街、“港町”であることに注目した。
港町は、船で多くの人やモノが辿り着き、そしてまた全国や世界に向けて送り出される場所だ。
全国から多くの作家さんや、大切に作られたモノたちが清水に集まり、さらに全国に向けて、清水の魅力や地元の素晴らしい作家さんを送り出す。そんな“港町”のようなイベントになるようにと、港町に行き来する「船」というキーワードを。さらに、楽しい時につい口ずさんでしまう「ハナウタ」、訪れた人の心に“花(ハナ)”が咲くようにと、松田さんはこのイベントを『船とハナウタ』と名付けた。

メインビジュアルについて

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イベントのフライヤーなどにも描かれているメインビジュアルを担当したのは、イラストレーターの萩 結(はぎ むすぶ)さん。

松田さんは、萩さんのイラストに一目惚れし、ぜひ今回のメインビジュアルをお願いしたいと直接依頼をしに伺ったそう。
イラストを描いてもらう前に、萩さんへ『船とハナウタ』への想いや、こんなイベントにしていきたいという願いを伝え、あとは萩さん自身の世界観に委ねた。自由な感性で描いてもらうことを大切にしたかったのだという。
すると完成したイラストは、『船とハナウタ』のタイトルのように、春の季節の楽しげで華やかなイメージにぴったりのものだった。

萩 結さん コメント

「うららかな春の日に小船に乗って『船とハナウタ』の会場を目指す人たちを描きました。
新しいイベントが始まるという高揚感と、イベント開催までの期待に満ちた気持ちに寄り添うようなものになればうれしいです」
—--------『船とハナウタ』Instagramより

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『船とハナウタ』のロゴは、チームメンバーの前川さんが制作。コンセプトや想いなども一緒に話し合っていたメンバーのひとりだったこともあり、イメージにぴったりの仕上がりに、松田さんも思わず感動。メンバーや、出店店舗の皆さんからも「素敵なロゴだね!」と嬉しい声をもらった。
実は、ロゴは写真に写っているものの他にも、もうひとパターンあるのだそう。

「イベント当日、皆さんにはいろんな形でお披露目できればと思っています。楽しみにしていてください」

そして、イベント公式グッズのバンダナはなんとこの日、完成したばかりの届きたてを開封する瞬間を見届けることができた。
段ボールを開けると、チームの全員が「わあ〜〜!」と感動の声をあげる。

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バンダナは、港町のイメージを表現する鮮やかな水色と淡いグレーの2色展開。
プレイベントでも大好評だったという公式グッズは、当日も数量限定で発売される。

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それぞれの“楽しかったね”をお土産に

「訪れる人へ、どんな風に楽しんでもらいたいですか?」と尋ねると、松田さんはこう答えた。

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「それぞれの“楽しかったね”を持ち帰ってほしいですね。どう楽しむかはお客さん次第で、訪れる人の数だけの楽しみ方があると思うんです。ものを買うということだけではなく、見て楽しんだり、雰囲気を楽しんだり。とにかく遊びに来てもらって、なんでもいいので、家に帰ってからも『今日は楽しかったね』と話してもらえたら嬉しいです」

メンバーそれぞれのカラーを生かして企画する『船とハナウタ』

『船とハナウタ』は、それぞれ違った場所で作り手や活躍する6人のメンバーが集まり、チームで企画を進めている。

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「以前は、企画など一人で動くことも多かったですが、自分だけの世界観に留まってしまうことに気付きました。チームでそれぞれのメンバーのいいところを拾い上げて、自分だけでは思いつかない、チームにしか作れない、他の人が真似できないものを作ることができると気づいたんです」と、松田さん。

「訪れる人が喜んでくれること」を第一に考え、それがチームミーティングの話題の軸となる。開催ギリギリまで、全員でアイデアを出し合っていく。

コンセプトからデザイン、空気感などを一からていねいに作り上げていくことは、チームでないとできなかったという。

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オリジナルグッズのバンダナを巻いて、パシャリ!

そんな『船とハナウタ』チームのメンバーを少し紹介しながら、それぞれへイベントへの想いを伺った。

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中村さん
普段は焼き芋屋『yakiimo Toca(焼き芋 トーカ)』を営む。多数のイベントへの出店経験を生かし、搬入搬出などの動き方など、実務的な部分をリードするとても心強い存在。朗らかな笑顔と明るさでチームを支える。

「私は普段は出店者側としてイベントに参加しているから、作り手側の気持ちもよくわかるし、お客さん側としてマルシェなどに参加するのも大好きなんです。企画する人、作り手、お客さん、みんなが『船とハナウタ』に来て「あぁ、よかったね」と感じてくれたらいいなって。そして、いろんなアイデアを持っているメンバーと企画できることが嬉しいし、何よりこうやって集まっている時間も、どうやって良くしていこうかって考える時間もとても楽しくて。みんなが共感できる、楽しいイベントにできたら嬉しいです」

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山梨さん
草木染め作家としてアクセサリーの販売をしながら、イベントキュレーターとしても活躍する。クラフトイベントへの出店経験があることから、作り手側と企画側、両方の立場でのアイデア出しが得意。

「訪れるみなさんに楽しんでもらうことはもちろんなのですが、作り手側もいい思い出が作れたり、お客さんと触れ合えたり、清水の魅力を知ってもらえるようなイベントにしたいなって思います。“また出たいな” “また来たいな”って思ってもらえたら嬉しいです」

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伊藤さん
「清水を盛り上げたい」という松田さんの想いに共感し、参加することを決めた、2022年の秋頃からの新メンバー。元々雑貨店でバイヤーをしていた経験から、『船とハナウタ』のオリジナル商品制作を担当。さらに、接客経験もある伊藤さん。当日はお客さんと触れ合いながら、イベントを盛り上げる役割を担う。

「何気ない会話の中で、『遊びに行くところあんまりないよね…』や『地元って何にもないよね…』って言ってしまいがちだと思うんです。でも、こんな楽しいイベントがあるんだよ!また行きたいねと、そしてこんな作り手さんに出会ったよ!と、みんなの記憶に残るイベントにできればと思っています」

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前川さん
普段は、清水区にある布屋『前川商店』営む。家業である布屋を継ぐ前、東京でグラフィックデザイナーをしていた経験から、チームでは主にデザインを担当。地元清水を盛り上げるために何か始めたいと思っていたところに、とても良いタイミングで松田さんから声がかかったのだという。

「今回メンバーとして声をかけてもらって、“清水でワクワクする”ことを作りたいっていう気持ちがより強くなりました。僕は元々そんなにクラフトに対して造詣が深いわけではなかったけれど、あるクラフトイベント行き始めて、モノの価値観が変わったんです。一つのものを大切にしようと思う、その感覚を『船とハナウタ』を通してもっと広めたいなと思いました」

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森さん
イベント当日のカメラマンを担当する。現在『船とハナウタ』のInstagramに掲載されている写真は主に森さんが撮影したもので、その空気感やコンセプトを伝える大きな役割を担っている。自身を「いじられキャラですね(笑)」と話す森さんは、チームのムードメーカー的存在。

「僕、周りから“マルシェの申し子”って呼ばれていて(笑)」
(全員が「自分で言うなよ〜(笑)」とツッコむ)

「県内開催も県外開催も、とにかくマルシェにめちゃくちゃ行くんですよ。他のみんなは出店者側の気持ちがわかるって言っていたけど、今回僕は完全に、参加者側の立場にいて」

「この表現が合っているかはわからないけど、いいマルシェやマーケットは、何も買わなくてもたくさんの幸福感を持って帰って来れるんですよね。それって、作家さんとの対話もそうですけど、単純に売っているモノの可愛さとかもそう。見て楽しんで、話して楽しんで、もちろん雰囲気も良ければ最高で。これから先使っていけるようなものに出会えればなお最高」

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「そして、別のマルシェでまたその作家さんに出会って話したりすると、“知り合いに会いに行く”みたいな感覚になってくるんですよね。そこが僕は一番魅力的だと思ってます。春にはあのイベントであの人に会って、秋はこの作家さんに会って…みたいに自分自身の生活サイクルの中に組み込まれていて。その中に『船とハナウタ』も入れたい!って思ってます」

『船とハナウタ』に訪れるみなさんへ

自分が住んでいる地域に、「こんな楽しいイベントがあるんだよ!」と自信を持って言えることはどれだけ尊いことなのだろう。
きっと、『船とハナウタ』を通して、素晴らしい作り手さんや清水の魅力に触れるきっかけがたくさん生まれていくに違いない。

最後に松田さんから『船とハナウタ』に訪れるみなさんへのメッセージを頂いた。

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「まず、ここへ遊びに来てください。自由に楽しんでください。そして、それぞれの“出会い”を持ち帰ってほしいです。僕たちも、イベント当日ギリギリまで、皆さんに楽しんでもらうためのアイデアを練ってお待ちしていますね」

photo by 森 悠亮

『船とハナウタ 〜SHIMIZU ART CRAFT 2023 spring』

2023年4月22日(土)・23日(日)10:00〜16:00

場所:日の出親水公園(ドリームプラザ海側デッキ)
住所:静岡県静岡市清水区入船町13-15
入場無料・雨天決行(荒天中止)
※公共機関でのご来場をお勧めいたします

『船とハナウタ』Instagram

ライター
WOMO編集部 坂本

その人らしさやそこにある想い、空気感、手触りを大切に書いています。まちを歩いて、自分だけの“好き”を見つけることの楽しさを、文章を通して伝えられたら嬉しいです。

更新日:2023/3/15

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