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衣・食・住、さまざまなカルチャーとの出会いを/CATALOG

衣・食・住、さまざまなカルチャーとの出会いを/CATALOG

静岡市葵区七間町にある古着屋『CATALOG』。ふらりと歩いて見つけたこのお店に興味をくすぐられ、足を運んでみた。店主の浜松さんやバイヤーの鶴見さんとの会話の中で知るお店の魅力や、“衣・食・住”を通じたカルチャーの魅力を届ける活動についてご紹介。

自分の中にある“興味”をくすぐられるお店

ある休日、ふらりと街を歩いている最中に一軒のお店の前を通った。

落ち着いたモスグリーンの外観に大きく『CATALOG』と書かれ、中にはたくさんの服が並んでいるが、看板には「Coffee&Beer」の文字も。

『CATALOG』看板

「服屋さんかなあ?…でも、コーヒーとビール?確か奥にはレコードも置いてあったな…」

そんなことを考えながら一度通り過ぎかけて、「やっぱり入ってみよう」と道を戻ったのは、その一瞬で自分の“興味”が思いきりくすぐられたからだ。

2018年に静岡市葵区七間町に開店した『CATALOG(カタログ)』は、 アメリカで直接買い付けた古着やインポートブランド、家具雑貨に加え、コーヒーやビールなどのドリンクも販売・提供する古着屋。

テーマは、“衣・食・住”。「カタログ本のように多種多様なものを提案していきたい」という想いを店名に込めたのだとか。

『CATALOG』に入る様子

店内に入って最初に目に入るのは、性別にとらわれずその人の好みやサイズ感、シルエットを大切にセレクトされた服たち。
あえてあまり手をいれず建物の味わいを生かした空間が、置いてあるモノの質感や色を引き立たせる。

『CATALOG』内観

店主の浜松さんとバイヤーの鶴見さんが迎えてくれ、気に入った服や雑貨を眺めつつ店内をぐるり。手に取った服やモノ魅力を、浜松さんがさりげなく声をかけて教えてくれた。

浜松さんが服の特徴やストーリーを教えてくれる

「世の中にある服たちのデザインソースが古着のなかに存在していることに魅力を感じています」と話してくれた鶴見さんは、さらに服をセレクトする基準やこだわりについて教えてくれた。

「年を重ねていってライフステージが変わったりすると、古着を着なくなってしまう人もいて。僕なりの基準は、そうして年を重ねてもやっぱりいいねと思い続けられるものかどうか。そして、しっかりとバックボーンがあるものを選んでいます」

鶴見さんが話す様子

『CATALOG』に並ぶものだからこそ選びたいと思うのは、鶴見さんや浜松さん自身が共感できるものをセレクトし、そこに私たち自身も共感できる部分があるからなのだろう。

『CATALOG』で服を手にとるようす

お店を始めたきっかけと出会い

もともとアパレル関連の商社での同僚だったという、浜松さんと鶴見さん。静岡には、2人とも転勤をきっかけにやってきたのだそう。一緒に働く中で意気投合し、後にどちらからともなく「一緒に自分達の古着屋をやってみないか」という話が持ち上がった。

『CATALOG』店主浜松さんとバイヤーの鶴見さん

その場所に静岡を選んだ訳について2人は、
「転勤が一番のきっかけでしたけど、静岡の街並みや人柄、ゆったりした気候、過ごすのにちょうどいい規模感、空気感…いろいろな魅力を感じて決めました」と話す。

自分達のことを、いち個店のスタッフでもあり、地域を楽しむ人のひとりだという浜松さんと鶴見さん。
近所のお気に入りの定食屋に通ったり、静岡の山奥でキャンプを楽しんだり、お客さんとしてイベントに参加したり。それがお客さんとの会話の共通点となることも。

服だけじゃない『CATALOG』としての活動

『CATALOG』店内

開店当時は古着やインポートの洋服を扱うことから始めたが、次第に「カルチャー全体のおもしろさを伝えていきたい」という想いを抱き、店内スペースを使った音楽・食・アートなど幅広いジャンルのイベントを主催するようになった。

『CATALOG』独自の視点で、音楽・食・アートなどのカルチャーの魅力を発信する「CATALOG.CULTURE.CLUB(カタログカルチャークラブ)」という活動も。主催イベントもこの活動の一部としながら、Instagramなどでも発信を続けている。

「CATALOG.CULTURE.CLUB」Instagram

「古着屋としてではなく、自分たちとしてカルチャーの魅力を伝えたい。丸5年近くやってきた中で、そんなことを考えるようになりました」と鶴見さん。

『CATALOG』店内のレコードを見る様子

壁に飾られているのは、音楽好きの浜松さんやこの街のDJたちがセレクトしたレコード。定期的にレコードのポップアップイベントも開催している

「CATALOG.CULTURE.CLUB」は、古着屋としての『CATALOG』とは別のものとして考えているという。そこには、あえてカラーを決めずさまざまなことにチャレンジしてみたいという2人の意志があった。
一方でその活動が『CATALOG』の認知へとつながり、今では「CATALOG.CULTURE.CLUB」の活動をきっかけにお店へ来てくれる人が増えたのだそう。

浜松さんが話す様子

「『CATALOG』に来る理由が“服が好きなこと”だけになってしまうのは寂しいですよね。お客さんがここに訪れるための間口を広げてあげるってことは、僕の中ですごく意識していますね」と浜松さん。

「あのお店でレコード売ってるらしいよ。でも古着屋なんだって」
「自分の好きなカフェが、あの古着屋さんでイベントやるんだってさ」

自分の“好き”に引っかかるものを見つけて足を運ぶと、そこには自分の知らなかった魅力的なカルチャーへの入口が待っているのだ。

『CATALOG』での試着の様子

『CATALOG』とコーヒーの話

前職を辞めてからお店を始めるまでの2年間、静岡市を中心に店舗を構えるドリンクスタンド『hug coffee』のお仕事を手伝っていた2人。そうするうちにコーヒーの魅力に惹かれていったという。

『CATALOG』オリジナルブレンドコーヒー

それがきっかけとなり、『CATALOG』では、『hug coffee』と共同で制作するコーヒー豆を販売。さらに、奥のカウンターでは、浜松さんや鶴見さんと何気ない話をしながら、ゆっくりコーヒーを飲むことができる。

注文してからていねいにハンドドリップで淹れてくれるコーヒーは、とてもよい香りで味わい深い。カウンターでは、コーヒーだけでなくビールなどのお酒も楽しめるそうだ。

コーヒーを飲みながら鶴見さんと話す

「お客さんには、ここに遊びに来るような感覚で来てもらえたらいいなって思っているんですが、ふらっと訪れた古着屋で『何も買わないで帰るのが気まずいな…』って思ったことありませんか?僕、その空気感が苦手で」と鶴見さん。
お店でコーヒーやドリンクを提供するようになったきっかけのひとつに、服以外にもお客さんが楽しめるものを提供したいという想いがあった。

最近では、お菓子作りが得意なスタッフが焼いた焼き菓子を、コーヒーと一緒に提供することも考えているのだという。

コーヒー

「これからのイベント出店では、“コーヒーのお店”として出ることも考えていて。服屋としてだけでなく、他にもいろいろできることがありそうだなって」と浜松さん。

『CATALOG』のこれから

浜松さんが話す様子

浜松さんはお店のこれからについて、こう語ってくれた。

「とにかく『CATALOG』をずっと続けていくこと。お客さんに楽しんでもらえる企画はどんどん試していって、ここでいろんなきっかけを作りたいんです。たとえばだけど、“静岡のちいさなお店が青葉公園で始めたイベントが、今や誰もが知っているビッグフェスに!”なんてのもひそかな夢で。そのためには何より健康でいなきゃね(笑)」

『CATALOG』が開店してからわずか2年目でコロナ禍に突入。鶴見さんも「夜逃げしたくなるくらい厳しかったです」と話すように、常に何が起こるかわからない状況でお店を長く続けていくことは、とても難しいことなのだ。

『CATALOG』の前で談笑する様子

「こうして僕たちもなんとか乗り越えた今、コロナでたくさん制限されてきた若者たちにも、いろんな居場所を作ってあげられたらいいなと思っています」と浜松さん。

ジャンルを超えた衣・食・住の新しい発見。『CATALOG』のある街は、これからもっとおもしろくなるに違いない。

『CATALOG』

営業時間/12:00〜21:00
休業日/なし 
電話番号/054-292-6639
住所/420-0035
静岡県静岡市葵区七間町11-7
駐車場/なし(近隣コインパーキングあり)

『CATALOG』WEBサイト

『CATALOG』Instagram

浜松さんと一緒に選んだ服
更新日:2023/3/31

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