「昭和レトロ」を通して伝える、あたたかな焼津の魅力/焼津レトロ商店街
「昭和レトロ」をキーワードに、焼津の魅力を切り取り発信する活動「焼津レトロ商店街」。この活動の部員である水野さんとぎんちゃんに、活動のきっかけや想い、おふたりの目線からの焼津の魅力を伺った。
ゆっくりと時間が流れる、焼津のまち
焼津駅の南口を出てふらりと歩くと、商店街に流れる楽しげな昭和の歌謡曲が聞こえてくる。あたたかな陽に照らされ、穏やかでどこかゆっくりとした時間の流れを感じる焼津のまち。
今日はある活動を取材すべくここへ訪れた。その名も「焼津レトロ商店街」。
「焼津レトロ商店街」って?
「焼津レトロ商店街」は、焼津駅前通り商店街、西町通り商店街、昭和通り商店街、神武通り商店街という焼津市内の4つの商店街に若い力や賑わいをもたらすべく生まれた活動だ。
焼津の商店街に存在する“昭和レトロ”を探し歩き、部員ならではの新しい角度や目線でSNS発信をしている。
そんな「焼津レトロ商店街」の部員である2人をご紹介。
水野 優子さん
2021年に埼玉から焼津市に移住。もともとインテリアショップなどで接客業をしていたが、コロナ禍をきっかけに接客業の経験を活かしつつWEBやデザインの仕事ができる場所を探し、まちづくりとデザインを行う『株式会社ナイン』に就職。現在は焼津駅前通り商店街にある『PLAY BALL! CAFE』で、コミュニティデザイナーとして焼津のまちづくりに貢献している。
ぎんちゃん
焼津市出身で、現在は焼津市地域おこし協力隊の一員として活動している。関東や九州など日本中を放浪して多くのまちのことを知ったのち、再び焼津の魅力に気づきUターン移住。明るく朗らかな笑顔でまちを照らすキーパーソンだ。焼津でけん玉を教える「けん玉お兄さん」としても活動中。今日もぎんちゃんの首にはけん玉が…!?
—----------こんにちは!今日は「焼津レトロ商店街」のことをたくさん知りたくて伺いました。
「こんにちは〜!よろしくお願いします!」
「この活動は、『まちの魅力を、WEBやSNSの力を使ってもっと広いところに発信できないだろうか?』という、焼津に住む人たちの声から生まれたんですよ」
—----------どうして「昭和レトロ」というキーワードに注目したのですか?
「いまの若者が興味のあることと、焼津の商店街がもともと持っている魅力の共通点が「昭和レトロ」にあることに気づいたんです」
「焼津って“魚のまち”っていうイメージが強いと思うんですが、新たな角度から焼津以外に住む若者や地元の人にも魅力を再発見してもらいたくて、2022年4月から発信を続けています」
おふたりが思う、焼津の魅力って?
—----------おふたりの目線での、焼津の魅力ってなんですか?
「僕は、焼津の“空気感”が大好きなんです。歩いている人のスピード、距離感、空気のにおい、音…いろんなまちを巡ってきた中で、焼津が一番心地いいって思うんです」
「私は、人のあたたかさに触れられるところかなあ。たまに近所のお店の人が『カレー持ってきたよ!食べな!』って分けてくれたり、まちですれ違う人がみんな挨拶してくれたり。普段の何気ないコミュニケーションがとっても心地よくて」
「そうそう、みんなが面倒をみたり気にかけてくれるよね。しかも、面白い人が本当にたくさんいる(笑)」
—----------新しく焼津に移住してきた人と、古くから焼津に住む人たちの関係性はどのような感じですか?
「私のような新しい顔ぶれも、みんなとってもあたたかく受け入れてくれます。移住してすぐは、縁もゆかりもない街でホームシックになるかな…と不安に思っていましたが、すんなりと馴染むことができたのは、古くからいるまちの人たちのおかげなのかなって」
「みんな若い世代の力を信じて、まちで生まれる活動をすごく応援してくれていて。『私たちにはできないことをやってくれているから、とってもありがたいよ』と言ってくれる人が多いんです」
—----------あらためて、焼津って素敵だな〜と感じられるエピソードですね!
若い世代にとっての「昭和レトロ」の魅力とは
—----------平成〜令和生まれの若い世代にとって、「昭和レトロ」ってどんな存在なんでしょうか?
「“一周まわって新しい”かな。例えばこの前、近所のお店に眠る古いそろばんを見せてもらったんですが、『ああ、これを使っていた時代があったんだ』と新鮮な気持ちで触れることができたんです。実際に使っていた世代にとっては懐かしいし、若い世代にとっては新しい感覚なんだと思います」
—----------若い世代にとって新しいだけでなく、どこか“懐かしい”という感覚があるのは何故なんでしょう?
「テレビや映画で、昭和の時代がどういうものだったのか、何を使っていたのかを知ることができるようになったからなのかなあ。不思議な感覚ですよね!両方の感覚を感じられるのが、若い世代にとっての「昭和レトロ」の魅力かもしれないな」
—----------それぞれこの活動を通して気づいたことはありますか?
「古いモノとしての魅力ではなくて、地域の人を通してまちの歴史や「昭和レトロ」を知ることができるっていう、活動自体の魅力があるなって感じられたことですね!」
「私は、”歩く”っていうスピードが、このまちで「昭和レトロ」や魅力を探すポイントだなって気づいたんです。車や自転車から降りて、ゆっくりと歩きながら見つけていく。お昼ごはんを買いに行きがてら、よく「焼津レトロ」探索しています」
「焼津レトロ商店街」の活動に密着してみた
水野さんとぎんちゃんの実際の活動についていかせてもらうことになった。
『PLAY BALL! CAFE』を出て、ふらりと商店街を歩く。
—----------これからどこに行かれるのですか?
「あんまり決めずに、心のままに歩いてみましょう!」
「いつもネタ探しのためにまちを歩くというよりは、普段の暮らしの中で発信できることを見つけることが多いんです」
「焼津レトロ商店街」から発信される、“ここに暮らす人目線”の情報はとてもリアルだ。
そして、水野さんとぎんちゃんが知りたてホヤホヤの情報を、SNSを通して知ることができる。
時計やメガネ、貴金属を販売する『福与時計店』の前を通りかかると、たまたまお店の外に出ていた3代目店主の福与 功一さんが「よっ!」と声をかけてくれたので、少し立ち話を。
—----------『福与時計店』はいつ創業されたのですか?
「昭和10年だよ。2023年で創業88年目になるね〜」
「うお〜!あと干支一周で、100年だ!」
「すごい…!創業からずっとこの場所でやっているんですか?」
「そうそう、ずっと同じ場所。ひとつの仕事ってさ、長く続けていくことはすごく大変だよね。僕らもお店も、時代にあわせて少しずつ変化していくことも大切だなって思ってるよ」
焼津のまちでは、こうして何気ない会話やコミュニケーションが自然と生まれ、人とのつながりを感じることができる。
つぎに訪れたのは、焼津駅南口からすぐのところにある、お弁当・お惣菜のお店『ランチステーション』。
昔ながらのお弁当屋さんとして、焼津市民に愛される。定番の「のり弁」や、日替わりのお惣菜も人気だが…
2人のおすすめは「おにぎり」。
「ここのおにぎりは注文した後に握ってくれるので、ホカホカで絶品なんですよ」
「おにぎりの具材、私のおすすめはおかかです!」
「僕はツナマヨだな〜!」
2人はそれぞれ好きな具材を購入し、次に向かったのは『PLAY BALL! CAFE』のお隣にあるパン屋さん『パリジャン マツダ』。
—----------看板も、レトロで可愛い!
「ですよね〜!看板は私もお気に入りです。そして何より、ここのパンは素朴でとってもおいしいですよ」
おふたりと一緒にお昼ごはんのパンを選ぶことに。
どれにしようか迷ってしまうほどに、たくさんの種類のパンがずらりと並べられている。
「私、『パリジャン マツダ』さんのパンが好きすぎて、『PLAY BALL! CAFE』でお客さん向けにパンあたため専用のトースターを導入したんです(笑)」
—----------えっ!ではこの後さっそく使わせていただきます!(笑)
迷った末、素朴さに惹かれ選んだパンは「うぐいすあんぱん」と「スリーロール」。
『PLAY BALL! CAFE』のトースターで、チン!
香ばしく焼き上がり、より美味しくパンをいただくことができた。
—----------おふたりと活動をともにしてみて、焼津の人のあたたかさに触れることができました。
「やっぱり焼津のこれからの未来は、“人”がキーワードなんですよね」
「私もそう思う!みんなで魅力的な商店街を作っていきたいよね。私たちはインスタライブで活動の企画ミーティングを公開したりしているんですが、コメントで『それいいね〜』『それなら自分も協力できるよ』と焼津に住む人はもちろん、市外の人もゆる〜く参加してくれるんです。これからは、こんなふうに気軽に活動に参加できる取り組みもやっていきたいですね」
—----------私も参加してみたいです!
「ぜひ!!!」
これからの活動も目が離せない!
「焼津レトロ商店街」Instagramでは、懐かしくて新しい、「昭和レトロ」なあれこれを発信中!みんなが見つけた焼津のレトロを、ハッシュタグ「#焼津レトロ」で教えあおう。