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PIZZA HOUSE HI-HOO(ピザハウス ハイホー)/親子3代で楽しめる、変わらない味と変わらない空間

PIZZA HOUSE HI-HOO(ピザハウス ハイホー)/親子3代で楽しめる、変わらない味と変わらない空間

「PIZZA HOUSE HI-HOO(ピザハウス ハイホー)」は、呉服町通りのそばにある、1968年創業の老舗洋食店。看板メニューのピザや、定番人気メニューのオムライスのおいしさの秘密のほか、店主 工藤さんが長くお店を続けるために大切にしているこだわりを伺った。

老舗洋食店のレトロな雰囲気に誘われて

賑やかな居酒屋が軒を連ねる呉服町通りのそば、ビルの2階にひっそりとお店を構える「PIZZA HOUSE HI-HOO(ピザハウス ハイホー)」。
静岡のピザハウスの草分け的存在として、50年以上も愛されている老舗洋食店だ。

お腹を空かせながら階段を上がった先には、心が弾むおいしそうなメニューが並ぶショーケースが。今ではすっかり珍しくなった食品サンプル。思わず立ち止まって眺めてしまう。

厨房を囲むカウンターが印象的な店内は、あたたかくレトロな雰囲気。
ひとりでも入りやすく、カジュアルに洋食を楽しめるのが魅力だ。

注文が入ると、厨房からデミグラスソースやチーズのおいしそうな香りがふわっと漂う。

看板メニューのピザと、昔ながらのオムライス

看板メニューのピザは、独自にブレンドしたチーズに野菜・肉・シーフード・フルーツなど、さまざまなトッピングで自分好みのピザをつくることができる。

一番人気は「Hi-Hooミックス」。ポークやベーコン、サラミ、小エビ、オニオン、トマト、マッシュルーム、ピーマンの定番トッピングがミックスされている。

ピザ「Hi-Hooミックス Mサイズ」1480円

創業当時からの味を守ってきた、ベテランのコックの杉山さん

人気メニューのひとつであるオムライスは、注文が入るとすぐに、手際よくベーコンや玉ねぎなどの具材を炒めていく。ずっと眺めていたくなるような、熟練のスピード感だ。

漂うバターの香りとともに聞こえてくる、フライパンを回すガタンガタンという音が心地よい。

炒めたベーコンやたまねぎ、ケチャップライスを卵でふんわりと包み、手間暇かけて作られたデミグラスソースをたっぷりとかけてできあがり。

コクがありやさしい甘みに、ピリッと黒胡椒のアクセントがきいた「PIZZA HOUSE HI-HOO」のデミグラスソース。どこか懐かしく、クセになる味わいだ。
スプーンで少しずつ崩しながら、ひと口、またひと口と食べすすめていく。

「以前は、流行に合わせて新しいパスタやデザートのメニューを取り入れようとしてみたんだけど、お客さんが頼むのは結局定番のメニューの方だったのね。
それで、うちは新しいものを追いすぎるんじゃなくて、昔ながらの味を守っていくことが大切なのかなと気づいたの」と2代目店主の工藤さんは話す。

「オムライス」1080円

ほかにも「チキンレバーソース」は、他店ではなかなか食べられない珍しいメニューだそうだ。オムライスやピザにもかけられるので、ぜひ注文してみてはどうだろう。

親子3代で通える、変わらないお店を目指して

「PIZZA HOUSE HI-HOO」の歴史について、2代目店主の工藤さんにお話を伺った。

「初代店主の父は、渋谷で営んでいたゴルフショップを閉めて、当時仲の良かったお客さんが住む静岡で飲食店をはじめようと思い立ったの。ピザハウスになったのは、父がピザが好きだったからよ」

当時、静岡県ではとても珍しかったピザハウス。
「PIZZA HOUSE HI-HOO」で初めてピザを食べるというお客さんも多かったという。

「最近は、創業当時からの常連のお客さんが、自分の子どもや孫を連れてお店に来てくれるの。『あの頃と変わらないね』と言ってもらえるのがとても嬉しくて」
と工藤さんは朗らかに笑う。

昨年11月に亡くなった工藤さんのお母様は、生涯現役を貫き、最後までお店に立っていたそうだ。その姿を見て、周囲の老舗店は「うちもまだまだ頑張らなきゃ」と勇気をもらっていたのだという。

工藤さんは、長くお店を続けていくことについてこう話した。

「『変わらないね』って言ってくれるお客さんのために、昔からの味や雰囲気を変えたくないなってどれだけ思っていても、時代が変わったり値段が上がったりして、周りの環境が変わっていっちゃうんだもの。同じものを使っていくのも大変だし、なんだか切なくってね。それでも、うちは“変えない努力”をしていこうと思ってるの。

バブル期に洋食屋さんがたくさん増えて、このお店を一度忘れてしまったお客さんも、いつしかまた戻ってきてくれた。今でも足を運んでくれるお客さんが、『ああ、懐かしいね』って思える場所であってほしいなって」

めまぐるしく変わっていく街の中で、変わらない老舗店としてあり続ける「PIZZA HOUSE HI-HOO」。時代が変わり、お店を愛してくれる新しいお客さんも増えたのだとか。

「最近はね、うちみたいなちょっとレトロなお店がかわいいんだって、若い子たちが来てくれるのよ。昔からの雰囲気を変えたくなくて、内装や机、ランプ、時計も昔のままなの」

女性同士、深い話をしたい時。友達同士でわいわい賑やかに過ごしたい時。
長い時間ゆっくりと話せる場所が減った今、時間を忘れて気兼ねなくおいしい料理が楽しめるお店はとても貴重だ。
「PIZZA HOUSE HI-HOO」でピザを囲みながら生まれる会話は、いつもより少し明るい。

「PIZZA HOUSE HI-HOO(ピザハウス ハイホー)」

住所/静岡市葵区紺屋町6-10 大石ビル2F
営業時間/11:30~15:00(L.O.14:45)、17:00〜21:15(L.O.20:45)
定休日/火曜(祝日の場合は翌日休)
電話番号/054-254-0830
駐車場/なし

ライター
WOMO編集部 坂本

その人らしさやそこにある想い、空気感、手触りを大切に書いています。まちを歩いて、自分だけの“好き”を見つけることの楽しさを、文章を通して伝えられたら嬉しいです。

紹介スポット

静岡市葵区

PIZZA HOUSE HI-HOO

親子3代で通うファンも。ひとりでも入りやすい、静岡駅前の老舗洋食店

更新日:2024/3/14

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