【第五回】早朝の銀座で浮かれていると…
1日目 日本橋~鮫洲 ③
「コマ切れ東海道あるき旅」連載一覧
http://womo.jp/column/index/series/8/
womoライターで寄り道担当の妻【こしあん】と、下調べと三脚担当の夫【つぶあん】。「あんこは、こしあんかつぶあんか」のような、ある意味どうでもいいけれど永遠のテーマを時おり議論しながら、東海道五十三次を“コマ切れ”で歩きます。お供は磐田市イメージキャラクター「しっぺい」です。日頃まったく運動せず、極度の面倒くさがりである二人が、どこまで頑張れるか、どうぞ笑いながら見守ってください。(筆者:つぶとこし)
第五回 早朝の銀座で浮かれていると…
早朝の銀座を悠々と歩いていると、ティファニーの前で『銀座発祥の地』碑を発見しました。
“銀座”というのは江戸時代の“銀貨鋳造所”のこと。1612年に銀貨の鋳造所がこの地に移ってきたのですが、なんと、その前は駿府(現・静岡市の両替町)にあったのです!
静岡市の街中の両替町通りに『駿府銀座発祥の地』碑があります。
駿府の銀貨鋳造所は、1606年に徳川家康が駿府城に入った際に造られたもの。それにより周辺には多くの両替商が集まったため、「両替町」と呼ばれるようになり、現在もその地名が残っているんですね。
というわけで、銀座のルーツは静岡なんですよ~。
静岡の皆さん、銀座に行ったら、
銀座はもともと静岡にあったんですのよ。おほほほ~
と、先輩ヅラしていいんですよ~(*^_^*)
ちょっと間違った方向の優越感に浸りながら進んでいくと、銀座四丁目の交差点に到着。銀座といえば、ココ! ベタな銀座の風景ですね。
銀座来たどぉーーー! という実感が湧きます。
日本橋から歩いてここまで来ると、電車に乗って来るのとはまた違った思いがありますね。道のつながり、歴史のつながりを感じます。
久しぶりの銀座にドキドキです。キョロキョロと、おのぼりさん感を出し過ぎなので、人が少ない早朝で良かったなぁと安堵。
ユニクロの窓際に等間隔にズラッと並ぶ、今にも動き出しそうなマネキンにおびえ、開店前のLaOX免税店に集まる外国人の方々を見ては「お金いっぱい使って、日本経済の回復に協力してくださ~い」と心の中でつぶやいてみたり。
とにかく、早朝の銀座は新鮮で、歩いているだけでも楽しいのです。
そうこうしているうちに新橋に到着。奥に見えるのが、『ゆりかもめ』への通路です。
そしてこちらが、明治中期の銀座の写真。手前が新橋で、奥が銀座になります。当時、新橋から日本橋まで鉄道馬車が走っていたそうです。
さて、ここまでで約1時間歩き、ちょっと疲れてきました。というか、寒さにやられました。
この日は2月1日。真冬も真冬、ど真冬です。暑い夏は体力が奪われ、歩き旅には向かないと思っていましたが、寒さがこんなにも身に応えるとは思いませんでした。
そして、ちょっと歩けば冬でもじんわり汗をかくだろうと思っていましたが……
歩けども歩けども一向に暖かくならない(+o+)
これは予想外でした。この日はとりわけ寒い日で、日中の気温は最高でも7度くらいにしかならず、加えて都心はビルばっかりなので、ほとんど陽が当たらないのです。
高い建物があまりない、暖かい静岡の生活に慣れてしまい、都会のキビシイ寒さを忘れておりました(>_<)
智恵子は東京に空がないと言ふ、
ほんとの空が見たいと言ふ。
寒さと疲れで朦朧とするなか、高村光太郎の詩集『智恵子抄』の一説が浮かびます。
智恵子の言う「ほんとの空」は、阿多多羅山の山の上に毎日出ている青い空ですが、静岡人のほんとの空は、日本平の山の上に出ている空でしょうか。
きっとみんなそれぞれに「ほんとの空」があることでしょう。
真冬の東京をなめたらいかん。
寒さによる体力の低下をなめたらいかん。
ここらへんで一気に疲れがおそってきて、頭痛はするわ、足は痛いわで、先に進む気力がなくなってきました。スタートしてまだたったの1時間だというのにこの疲れっぷり。
私達が日頃、どれだけ運動不足なのか
ここ2、3年は慢性的に背中が凝っており、最近はヒザにも痛みが(>_<)
コワイ…忍び寄る老化現象は、心霊映像よりよっぽどコワイ…
パトラッシュ、ボクはもう疲れたよ……
ボロボロになりながら進むなか、道の向こう側に喫茶ルノアールを発見! もう歩けないよ、ここで休憩だよ!
しかし「反対側に渡りたくないから」という理由で、つぶあんに却下され、心の底からイラッとする(-_-メ)
この先はビジネス街なので、たいしておもしろいものもなく、ひたすら寒い中を歩くだけ。
そして二人とも無口になる。
あぁぁぁ、おうちに帰りたい……(T_T)
つづく
【つぶとこしがこれまで歩いたルート】
連載履歴
「コマ切れ東海道あるき旅」連載一覧
つぶとこしの『コマ切れ東海道あるき旅』 文章担当の妻【こしあん】と写真担当の夫【つぶあん】。日頃まったく運動せず、極度の面倒くさがりである二人が、東海道五十三次を“コマ切れ”でゆるゆると歩きます。