もしライフラインが止まったら?「 備え」について考えよう。
2022年9月の台風15号では静岡市清水区を中心に停電や断水が起こり、困った方も多かったのではないだろうか。WOMO編集部に寄せられた当時のリアルなお困りごとをもとに、ライフラインが止まってしまった場合に備えておくべきものや心がまえを、防災の専門家である高荷(たかに) 智也さんと一緒に考えた。
【このイベントは終了しました】8/19(土)開催 中部電力×WOMOイベント「わたしの防災カフェ」参加者募集中!
防災の専門家、高荷 智也さん
静岡県三島市在住。「備え・防災アドバイザー」「BCP策定アドバイザー」として、講演・執筆・コンサルティングを請け負い、メディアにも出演。心配性で怖がりな性格で、常に災害に不安を抱えていたことから独学で防災について学び始め、そこで身につけた知識を周りの人にも知ってほしいとの思いでアドバイザーとなる。備え・防災について発信する自身のYouTubeチャンネル「死なない防災!そなえるTV」はチャンネル登録者数11万人を超える。
「鈴木さんこんにちは。備え・防災アドバイザーの高荷です。高い所に荷物を置くとあぶないよ、の高荷と覚えてくださいね。よろしくお願いします!」
「とても覚えやすいキャッチフレーズですね!今日はよろしくお願いします!さっそくなんですが、高荷さんの胸ポケットからかわいらしく顔を出しているものがさっきから気になって…(笑)」
「これ実は、持ち歩ける防災ポーチなんです!僕のお気に入りのキャラクターポーチの中に、災害が起きた直後に一番に必要になるライトと笛が入っているんですよ」
「へぇ〜!かわいいのに便利!常に持ち歩くということもポイントなんですね。高荷さんにもっと災害への備えについてお話をお聞きしたいです!」
「もちろんです!今日は気になることは何でも聞いてくださいね」
静岡を襲った台風15号の水害をふりかえる
2022年9月、台風15号により静岡市周辺は深夜から明け方にかけて猛烈な雨が降り、12時間降水量は静岡市内で観測史上1位を更新。静岡市清水区の巴川とその支流の一部で越水が起き、床上・床下浸水が発生した。
清水区では6万戸以上が断水、また広範囲で浸水や土砂崩れが起き、多くの市民の生活に影響を与えた。
※出典:静岡大学・2022年台風15号により9月24日に発生した静岡市の洪水に関する報告
高荷さんに聞く、台風15号を教訓にした“今できる防災”
「台風15号の勢力が一番強くなった時間帯は夜中だったので、私は朝起きてはじめて大きな被害があったことを知りました。自宅も停電し、電話もつながらずとても困ったんです…」
「鈴木さんと同じように、台風の被害に気づかず、朝起きて被害状況を知ったという方はとても多かったんですよ。『まさか自分の家が』と考えがちで、特に断水に対する備えをしていなかった被災者もたくさんいらっしゃいました」
「そうだったんですね…しかも当時、台風の被害によって新幹線や高速道路などの主要な交通機関が断たれてしまいましたよね」
「その影響で、静岡だけでなく全国的に流通網が一時麻痺状態に。物流が止まって広域の方々が影響を受けていました。もし今後どこかで災害が起こったときに、被災地にはいなかったとしても間接的に生活の一部に支障が生じるような状況があることを意識してしっかりと備えておくことが大切です」
「なるほど…たしかに困るのは被災地だけではないですよね。私もこれから意識してみます」
WOMOにも多数寄せられた、ライフライン停止による「困ったこと」
台風15号の被害当時、WOMO編集部へ読者から多数寄せられた「困ったこと」も一部紹介しよう。
「WOMO読者のみなさんからのリアルな声はとても貴重ですね。こんなふうに、断水、停電、ガス停止など、ライフライン別に困りごとや備えておくべきものが異なるんです。この声をもとに、ライフラインが止まってしまった場合にどうすれば良いのか、何を備えておくと良いかを一緒に考えてみましょう!」
「よろしくお願いします!」
実際にグッズを使って知ろう!「ライフライン停止、何を備えておくと良い?」
高荷さんの事務所には、こんなにたくさんの防災グッズが!
ここからは、数多くの防災グッズを知る高荷さんに、ライフラインの停止に備えて何を準備しておくと良いかを実際にグッズに触れながら伺った。
断水してしまったら…
「断水には、2つの方向性で備えましょう!1つは飲料水やごはんを調理するための『水(液体)そのもの』の準備。もう1つは生活用水などの『水の機能』を補う備えです」
「『水(液体)そのもの』は、ペットボトル水などでしょうか?」
「そうですね!ウォーターサーバーの水でもOKです。普段飲んでいるものを箱で買い、なくなる前に箱ごと補充する『日常備蓄(ローリングストック))』を実践してみてください!1人1日3リットルが目安となりますので、3日分の備蓄で、最低でも1人あたり2リットルのペットボトル水×5本。余裕をもって、2リットルのペットボトル水6本入りの箱を用意すると良いでしょう」
「次に、生活用水などの『水の機能』への備えについて。断水時に一番困るのは、トイレ、風呂などが使えなくなることです。この非常用トイレは、防災グッズの中でも最重要備蓄品のひとつ。最低でも1日5回分を1週間分、できれば2週間分用意したいところです。おすすめはこちらの『BOS(ボス)シリーズ』。防臭袋が入っているので、ゴミ収集が滞り汚物が廃棄できなくても臭わずに快適です」
「非常用トイレの存在は知っていたけど、使い方がわからなくて…」
「トイレの便器に袋を被せて、排泄後に付属の凝固剤を入れて液体を固めます。その後袋の口を縛り、BOS防臭袋に入れてしっかり縛ります。これは自宅の便器を使用するタイプですが、地震による建物倒壊などにより自宅のトイレが使えない場合は非常用簡易トイレ(組み立て用の便器)が必要になります」
「他に断水時の備えとして、ウェットティッシュを用意してください。赤ちゃんのおしりふきなら、量もたくさん入っていて日常で使えるので役立ちます。トイレのときはもちろん、風呂に入れないときに身体を拭いたり、洗顔替わりにもなりますよ」
「おしりふきは色々使えて便利ですね!赤ちゃんがいなくても持っておきたいです」
【コレを備蓄しておこう】
・飲料水
・非常用トイレセット
・ウェットティッシュ(おしりふき)
ガスが止まったら…
「電気やガスが停止して、調理器具が使えないときには、カセットコンロが役立ちます。こちらも先ほどの非常用トイレと同じくらい最重要備蓄品のひとつと言えます。お湯が沸かせるだけで非常時の食事の選択肢が広がりますし、夏場は食中毒の回避にも。カセットコンロに使用するガスボンベは、1本で約60分(約1日分)使えます。最低3日分は欲しいので、家族1~2名ごとに3本入り1パック(約3日分想定)を目安に備蓄してください」
「カセットコンロは私も持っています!災害への備えになるとは考えていなかったので、勉強になります」
【コレを備蓄しておこう】
・カセットコンロ(シングルバーナー)
・ガスボンベ
停電したら…
「こちらは停電すると点灯する『停電時自動点灯ライト』です。急な停電に備えて、風呂場の脱衣所や枕元につけておくと安心です。コンセントタップ型になっているものは、日常と災害時、どちらにも役立ちますよ」
「こちらの懐中電灯は発電機能がついていて、乾電池や電源が必要ありません。振ると発電するので半永久的に使えます」
「ライトだけでも頼もしいグッズがたくさんあるんですね!」
「さらにこんなものも。インテリアとしても使える『ソーラーパネル付きランタン』は、太陽光でもUSBでも充電できます」
「これ、とってもかわいいですね!私も欲しい!」
「ペットボトルランタンも非常時に役立ちます。懐中電灯の上に水の入ったペットボトルを乗せるだけで、光が乱反射して周りを照らすことができます。もし油があったら、水入りペットボトルに1cmほど油を入れて、振ってから照らすとより明るく発光します。懐中電灯がない場合は、スマートフォンのライトの上に乗せても十分明るいですよ」
「こんなに明るさに差が出るんですね!知っておくと役に立ちそう」
「乾電池、モバイルバッテリーも準備が必要です。防災専用に長期間保管するなら、乾電池をメインに準備してください。とりあえずスマホだけ充電したい、という場合はモバイルバッテリーや小さなモバイルソーラーパネルが使えます」
「コンセント口がついたこの装置は何ですか?」
「ポータブル電源ですね。コンセントが使えるので、小型のものなら扇風機やウォシュレットトイレを動かしたり、大型のものなら電子レンジやエアコンを動かしたりと、家電にも幅広く使えるのが特徴です」
【コレを備蓄しておこう】
・停電時自動点灯ライト
・懐中電灯
・乾電池
・モバイルバッテリー
・モバイルソーラーパネル
・ポータブル電源
ゴミ回収が止まったら…
「災害で道路が通行できなくなるとゴミ回収が滞り、残飯や非常用トイレの汚物は自宅で管理しないといけなくなります。そのためにできることは、普段からゴミ袋を多めに確保しておくこと。ゴミ袋に消費期限はありませんので、場所が許す限り多めに準備すると良いでしょう」
「ゴミ回収が滞ってしまうというのは、案外想像しにくいですよね…でもゴミ袋なら普段から準備しやすいです!」
「トイレ、生ゴミ用にはBOS防臭袋がおすすめですよ。さらに、ゴミ袋は断水時に水を運ぶためのポリタンクとしても使えます。段ボールに袋を二重に被せて水を入れ、袋の口を縛ると水のタンクとして運ぶことができるのです。リュックサックの内側に袋を被せて背負える水タンクにすることもできますよ」
【コレを備蓄しておこう】
・ゴミ袋
・BOS防臭袋
流通が止まったら…
「災害などで流通が止まり、買い物ができなくなる状況には『日常備蓄(ローリングストック)』で対応します。いつも食べている食品を多めに買い置きしておき、 賞味期限が近いものから順番に消費し、消費した分を買って補充することで一定量の食品を備蓄する方法です」
「水の備えと同じく『日常備蓄(ローリングストック)』は重要ポイントですね」
「主食は缶詰がおすすめです。防災食は最近はバリエーション豊かで、常温でも美味しいものも増えてきました」
「非常時にどこでも温かい食事がとれるものもあります。こちらは箱の中にごはんとカレーと発熱材がセットで入っていて、いつでも熱々のカレーが食べられるという優れものです。他にも、最近おすすめしているのが豚汁やけんちん汁とごはんのセットです。不足しがちな野菜、水分をしっかり摂れますし、ごはんに汁物を入れて常温で60分、温めた汁物なら15分ほど待つと炊き込み風ごはんにもなるんですよ」
「試しに食べてみたいものがたくさんありますね!」
最後に、高荷さんよりメッセージ
「防災には、長距離走の覚悟が必要です。今この瞬間で終わる話ではなくて、5年後、10年後、30年後と、死ぬまでやり続けなくてはいけないのが防災だと思っています」
「なんだか…果てしなく感じてしまいます…」
「そうですよね。そのために大事なことは、“気合いを入れすぎないこと”。まずは命にかかわるところから少しずつ始めてみてください。3日分から準備して、うまく行ったら1週間、次は2週間…と少しずつ楽にできる範囲で進めるなど、継続してじっくり災害対策に取り組んでいただきたいですね」
「私もできることから始めてみようと思います!高荷さん、本日はありがとうございました!」
今回お話を伺った高荷さんの活動をもっと知ろう!
【このイベントは終了しました】2023年8月19日に WOMO×中部電力イベント「わたしの防災カフェ」を開催!
【このイベントは終了しました】
2023年8月19日(土)に静岡市のカフェ『hug coffee 両替町店』にてWOMO×中部電力イベント「わたしの防災カフェ」を開催予定。防災の専門家 高荷智也さんをゲストに迎えた「備える防災」がテーマのトークショー、「こんなにおいしいの!?」と驚く防災食・防災スイーツの試食、13種類から好きなドリンクを選んで楽しめるカフェドリンクをご用意。さらに、参加者全員にhug coffeeのキーホルダー付き防災グッズ、hug coffeeのクッキーなどが入った特典バッグをプレゼント!
「防災はハードルが高くて、なかなか一歩が踏み出せなかった」という方も、トークショーやカフェドリンクを楽しみながら、気軽に参加できるイベントになっている。お友達と一緒に参加も可能。
※抽選20名(同時予約は4名まで)
※女性限定とする(お子様連れはご遠慮ください)
※写真・動画の撮影により、参加者様が写り込む場合があります。予めご了承のうえご応募ください
※イベントの模様は当社メディア、SNSに掲載される可能性があります
【このイベントは終了しました】中部電力×WOMOイベント「わたしの防災カフェ」概要
開催日程/2023年8月19日(土)
開催時間/10:00〜11:30(受付9:45~)
会場/hug coffee 両替町店(静岡市葵区両替町1-3-9 わかさビル1F)
(静岡駅から徒歩約16分/新静岡駅から徒歩約12分)
参加費/無料
駐車場/なし(周辺の有料駐車場をご利用ください)
定員/20名(応募者多数の場合、抽選)
備考/雨天決行
タイムスケジュール
9:45~10:00 集合・受付(ドリンク注文受付)
・ごあいさつ
・高荷さんトークショー・hug coffeeのドリンクを飲みながら
・防災食・防災デザートを食べてみよう!
・参加者限定おみやげバッグ配布
★参加者には無料でhug coffeeのドリンク2杯プレゼント
11:30 イベント終了
※申込締め切り…7/7(金)
※抽選結果…7/14(金)メールにてご連絡させていただきます
※応募はWebのみとなります
※応募受付後、2営業日以内に受付完了メールをお送りいたします
※土日・祝日のご応募の返信は翌営業日となります
※女性限定となります(お子様連れはご遠慮ください)
※備考欄に参加者全員の氏名、年齢をご記入ください。アレルギーのある方は、対象の
品目もご記入ください
※写真・動画の撮影により、参加者様が写り込む場合があります。予めご了承のうえご応募ください
※イベントの模様は当社メディア、SNSに掲載される可能性があります
主催/中部電力 共催/WOMO
協力/hug coffee(会場・ドリンク提供)、IZAMESHI