水と出会う、こころ潤う。やまなし1泊2日おでかけコース/北杜編
山々に育まれた名水や雄大な景色、豊かな実りを凝縮した一皿をめぐる旅。クルマでも電車でもアクセスしやすい山梨の、魅力たっぷり1泊2日のおでかけコースをご案内。第1弾は、北杜エリアでリトリート旅。
八ヶ岳に抱かれた身近な高原リゾートを満喫
山梨県北杜市は、八ヶ岳南麓に位置する自然豊かな土地。新東名高速道路新静岡ICからは約2時間で、旅のスタートとなる小淵沢ICに到着。中部横断自動車道を使えば、こんなに短時間でたどり着けることに驚く。
東京からでも、新宿駅から特急あずさで小淵沢駅まで2時間弱。駅周辺でレンタカーを借りれば、気ままな北杜めぐりのはじまりだ。期待に胸を膨らませ、いざ日常から非日常へ。
12:00 「ハーベストテラス八ヶ岳」で高原野菜のランチを堪能
まず向かったのは、雄大な自然の中に佇む 「ハーベストテラス八ヶ岳」。ファームtoテーブルがモットーの農園レストランだ。オーナーが惚れ込んだという南アルプスの景色を見ながら、目の前の畑で採れた新鮮な野菜など、地元食材を使った料理をいただく。
八ヶ岳の旬の恵みをギュッと凝縮したワンプレートの鮮やかさに、思わず声を上げる。目も舌も楽しい、大満足のランチタイムだ。
ハーベストテラス八ヶ岳(ハーベストテラスやつがたけ)
電話/0551-36-8100
住所/北杜市小淵沢町4869-1(カーナビ入力は小淵沢町5022)
営業時間/11:00~15:30(L.O.14:30)、18:00~21:00(L.O.20:00)
定休日/火・水曜
駐車場/あり 20台
14:00 「花カフェ tikka」で、人気のドライフラワーアレンジ体験と和やかティータイム
お腹が満たされたあとは、オレンジ屋根が目印のフィンランドログハウス「花カフェ tikka」を目指す。ここは、自家製ドライフラワーを使ったフラワーアレンジメント体験が評判の店。
店内には八ヶ岳産の色とりどりの自家製ドライフラワーが所狭しと並び、あたりに優しい花の香りが漂う。
スワッグ、リース、バスケットの体験メニューの中から、今回はスワッグをセレクト。常時30〜40種類ほどある花の中から、取り入れたいものを選んでいく。
「楽しい時間を味わってほしい」と話すオーナーの久米田さんは、ドライフラワーアレンジに魅了された、この道40年以上の大ベテラン。アドバイスを受けながら花と向き合っていると、徐々に気持ちが明るくなっていくのを感じる。
体験後には、手作りのレアチーズケーキと紅茶で、ほっと一息。甘さ控えめのケーキに添えられる、バニラアイスと爽やかなレモンジャム。ゆったりとしたティータイムの、和やかな空気にも癒される。
花カフェ tikka(はなカフェティッカ)
電話/0551-30-9203
住所/北杜市大泉町西井出8240-5180
営業時間/10:30〜17:00
定休日/木曜、ほか臨時休あり
駐車場/あり 8台
16:20 「HOTEL KEYFOREST HOKUTO」で非日常を感じるホテルステイ
八ヶ岳の森の中にある、斬新なデザインが目を引く全6室の小さなホテルにチェックイン。館内には、縄文文化にインスパイアされた空間が広がっている。
ホテルでは、シーズンごとにテーマが異なるアート作品を展示している。宿泊者は敷地内の「中村キース・ヘリング美術館」にも無料で入館できるのは、うれしいポイント。
プレミアムバーで地元のウィスキー「白州」を味わうのもこのホテルの楽しみ方のひとつ。世界各国のウィスキーや、オリジナルカクテルが豊富にそろう。
夕食後はプライベートの源泉かけ流し露天風呂を堪能してから、屋上スカイテラスへ。頭上に広がる満天の星の下、静かに夜が更けていく。
HOTEL KEYFOREST HOKUTO(ホテルキーフォレストホクト)
電話/0551-36-8755
住所/北杜市小淵沢町10248-16
営業時間/IN15:00、OUT11:00
定休日/無休
駐車場/あり 12台
「HOTEL KEYFOREST HOKUTO」公式ホームページ
2日目
10:30 「尾白川渓谷」で、エメラルドグリーンの風景に出会う
すっきりと目覚めた2日目の朝は、名水百選の一つである「白州・尾白川」へ。ここは「サントリー天然水南アルプス」のふるさとでもある。
竹宇駒ヶ岳神社の先にある吊り橋を渡って渓谷沿いに15分ほど歩くと、美しいエメラルドグリーンの景色が広がる「千ヶ淵」に到着。
さらに奥へ進むとアップダウンのある登山道が待っているので、しっかりとした準備が必要。3段に流れ落ちる滝や深い緑に囲まれた神秘的な淵などの渓谷美は、圧巻の一言だ。
尾白川渓谷(おじらがわけいこく)
電話/0551-42-1351(北杜市観光課)
住所/北杜市白州町白須8886
営業時間/散策自由
定休日/渓谷道は例年12月中旬〜4月中旬まで冬季閉鎖
駐車場/あり 100台
「尾白川渓谷」公式ホームページ(北杜市観光協会ホームページ内)
12:10 里山にあるリノベ喫茶「百番珈琲」で軽食と本格珈琲
続いて向かったのは、創業大正5年の元商店をリノベーションした喫茶店。のどかな田園風景が広がる集落のなか、店にたどり着いたときの高揚感と言ったら。素敵な場所を見つけた喜びに、浮き足立って戸を開ける。
元舞踏家という経歴を持つ店主の百木さんが「すきなものを詰め込んだ」という店内には、深い味わいを持つ古道具がそろう。
店内を彩る生花は、週替わり。1週間ごとに季節の移ろいを感じられるなんて、なんて粋なんだろう。
食事は、平飼いの卵を使ったたまごサンドと有機野菜を使った惣菜のセットをチョイス。地元で採れる旬の果物を使った焼き菓子やスイーツもあり、たまらず欲張ってしまった。
ちなみに、この選択は大正解。素材を生かした優しい甘味が、身体にふわりと溶け込んでいく。
ドラム式手回し焙煎機を使用した自家焙煎珈琲は、楽しみにしていたメニューのひとつ。数種類ある豆の中から、深煎りの「とばり」を選ぶ。山梨の水を使ってハンドドリップで淹れられた一杯は、あっという間に飲んでしまったらもったいない気がして。一口ひとくち、大切に味わった。
百番珈琲(ひゃくばんこーひー)
電話/080-5053-2229
住所/北杜市須玉町上津金782
営業時間/10:00~17:00
定休日/火・水曜
駐車場/あり 15台
店主夫妻にすすめられ、お店のすぐ近くにある「津金の棚田」にも立ち寄ってみた。
抜けるような青空と、力強いグリーンのコントラストが眩しい。地域の人によって守られてきた日本の原風景を、しっかりと目に焼き付ける。新緑の香りを全身にまとわせて、次の目的地へ。
13:30 爽快な景色!「甲斐大泉温泉 パノラマの湯」の日帰り温泉でさっぱり
旅の締めくくりに、標高1147mの高原に建つ「甲斐大泉温泉 パノラマの湯」へ。北に八ヶ岳、西に南アルプス、遠くに富士山を見ながら、広々とした岩造りの露天風呂や、内風呂に水風呂、サウナまで楽しめる。
豊富な湧出量を誇る温泉は、温泉スタンドで持ち帰ることもできるそう。
館内の無料休憩所でくつろいだり外の足湯で休憩したりと、周りのお客さんたちが思い思いに過ごしている様子にほっこり。
甲斐大泉温泉 パノラマの湯(かいおおいずみおんせんパノラマのゆ)
電話/0551-38-1341
住所/北杜市大泉町西井出8240-1
営業時間/10:00~22:00(最終受付21:30)
定休日/第2・4火曜(祝日の場合は営業)
駐車場/あり 100台
入浴料/大人830円
八ヶ岳の天然水を使った「八ヶ岳ビール タッチダウン」をおみやげに
北杜の旅のおみやげに選んだのは、八ヶ岳の天然水を使った清里高原のクラフトビール「八ヶ岳ビール タッチダウン」。冷えたビールに、喉が喜ぶ。雑味のないすっきりとした味わいは、八ヶ岳の風景を彷彿とさせるかのよう。
八ヶ岳ブルワリー(やつがたけブルワリー)
販売場所/萌木の村(北杜市高根町清里3545)ほか北杜市内の酒店など
住みなれたまちを離れ、特別な食、アート、自然を堪能した2日間。名水の恵みや雄大な景色を思い起こしながら、いくつかのトンネルを越えて家路につく。関東からの旅なら、駅の近くでレンタカーを返して、小淵沢駅から約2時間で新宿駅。旅の余韻を味わうのに、ちょうどいい時間だ。
清らかな名水や大自然の風景は、いつだって私たちを魅了する。北杜市で過ごした時間はきっと、明日からの日々に潤いを与えてくれるはず。