水と出会う、こころ潤う。やまなし1泊2日おでかけコース/勝沼編
山々に育まれた名水や雄大な景色、豊かな実りを凝縮した一皿をめぐる旅。クルマでも電車でもアクセスしやすい山梨の、魅力たっぷり1泊2日のおでかけコースをご案内。第3弾は、勝沼エリアでほろよい旅。
名水が育む美食と風景を堪能
新静岡ICから勝沼ICまで、1時間半のクルマ旅。中部横断自動車道を北上するにつれ、自然の緑と空の青のコントラストがハッキリしていくような気がする。
東京からも、新宿駅から中央線に乗って勝沼ぶどう郷駅まで1時間半。慣れている人は、日帰りの旅程を組む人もいるみたい。「日本ワインの発祥地」は、思っていたよりも案外近くで、わたしたちを待っている。
13:30 「甲州市勝沼ぶどうの丘」でワインの飲み比べ体験
勝沼ぶどう郷駅から徒歩で約20分、「甲州市勝沼ぶどうの丘」から勝沼の旅ははじまる。
展望レストラン、ワインサーバー、売店、温泉、宿泊施設などが集まる、まさに甲州ワインの魅力が詰まった場所だ。
ワインカーヴには、約170種類のワインがそろう。タートヴァンという専用試飲容器を2200円で購入して、ソムリエ気分で飲み比べ。制限時間はなく一日何度でも出入りができるので、いくらでも滞在できてしまいそうだ。
甲州市勝沼ぶどうの丘(こうしゅうしかつぬまぶどうのおか)
電話/0553-44-2111
住所/甲州市勝沼町菱山5093
営業時間/ワインカーヴ9:00~17:30(最終受付17:00)
定休日/不定休
駐車場/あり 300台
17:00 ワインのあるディナーを求めて「勝沼食堂 Papasolotte」へ
夕方の風で火照りを冷ましながら、歩いて勝沼ぶどう郷駅近くのワイン食堂を目指す。晴れた日にはどの席からもぶどう畑が見渡せる、勝沼らしいロケーションだ。
ソムリエの資格も持つシェフの坂口さんが手がける料理とワインのマリアージュは、その魅力に魅せられて定期的に通うファンもいるほど。
アラカルトで、甲州市の特産豚・ワイントンのポークソテーにサラダ、デザートを注文。色鮮やかなプレートには、県内食材がふんだんに盛り込まれている。
料理に合わせてワインも飲みたい!どれにしようか長いこと悩んでいたら、ソムリエが相談に乗ってくれた。店内には常時100種類以上のワインがあり、そのうち80%以上が県内産というので驚きだ。
坂口さんの料理観は「ワインを飲んで、うまいと感じる料理が一番!」というシンプルなもの。
先にメニューを決めてからワインを選ぶことも、ワインを決めてから料理を提案してもらうこともできる、まさにワインを楽しむための食堂だ。
次回は事前に予約をして、季節の野菜を使った前菜に、パスタやメインが選べるコース料理をいただこう。
勝沼食堂 Papasolotte(かつぬましょくどうパパソロッテ)
電話/0553-39-8763
住所/甲州市勝沼町菱山3577-6
営業時間/11:00〜15:00(L.O.14:00)、17:30〜21:00(L.O.)
定休日/火曜
駐車場/あり 5台
19:00 ワイン好きに人気!「ワイン民宿 鈴木園」に宿泊
大満足のディナータイムを終え、旧甲州街道沿いにある「ワイン民宿 鈴木園」にチェックイン。
明治期の古民家を改装したB&Bスタイルの宿は、大きな梁にアンティーク家具、趣あるランプシェードなど、和洋折衷のしつらえが素敵。
フロントでワインを多数販売していて、部屋でも飲めると知り思わず頰が緩む。地下にあるワインセラーや、ワインにまつわる骨董品などを展示したギャラリーも見学できるなど、泊まる以外の楽しみもいっぱい。
ワイン民宿 鈴木園(ワインみんしゅくすずきえん)
電話/0553-39-8522
住所/甲州市勝沼町勝沼3284
営業時間/IN15:00、OUT10:00
定休日/不定休
駐車場/あり 9台
2日目
10:30 秘境感ただよう「日川渓谷 竜門峡」へハイキング
2日目の朝、宿からバスで勝沼ぶどう郷駅まで移動し、レンタカーを借りる。駅から15分ほど車を走らせれば、勝沼の豊かな大自然を満喫できる「日川渓谷 竜門峡」に到着だ。
川のせせらぎと爽やかな風に包まれながら、清流沿いの遊歩道を進む。ゆるやかな道のりが続く全長2.4km、片道1時間30分のハイキングコースは、ダイナミックな渓谷美を気軽に味わうことができる。
木々が色づく季節も、さぞかし美しいことだろう。10月中旬〜11月中旬の景色にも期待ができそうだ。
日川渓谷 竜門峡(ひかわけいこくりゅうもんきょう)
電話/0553-32-2111(甲州市観光協会)
住所/甲州市大和町田野
営業時間/散策自由
駐車場/あり 15台
「日川渓谷 竜門峡」公式ホームページ(甲州市役所ホームページ内)
200年の歴史ある銘菓、「月の雫」をおみやげに
途中で「岩間ベーカリー」に寄って、おみやげに「月の雫」を購入。
甲州ぶどうを一粒ずつ砂糖衣で包んだ勝沼らしい銘菓は、ひとつひとつが手づくり。9月初旬~2月頃の期間限定なので、時期を目掛けて訪れたい。
岩間ベーカリー(いわまベーカリー)
電話/0553-44-0215
住所/甲州市勝沼町勝沼3
営業時間/8:00~19:00
定休日/無休
駐車場/あり 10台
13:15 ランチは「つぐら舎」で、地場産食材を堪能
岩間ベーカリーからほど近い、旧甲州街道沿いの「つぐら舎」でランチタイムを過ごす。木の温もりに包まれた店内は、暖かいひだまりの中にいるような気持ちに。
「生産者の顔が見える」食材を使ったランチは、県内産の平飼い卵を使ったオムライスや、ワインを飲んで育った豚・ワイントンを使ったメニューを楽しめる。
自家製ドリンクは、地元で生産されたワイン用のぶどう・アジロンを使ったもの。山梨の旬のフルーツを使った手づくりのドリンクやスイーツから、勝沼の四季を感じる。
食後には、テラス席から見えるぶどうトンネルを歩く。100mにわたってさまざまな品種のぶどうが実るこのトンネルは、昭和初期に造られた、勝沼町内で唯一のものだそう。
「私たちが感じている勝沼の魅力と、お客様が感じた魅力を交換したい」と語るオーナーの小出さん。まちの観光案内も担うつぐら舎では、地元出身のお店の方とのコミュニケーションも楽しい。この場所を訪れれば、山梨をより近くに感じることができるだろう。
つぐら舎(つぐらしゃ)
電話/0553-39-8915
住所/甲州市勝沼町勝沼2997
営業時間/11:00~17:00
定休日/月曜
駐車場/あり 10台
14:20 「ハーブ庭園旅日記 勝沼庭園」で四季折々のハーブに出合う
旅の終わりに、つぐら舎からほど近いハーブ庭園を訪れる。9〜10月にはコスモスやコキア、セージが見頃。10〜11月は秋バラなど、1年を通して咲き誇る、さまざまな花とハーブが魅力だ。
園内を散策する途中、ローズガーデンの近くで天然温泉の足湯に入る。最後の仕上げとでもいうように、身も心もほぐされていく。
時間に余裕があったので、予約不要で体験できる「エッセンシャルオイル抽出体験」に参加。爽やかなハーブの香りに包まれた、至福のひとときを過ごせる。
抽出した精油とフローラルウォーターは持ち帰ることができるのもうれしい。
ハーブ庭園旅日記 勝沼庭園(ハーブていえんたびにっきかつぬまていえん)
電話/0553-44-3715
住所/甲州市勝沼町等々力1736
営業時間/9:00~17:30
定休日/無休
駐車場/あり 100台
入園料/無料、各種体験は料金別途
ワインにはじまり美しいハーブ庭園で締めくくる、五感をフルに使った勝沼の旅。静岡からわずか2時間以内の移動で、こんなにも充実した体験ができるとは。東京からだって、駅の近くでレンタカーを返して、勝沼ぶどう郷駅から1時間半で新宿駅だ。
山梨の自然が育んだ、ワインに景色、美食の数々。誰かと味わいたい気もするし、ひとりで噛み締めたい気もする。ハンドルを握るわたしを、旅の余韻が優しく包み込んでいた。