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災害から子どもを守るには?小さな子を持つママのための防災について考えよう

災害から子どもを守るには?小さな子を持つママのための防災について考えよう

子どもがいる家庭では、“子どものための防災”を考えておく必要があることをご存じだろうか。WOMO編集部に寄せられたリアルな心配ごとをもとに、日常から備えておくと安心な防災グッズや、子ども連れでの避難の注意点、避難所での過ごし方など、子どもとママの「もしも」に備えてできることを考えた。

助産師 鈴木映美さん

掛川助産師会会長。2013年に「HINA助産院」を設立。掛川助産師会では、災害時に「赤ちゃんと家族を守る、そんなママになってほしい」との思いから、助産師の視点で日ごろの備えや災害時の対応などをまとめた小冊子「ママと赤ちゃんのための防災豆知識」を、掛川市と協働で作成。過去には母子手帳と一緒に配布していた。現在は掛川助産師会のホームページで見ることができる。


今回鈴木さんに話を聞いたのは、静岡市内を中心に活動するヨガインストラクターのEMIKOさん。2023年4月に第一子を出産した1児の母でもある。


「こんにちは、『HINA助産院』の鈴木です。EMIKOさんは4月に出産したばかりだそうですね!ご出産おめでとうございます。子育てについて相談したいこと、話を聞いてみたいことなどありましたらなんでも聞いてくださいね。今日はよろしくお願いします」


「ありがとうございます!今日はよろしくお願いします。2022年9月の台風15号の災害時、私は妊娠中でした。被害を目の当たりにして、もしも今後同じような災害が起こってしまったら…と。わが子を守れるか心配です」


「地震や災害が起こってしまったとき、小さな子どもを連れてどう乗り越えたらよいのか、不安になりますよね。災害から命を守るためには、日常から備えておくことが大切なんですよ!」


「”いざ”という時のために、日常から備えるんですね。具体的にどんな備えをしておくべきか、お話をお聞きしたいです!」


「もちろんです。子どものためにできること、一緒に考えていきましょう!」

WOMOにも多数寄せられた、子育てママの「災害への不安」

WOMO編集部へ読者から多数寄せられた、子育てママの声も一部紹介しよう。


「私にとっても、思わず共感する内容ばかりです」


「さまざまな心配の声がありますね。日常から備えるべき防災グッズや、もし災害が起きてしまったときの対処法、避難から避難所での生活などについてご紹介しますね」

鈴木さんに聞く「子どもがいる家庭での防災対策、防災グッズリスト」


「まずは、子どもがいる家庭で日常から備えておきたいものをご紹介します。備えるものには『普段の持ち物にプラスするバッグ』と『非常時に持ち出す防災バッグ』の2種類があります。『持ち物にプラスするバッグ』はこのように小さくまとまるので、常に持ち歩くことができます」


「この大きさなら持ち歩いても邪魔にならなさそうですね。どんなものが入っているのでしょうか?」


「まず1つ目はホイッスルです。災害時に何らかの理由で自分が動けないとき、ホイッスルを吹いて助けを呼んだり、外部に自分の存在を知らせることができます。玉の入っているタイプだと水に濡れたときに鳴らないので、玉のないものを選びましょう」



「使い捨ての紙コップは、離乳食の食器の代わりや、哺乳瓶が消毒できないときにも使えます。口の部分を1か所潰すと、赤ちゃんでも飲めるんですよ。日常でも練習しておくと良いですね」

【コレを普段の持ち物にプラスしよう】


「次に、『非常時に持ち出す防災バッグ』について。避難バッグの基本は、『持てる・使える・助かる』です。グッズが充実していると安心ですが、重量オーバーにならないように、実際に背負ったり、使ったりしてみてください。このバッグは車に常備しておくと良いでしょう」



「このバッグには、被災した時に救援物資が届くまでの期間に必要になるものを揃えておきます。ミルクやおむつはもちろん、布ガムテープやマジック、ビデも入れておくと便利です。」


「布ガムテープは何に使うのですか?」


「家族にメッセージを残すための伝言メモ用に使います。避難所は移動しなければならないこともあるので、この布ガムテープに文字を書いて、メモを残すのです。他にも、簡易ナプキンや簡易おむつ作り、クリーナーとしても役立ちます」


「ビデも持っておくとお風呂に入れないときに重宝します。子どものおむつかぶれのときにも使えますよ。また、下着を頻繁に洗えないので、おりものシートもあると便利です」

【コレを防災バッグに入れて車に常備しよう】


「常備していたおむつが足りなくなったら、簡易おむつで代用できます。作り方はとっても簡単。レジ袋や古くなったタオルは捨てずに取っておくと、いざという時に役立ちますよ」


①レジ袋の持ち手と両脇のマチを切って縦長に開き、畳んだタオルや古着、生理用ナプキンを置く


②子どもの身体に合うように上下の持ち手の部分をくるくる巻いて長さを調節する


③紙おむつと同じように、簡易おむつの上に子どもを乗せて、左右の持ち手を腰の位置で結ぶ


④完成!

鈴木さんに聞く「子どもと避難するときの注意点」


「避難するときにまず気を付けなければならないことは、正しい情報を集めること。災害時は、今すぐ外に出て避難したほうが良いのか、自宅にいるべきなのかの判断を自分でしなくてはなりません。個人がSNSなどで好きなように発信できてしまう時代だからこそ、どの情報を信じるかが重要になるのです」


「確かに台風15号のときも、SNSの発信でみんなが連携して素早く助け合える一方で、情報が溢れて判断に迷う場面もありました」


「気象庁が提供しているアプリサービス『キキクル』は、土砂災害、浸水害、洪水災害の情報を発信しているので、自己避難の判断に役立ちます。夜の避難を避けるため、避難するかどうかは明るいうちに判断してください」


「子どもを連れて避難しなければならなくなったら、どんなことに気を付けたらよいのでしょうか?」


「1歳未満の小さな子どもの場合は、前向き抱っこの方がお母さんも安心です。1~3歳くらいになったら、おんぶで避難してください。おんぶで避難するときにはさらしが役立ちますよ。紐や着物用の帯でも代用できます」



「新生児やまだ首が据わらない時期の子どもがいる場合はどうしたら良いでしょうか?」


「小さな赤ちゃんは、クッションや着替えで底上げしたトートバッグに入れて、肩掛けして運びましょう。避難するときは、ケガをしないためにスニーカーを履いてください。長時間歩く場合は、足首まで覆われた靴が良いですね。靴は寝室と車の両方に準備し、歩けるようになった子どもの靴は、サイズをこまめにチェックしておくと安心です」


鈴木さんに聞く「避難所での生活」


「避難所での生活で注意することはありますか?親である自分の心に余裕がなくなりそうで、子どもを不安にさせてしまうのではないかと心配です」


「子どもにはお母さんの気持ちがすごく伝わります。スキンシップをとって、子どもを安心させてあげてください。こまめに授乳するのも良いですよ。災害時は母乳が止まってしまうこともありますが、安心できる場所が確保できれば再開するので心配いりません。授乳できる場所をきちんと確保してください」


「たくさん触れ合って、子どもをとにかく安心させてあげることですね!」


「避難所には、助産師が妊婦さんやお母さんたちをサポートする相談所もあります。不安な気持ちをひとりで抱え込まず、まわりに頼ってみてください」


「今日はとても勉強になりました。防災も、できることから少しずつ始めていこうと思います。鈴木さん、どうもありがとうございました!」

現役ママが営む“子どもにやさしいカフェ”

今回取材で利用したのは、2023年7月に掛川市でオープンしたばかりの「Cafe fonte(カフェ フォンテ)」。店内には、座敷のキッズスペースや、子ども向けの絵本がずらりとならぶ本棚、ベビーベッドや布団までもが完備され、至るところにママたちへの労わりが感じられる。

レジ横には、おごるチケット「おごチケ」なるものが。来店した大人が1枚300円のチケットを購入し、地域の子どもたちにおごるシステムである。カフェを利用するついでにチケットを購入するだけで、子育てのサポートができるわけだ。店主はこの取り組みを通じて、地域の人々が繋がれる場所になれば、と話す。

Cafe fonte

住所/掛川市上西郷2156−2
営業時間/11:00〜16:00(L.O. 15:30)
電話番号/0537-29-7686
定休日/金・土曜(不定休あり)

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ライター
本杉 まこ

静岡県出身のフリーランスのライター&エディター。よく食べよく笑うことが日々の糧。「案ずるより産むが易し」の精神で前のめりに活動中。

更新日:2023/12/1

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