「まち劇スポット」で楽しむ、迫力満点のパフォーマンス!/まちは劇場
芸術文化を生かした静岡市のまちづくり、「まちは劇場」。その取り組みの1つとして静岡市内各所に設けられた「まち劇スポット」では、大道芸、音楽、ダンスなど、さまざまなパフォーマンスをまちかどで気軽に観ることができる。パフォーマーや足を運んだお客さんへのインタビューから、その魅力に迫る。
「まちは劇場」って?
「まちは劇場」通称“まち劇”は、静岡市が行うまちづくりの一環だ。
まちかどで繰り広げられる大道芸にお腹の底から笑ったり、偶然聞こえてきた生演奏の音楽に心がほっとしたり。時には自分がステージに立ってみたり、そのステージを支える人になってみたり。
そんな何気ない日常に喜びを感じられるまち、誰でも自分らしく活躍できるまちを目指して、さまざまな仕掛けづくりに取り組んでいる。
詳しくは、こちらのコラムをチェック!
「まち劇スポット」に足を運んでみよう!
「まち劇スポット」は、「まちは劇場」の取り組みの1つ。「誰もが表現者になれるまち・多様な表現を楽しめるまち」を目指し、静岡市から認定されたパフォーマーが、静岡市内各所に設けられた「まち劇スポット」でパフォーマンスを行う。
大道芸、音楽、ダンスなどジャンルは幅広く、現在は約100組の認定パフォーマーがいる。
「まち劇スポット」の魅力は、普段よく知っているまちが劇場に変わり、気軽にさまざまなパフォーマンスを楽しめること。パフォーマーと観客の距離が近いので、掛け合いが盛り上がることも。
パフォーマンスに心を動かされたら、ぜひ大きな拍手を送ってほしい。
観客の拍手や驚きの声、歓声は、パフォーマーにとっての大きな糧となる。感動の気持ちを「投げ銭」で伝えることができるのも、まちかどでのパフォーマンスならでは。
中には、「まち劇スポット」でパフォーマンスを磨き、世界に挑戦するパフォーマーも。みんなでパフォーマーたちの活躍を応援しよう。
「まち劇スポット」担当者より
「パフォーマーが『まちは劇場』の看板を設置してパフォーマンスの向きを決めたら、ぜひ正面から観てほしいです。目の前で繰り広げられるパフォーマンスは迫力満点!大道芸やダンスを観る機会がなかった人の観覧デビューとしてもおすすめです。途中参加ももちろんOK。通りかかった際には、立ち止まってみてください。いつもと違う静岡市の魅力を感じていただけると思います」
パフォーマンスの実施予定や場所、パフォーマーの情報は「まちは劇場」ホームページに掲載しているので、ぜひチェックしてみよう。
「まち劇スポット」を利用するパフォーマー、ナオキさんへインタビュー
最初にインタビューしたのは、「まち劇スポット」をよく利用しているという大道芸人のナオキさん。
2001年から生まれ育った静岡市を中心に、全国各地で大道芸の魅力を伝える活動を行っており、ジャグリングや、ローラーバランス芸、ヨーヨーパフォーマンスで訪れた人たちを楽しませる。
ーーーーーナオキさんが「まち劇スポット」を利用しようと思ったきっかけはなんですか?
「もともと静岡市のパフォーマンス場所は2か所ほどしかなかったのですが、『まち劇スポット』ができたことで、より多くの場所で大道芸の活動ができるようになりました。より多くの地元の方、さまざまな年齢の方に大道芸を楽しんでいただきたくて、『まち劇スポット』を利用しています」
ーーーーー静岡のお客さんの特徴や印象はありますか?
「ひとことでいうと、大道芸を見る目が厳しいです(笑)。静岡には『大道芸ワールドカップ』があるので、子どもからお年寄りまで、大道芸に触れる機会が他県の方より圧倒的に多いんですよね。通常の営業で披露する芸が、静岡ではウケなかったりします。
でも、一度盛り上がると観客の一体感はどの地方よりも強くなるんです。業界内では『静岡で大道芸がウケれば全国に通用する』と言われているくらい、自分自身を成長させてくれる唯一無二のまちだと思っています」
ーーーーー静岡のお客さんは大道芸を見る目が厳しいとのことでしたが、地域によってお客さんの違いはあるのですか?
「全然違いますよ。実は観光地はとても楽なんですよ。観光地にいるお客さんは“観光モード”、つまり『楽しむぞ!』というテンションで来てくれる。そういう現場でやると、簡単に盛り上がりますし、人も集まりやすいんです。
ですが、こうした商業施設などがある場所だと、お客さんは“生活モード”なんですよ。まったく違う目的とテンションの人に足を止めてもらうっていうのは、すごく難しいです。大道芸人は全国を回ることが多いので、東京や名古屋といった大都市ですごく盛り上がった経験のあるパフォーマーさんが、静岡でパフォーマンスをすることの難しさにショックを受けるなんて話も多いんです」
ーーーーーなるほど…。ちなみに、お客さんが集まる前にパフォーマンスをし始めたのはなぜですか?
「まったくお客さんがいない状況から、どれだけ足を止めてもらえるかというのが大切で、おもしろい所なんです。お客さんが少ないとやる気が出ますね!」
ーーーーー「まち劇スポット」でのパフォーマンスで、心に残っていることは?
「その日はとても寒く、お客さんが1人も立ち止まらない厳しい日でした。そこに男性がやってきて、たった1人でずっと大きな拍手をしてくれて。すると、信じられないことに2人3人と少しずつ観客が増えていき、最終的には100人以上の観客に囲まれていました。20年以上大道芸をやっていますが、このような経験は静岡でしかなく、とても印象的で心が温かくなりました」
ーーーーーとても素敵なエピソードですね!これからのご活躍も楽しみにしています。
「まち劇スポット」を利用するパフォーマー、「NEW STEP」さんへインタビュー
次にインタビューしたのは、2021年に親子でコンビを結成した「NEW STEP」さん。
10歳の息子 ARATAくんと、42歳の父 HAYASEさんが繰り広げる、高速バルーンアートや時空系マジック、軽快なトークで会場を盛り上げる。
パフォーマンスのフィナーレには、観客に“あるメッセージ”が伝えられる。どんな内容かは、ここでは秘密。ぜひ会場に足を運んで聞いてみてほしい。
ーーーーー「NEW STEP」さんが「まち劇スポット」を利用しようと思ったきっかけはなんですか?
「今やアジア最大級になった『大道芸ワールドカップ』が開催される大道芸の聖地、静岡市を、日常的にパフォーマンスが楽しめるまち・触れ合えるまちにしたいと思ったからです!」
ーーーーーHAYASEさんは会社員として今もお仕事をされているとのことですが、どうやってパフォーマンスを学ばれたのですか?
「知人のすすめで練習し始めたのがきっかけですが、実はまちかどでのパフォーマンスはナオキさんから教えてもらったんです(笑)」
ーーーーーえ〜!そうなんですね!
ーーーーー静岡のお客さんの特徴や印象はありますか?
「『大道芸ワールドカップ』で披露される、世界トップクラスのパフォーマンスに慣れている観客が多いので、ある意味ごまかしが効かない印象があります。全国的にみても、パフォーマンスに対する評価がシビアですね。だからこそ、たくさんの課題をくださって、普段のパフォーマンスでは気づけないことに気づかされます。
『まち劇スポット』でパフォーマンスをすることで常に課題に直面しますが、その課題をどのように克服するか、2人で相談して改良を重ねています。だからこそ、成長ができると思っています」
ーーーーー「まち劇スポット」でのパフォーマンスで、心に残っていることは?
「パフォーマンスの終盤に、あるメッセージをお伝えするのですが、観客の中に同じ境遇の方がいらっしゃいました。パフォーマンスの後に声をかけてくださり、『たくさんの人に伝えてほしい』『勇気づけられる人が多くいると思います』『嫌なことがあっても頑張れそうな気がしてきました』と、励ましのお言葉をいただいて。共感してもらえたことが嬉しい反面、責任をもって発信をしていかなければという使命感を感じました」
ーーーーーこれからもたくさんの方を勇気づけてくださいね!
「まち劇スポット」に足を運んだ方へインタビュー
「まち劇スポット」に足を運んだ、13歳のH君とS君にインタビュー。
ーーーーー足を運んだきっかけは?
「近くのお店へ買い物に行く途中にたまたま通りかかって、何をやっているんだろう?おもしそうだなと思って観ていました」
ーーーーー静岡市は大道芸のイベントが多いですが、学校のお友達と観に行ったりしますか?
「まだあまり観に行ったことがないです。でも今日、もっと観てみたいなって思いました。かっこいいし、おもしろいし、みんなで盛り上がっているのが楽しかったです!」
ーーーーーおふたりは「NEW STEP」のARATAくんと年齢が近いですが、自分もパフォーマンスをやってみたいなと思いますか?
「すごくやってみたいなって思いました。人前でパフォーマンスするって、とってもかっこいいし、拍手を貰ったり、わー!って盛り上がっているのを見て、うらやましいなって。また観にきたいし、自分もできるのかな?挑戦してみたいな!ってワクワクしました」