【第6回】ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(1994年)
不気味かわいいキャラクターたちが繰り広げるダーク・ファンタジー
筆者:こしあん
映画・海外ドラマ、読書、お笑い、カメが大好き。特技はイントロクイズ(80年・90年代ソング限定)。
怖がりのくせにホラーとミステリーが大好きで、生まれ変わったらFBI捜査官になりたい。
休日にどれだけ家にこもっていてもまったく苦にならない超インドア派。
ゆるい解説と小学校から上達していないイラスト(ときどき)で、好きな映画を紹介していきます。
ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(1994年)
この映画を観たことがなくても、キャラクターは知ってる! という人も多いのではないでしょうか。
「ハロウィン・タウン」の住民から絶大な支持を受け、「パンプキン・キング」と呼ばれている紳士的なガイコツ・ジャック。
そんなジャックに思いをよせ、影ながら手助けをする、けなげなサリー。
彼女は、偏屈なマッドサイエンティストによって、死体から作られたつぎはぎだらけの人形。でも、人間の心を持ち、心優しい性格。
すぐに足が取れたり腕が取れたりするけれど、利き手の右腕さえ無事なら自分で縫うことができるため、いろいろと無茶することも可能。
体と同様に、つぎはぎだらけの衣装もかわいい。
ハロウィンに、この二人のコスプレをする方たちもけっこういるようです。
さて、映画のストーリーはというと……
年に一度のハロウィンのお祭りを人間界へ送り出す町「ハロウィン・タウン」。この町のみんなは、人を怖がらせ、驚かせるのが大好き。しかし、町の人気者「パンプキン・キング」ことジャックは、毎年同じように繰り返されるハロウィンの準備にうんざりしていた。ある日、森の中で「クリスマス・タウン」に迷い込んだジャック。明るくキラキラした町に、陽気で優しい人たち。「ハロウィン・タウン」とはまったく別の初めての世界に魅せられたジャックは、見よう見まねで自分たちのクリスマスを計画するが……。
ハロウィン、クリスマス、イースターなど、ホリデーにはそれぞれ担当の町があり、その日のために一年かけてイベントを作り上げている、という発想がまず「天才やな!」と思いました。
ジャンルでいうと、ミュージカル・アニメになっています。
基本的にミュージカルが苦手な私ですが、この映画は、ダークでホラーな世界観と「ハロウィン・タウン」の造形が素晴らしいので、ミュージカル要素が気にならず、むしろ雰囲気に合っていると思います。
オープニングの歌と映像がいきなり楽しくて!!
これだけでも観る価値アリです。
「♪This is Halloween. This is Halloween. Halloween Halloween……」
のフレーズがずっと頭の中をかけめぐります。
こちらは日本語バージョンですが、ディズニー公式チャンネルによる予告編で、このオープニングが観られます。
ストップモーション・アニメの魅力
この映画はストップモーション・アニメという技法で製作されています。
人形を1コマごとに少しずつ動かして撮影し、連続して動いているかのように見せる技法です。
1秒あたりの撮影コマ数は、なんと24コマ。
1分の映像を作るためには、最低でも1,440回の撮影が必要となります。
たった1分の映像のために、なんと1週間もかかったとか!!
キャラクターたちは、まばたきもするし、セリフや感情に合わせて表情も変わります。
主人公ジャックの頭部は400パターンも用意されており、顔や体のパーツを取り換えながら撮影したそうです。
気が遠くなるほどの地味な作業。
だからこそ生まれる、ちょっとカクカクとした絶妙な動きが、独特の世界にぴったりとハマっているのです。
【今日のまとめ】
東京ディズニーランドのアトラクション、ホーンテッドマンションでは毎年9月~年明けまで、「ホリデーナイトメアー」としてスペシャルバージョンになります。
私が子どもの頃の日本には、まったくなかった「ハロウィン」のイベント。
「ハロウィン」というものを楽しいイベントとして日本人に認識させたのは、ディズニーランドの影響がとても大きいですよね。
私の中でハロウィンといえば、ブギーマンが出てくるめちゃくちゃ怖いホラー映画のイメージしかありませんでした。
そのイメージを大きく変えたのが『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』。
登場するキャラクターがみんな個性的で、キモかわいい、不気味かわいい。
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』にも、ブギーマンならぬ、「ウギー・ブギー」という悪役が出てきますが、麻袋で覆われている体の中身が……なかなかの気持ち悪さ!!! そして、かなり残虐なことをポップなノリで仕掛けてきます。
賢いのかバカなのかよくわからない、愛すべきキャラでもあります。袋の中身さえ出てこなければ……。
ウギー・ブギーの手下の悪ガキ三人組も面白いキャラで、改めて、「ティム・バートン、いい仕事するなー」としみじみ思うのであります(エラそう)。
【今日のまとめ】
日本にコスプレ・ハロウィンを広めた立役者?!
ティム・バートンの魅力がギュギュっと凝縮された76分
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■ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(1994年)
原案・キャラクター設定・製作:ティム・バートン
監督:ヘンリー・セリック
(C)Disney
隔週水曜更新。次回の更新は10/12(水)です。
WOMOシネマ伝道師こしあんの『ぐるぐるシネマ迷宮』 筆者だけの思い出調味料満載の懐かし作品から、あまり共感を得られないようなディープな作品まで、密かな魅力いっぱいのシネマ迷宮へようこそ。出口はたくさんあります。