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womoシネマ伝道師こしあんの『ぐるぐるシネマ迷宮』

筆者だけの思い出調味料満載の懐かし作品から、あまり共感を得られないようなディープな作品まで、密かな魅力いっぱいのシネマ迷宮へようこそ。出口はたくさんあります。

こしあん

Original

【第21回】新社会人におくる、破天荒なお仕事ムービー

ちょっとだけ背中を押してくれる……かも

筆者:こしあん
映画・海外ドラマ、読書、お笑い、カメが大好き。特技はイントロクイズ(80年・90年代ソング限定)。
怖がりのくせにホラーとミステリーが大好きで、生まれ変わったらFBI捜査官になりたい。
休日にどれだけ家にこもっていてもまったく苦にならない超インドア派。
ゆるい解説と小学校から上達していないイラスト(ときどき)で、好きな映画を紹介していきます。

五月病に負けないように……

新社会人のみなさま、入社してもうすぐ1か月が経とうとしていますが、今、どんな気持ちでしょうか。
研修はもういいから、早く現場でバリバリ働かせてくれよ! というガッツあふれる人。
あれ~、なんか思ってたのと違うかも~、でもまだ1か月だしなぁと、ちょっとモヤモヤしている人。
すでに同期の人といつのまにか“オトナな関係”になっちゃった人。
すでに先輩から泣くほど叱られちゃった人。
すでにもう辞めちゃった人……

そんな新社会人のみなさまを応援する(たぶん)、お仕事ムービーを紹介したいと思います。
といってもバリバリの「キャリア・ウーマン」が出てくるようなオシャレな映画は紹介しませんよ。それは他の方におまかせします。

泥にまみれた作品。
かっこ悪いのにかっこいい。
サイテーなのにサイコー。

そんな2作品です。

もちろん、社会人になったのがもう何年前かも思い出せないようなベテランさんにもオススメです。

川の底からこんにちは(2010年)

大大大大大好きな、満島ひかり主演の作品。たぶん、この映画で、満島ひかりという女優さんを認識したように覚えています。ものすごく強烈なインパクトを残す演技。満島ひかりでなければ、この映画はここまで素晴らしい作品にはなっていないと思います。

上京して5年、5つ目の仕事、5人目の彼氏。「しょうがないですよね」「あっ、すいません」が口ぐせで、ダラダラ、グダグダ、自堕落な生活を送っている派遣OLの佐和子。
ある日突然、父が末期がんのため余命わずかだという知らせが入り、実家のしじみ工場を継ぐことに。しかし、工場は倒産寸前、働いているのはクセ者揃いのおばちゃんばかりで、ネチネチといびられる毎日。

追いかけてきた恋人はバツイチの子持ち。どうにもふがいない男で、あげくには、子どもを置いて浮気相手と失踪する始末。ホント、サイテーなんです。
演じている役者さんが、また絶妙にいい感じを出していて。「いそう~、こういう人、本当にいそう~」と手をたたいて笑っちゃう。フルーツポンチの村上がコントでよく演じる、かっこつけてるのにどこか抜けていて、ちょっとウザイ男みたいな。

そんなどうしようもない人たちばかりが出てきて、しじみ工場のおばちゃんたちのいじわるさにちょっとイヤーな気分になるけれど、後半になるにつれて、なぜか憎めないなぁという感情がわいてくるのが不思議。
出演者みんなの演技がとても自然で、セリフっぽさを感じさせないからかもしれません。悪気はないけどちょっと下品で口が悪く、打ち解けてしまえば、サバサバしていてとても頼りになる器の大きい人。

このしじみ工場は「木村水産」という会社名なのですが、この社歌をおばちゃんたちみんなで歌うのが最高に面白くて!

追い詰められた佐和子が開き直って奮起し、ずっとため込んでいた感情を噴出させ、叫ぶシーンに心が震えます。
「しょせんみんな、中の下」
「もう、がんばるしかないんですからっっっ」

どこまでも人間らしく、人生のどん底から泥まみれで這い上がってくる姿に、笑いながら励まされるはず。

SCOOP!(2016年)

まだハリウッドなんかをあまり意識せず、日本人に向けて作られていた昭和の終わり頃の日本映画を彷彿とさせるような作品。
まったく内容は違うけれど、なぜか『二代目はクリスチャン』を思い出しながら観ていました。
大人社会の大変さ、辛さ、理不尽さ、面白さ、カッコよさ、汚さ、エロさ、刺激、苦悩、生き様。そういうものが描かれています。

とにかく、リリー・フランキーの狂気。演技上手すぎてトリハダたちます。

福山雅治とリリー・フランキーのかけあいが下ネタ全開なのに、なぜかほのぼのしちゃうという不思議。
それを受けての終盤のあの展開、まったく読めなかったです。

二階堂ふみ演じるイマドキな新人記者がだんだん成長していく姿とか、名脇役・滝藤賢一の泣き笑い演技とか、みんな素晴らしい。
二階堂ふみって個性強いのに、いろんなタイプの役にハマれる実力派だなって、しみじみと実感しました。

吉田羊のカッコいい女副編集長ぶりもツボで、ダーマト(なんにでも書けちゃう色鉛筆)を髪飾りみたいに刺してるところが、雑誌編集者っぽくて良い!

ちゃんと演技派の俳優さんを起用する映画って大好きです。


その点では、やはり福山は福山なんだよなぁ……なんてエラそうに言ってますけど。
落ちぶれたカメラマン役なんだけど、どんなに薄汚れた中年役を演じても、カッコいいし、エロい。でも、じゃあ他の誰かが良かったのかっていうとそれも違う気がする。なのでやはり、あの役は福山でいいんだと思います。

笑わせて、ハラハラさせ、マジメな社会派ネタを織り交ぜ、新人記者の成長を描き、男のロマンと生き様を見せつける。
予想しない角度から泣かされた、ステキな作品でした。

社会正義って何? 仕事って何?
汚いものと綺麗なもの、最低なものと最高なもの、社会に役立つものと、害になるもの、その基準って何? 誰が決めるの?

そんなことを考えさせられる、大人のための社会派エンタメ作品(下ネタ多め)です。

【今日のまとめ】

桜はもう散っていますが、あえてメインを桜の写真にしたのは、桜って一年かけてようやく咲いたのにすぐ散るし、儚くもあるけれど、春になれば必ず毎年咲く。
きっと人生もそうやって、浮き沈みを繰り返しながら続いていくのかなぁと思ったからです。
咲きっぱなしの人生なんて、ちょっとつまらないかもしれません。咲かない日々があるからこそ、咲いたときの喜びが大きいのだと思います。

「しょせんみんな、中の下。どうせみんな大した人生じゃないし」

このセリフ、けっこう心を軽くしてくれます。


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■川の底からこんにちは(2010年)
監督・脚本:石井裕也
出演:満島ひかり、志賀廣太郎、岩松了
【公式HP】


■SCOOP!(2016年)
監督・脚本:大根仁
出演:福山雅治、二階堂ふみ、リリー・フランキー
【公式HP】

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みんなのコメント2

エンディング、大人な感じがいいですよね〜。大根仁監督の映画は、エンドロールまで凝っていて、観客を最後まで楽しませてくれるところが素晴らしいと思います! 2017年05月01日 20:26

私もSCOOP!大好きです。滝藤賢一さんの泣きに、マジでやられました。
あと、個人的には主題歌でもあるTOKYO No.1 SOUL SETの『無情の海に』が最高です。大人社会の虚しさとかはかなさとかいろいろマッチしすぎてますよね。さすがっす。 2017年05月01日 18:45

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