【第32回】いい夫婦の日(11月22日)にあえて観るべき“気まずい”映画2選
“気まずさ”の向こう側にある“笑い”へ
筆者:こしあん
映画・海外ドラマ、読書、お笑い、カメが大好き。特技はイントロクイズ(80年・90年代ソング限定)。
怖がりのくせにホラーとミステリーが大好きで、生まれ変わったらFBI捜査官になりたい。
休日にどれだけ家にこもっていてもまったく苦にならない超インドア派。
ゆるい解説と小学校から上達していないイラスト(ときどき)で、好きな映画を紹介していきます。
いい夫婦の日(11月22日)にあえて観るべき“気まずい”映画2選
もうすぐ11月22日「いい夫婦の日」。そこで、夫婦愛を感じる感動作を……とはなりません。
人生は“気まずさ”の連続。気まずさから目をそらしてはいけません。
それを乗り越えてこそ、絆が生まれ、そして振り返ればいつのまにか“笑い”に変わっているのです。
気まずさをどれだけ笑いに変えられるか否かで、人生の幸福度が変わるのでは……?
そんなことを思わせてくれる映画を2本、ご紹介します。
マイ・ファニー・レディ(2015年)
軽い気分で観られる大人のラブコメ。
ヒロイン役のイモージェン・プーツという女優さんを初めて見たけれど、めっちゃかわいい! 天真爛漫という言葉がぴったりの雰囲気で、笑顔が本当にキュート。日本でいうと平愛梨に似てる感じです。アモーレ!(微妙に古い)
オーウェン・ウィルソン演じる主人公は舞台の演出家で、女優の奥さんがいるのに女好きというか、コールガールに3万ドルをポンっとプレゼントして「このお金でキミの夢を叶えろ」みたいなことを言う。
殺し文句は「人はリスに胡桃をやる。でも、胡桃にリスをやって幸せを感じてもいい」
やだ、かっこいい。
一瞬、「ちょっと何言ってるかわからないです」ってなる、意味不明のような哲学的なセリフ。
こんなセリフを言われたら、女性はメロメロになっちゃうかも~?
この二人を軸に、役者や脚本家、セラピストなど、「いやいや偶然すぎるでしょ」ってくらい狭い世界で繰り広げられる男女のわちゃわちゃした様子がポップに描かれています。
そして、最後の最後にカメオ出演するビッグゲストにびっくり!!︎ 爆笑しました。
自分が楽しいと思える居場所を見つけて、そこで輝く。バカバカしさの中に、わりと素敵なメッセージが隠れている映画。シンデレラストーリーなので、観終わったあとも爽やかな気持ちになります。
あ~あ、私にも誰か3万ドルくれないかなぁ……。
フレンチアルプスで起きたこと(2015年)
スキーリゾートでバカンスを過ごしている、絵に描いたような“リア充”ファミリー。大事には至らなかったものの、ちょっとした雪崩が起こり、とっさに取った夫の行動に不信感を抱く妻。そこから家族が反発し合い、バラバラになっていく様子がシニカルに描かれます。
まるで東京03のコントみたいな展開。ただし、全然、笑えない。でも彼らがコントにしたら、きっと爆笑する。夫役が角田さんで、妻役が豊本さん、巻き込まれる友人が飯塚さん。
気まずくて、気まずくて、息ができない……。
この夫婦に巻き込まれる友達、とんだとばっちり! 迷惑だわ~。
せっかくリゾート地に来たのに、こんな気まずさ耐えられない。
苦しいわ…そりゃ、雪山で叫びたくもなるわ…
女性にとって「もしも非常事態になった時、この人は私を置きざりにして一目散に逃げたりしないだろうか?」というのは、結婚前に一度は考えることではないでしょうか?
それにしても、この奥さんの仕打ちもどうかと思う。
ジワジワジワジワ責められ続けるダンナさん……思い出すだけで息がつまります。
ストーリーは淡々と進むので、ちょっと退屈ではあるけれど、この気まずさや心苦しさを表すにはピッタリなんでしょうね。
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■マイ・ファニー・レディ(2015年)
監督:ピーター・ボグダノビッチ
出演:オーウェン・ウィルソン、イモージェン・プーツ、ジェニファー・アニストン
■フレンチアルプスで起きたこと(2015年)
監督:リューベン・オストルンド
出演:ヨハネス・バー・クンケ、リサ・ロブン・コングスリ
WOMOシネマ伝道師こしあんの『ぐるぐるシネマ迷宮』 筆者だけの思い出調味料満載の懐かし作品から、あまり共感を得られないようなディープな作品まで、密かな魅力いっぱいのシネマ迷宮へようこそ。出口はたくさんあります。