【第62回】劇場版『鬼滅の刃』無限列車編(2020年)
煉獄さんを『300億の男』に!
筆者:こしあん
映画・海外ドラマ、Bリーグ、読書、お笑い、カメが大好き。
特技はイントロクイズ(80年・90年代ソング限定)。
怖がりのくせにホラーとミステリーが大好きで、生まれ変わったらFBI捜査官になりたい。
休日にどれだけ家にこもっていてもまったく苦にならない超インドア派。
ゆる~い解説で好きな映画を紹介していきます。
劇場版『鬼滅の刃』無限列車編
日本中に「よもやよもや」の大ブームを起こしている『鬼滅の刃』。
2020年10月16日に公開された劇場版『鬼滅の刃』無限列車編は、公開からわずか10日間で興行収入100億円を突破。これは日本で上映された映画の最速記録で、最終的には興行収入ランキング1位の『千と千尋の神隠し』の308億円を抜くのではないかというほどの勢い。
それを受けてSNSでは、「煉獄さんを『300億の男』にしよう!」と盛り上がっているのです。
▼ちなみに歴代の男たちはコチラ
308億の男『千と千尋の神隠し』ハク
250億の男『君の名は。』瀧くん
196億の男『ハウルの動く城』ハウル
193億の男『もののけ姫』アシタカ
未見の人にとっては、「煉獄さんて誰よ?」だと思いますので、観たら絶対好きになっちゃう煉獄さんをはじめ、『鬼滅の刃』で私が好きなところをお伝えしたいと思います。
とはいえ、アニメ版と映画を観ただけですので、マニアックなネタや熱い想いはディープなファンにおまかせするとして、ほぼ初心者の率直な感想を綴っていきます。
▼劇場版『鬼滅の刃』無限列車編 予告編はこちら
『鬼滅の刃』とは?
『鬼滅の刃』は、少年ジャンプで掲載されていた漫画で、コミックスは22巻まで発売、12月に発売される23巻が最終巻となります。
アニメは26話まであり、そのアニメの続きが今回の劇場版になります。劇場版で描かれるのは、コミックスでいうと7巻~8巻にあたります。
アニメは、AmazonPrimeやNetflix、Huluなど多数のプラットホームで配信されているので、アニメを観てから劇場版を観るのが一番オススメかと。
《ストーリー》公式サイトより
時は大正、日本。炭を売る心優しき少年・炭治郎は、ある日鬼に家族を皆殺しにされてしまう。
さらに唯一生き残った妹の禰豆子は鬼に変貌してしまった。
絶望的な現実に打ちのめされる炭治郎だったが、妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、“鬼狩り”の道を進む決意をする。
人と鬼とが織りなす哀しき兄妹の物語が、今、始まる――!
『鬼滅の刃』のここが好き!:キャラクターがかわいい
『鬼滅の刃』のストーリーをざっくり一言で表すと「鬼退治」の話です……笑
人を喰う鬼がはびこる世界なのですが、いろんな鬼がいて、こいつらみんな超絶強いんです。
で、この鬼をやっつける、その名も《鬼殺隊》という組織があり、鬼VS鬼殺隊のバトルが繰り広げられます。
竈門炭治郎・我妻善逸・嘴平伊之助、この3人は同期の鬼殺隊士で、だいたいいつも一緒に行動しています。
主人公の炭治郎は、とにかく優しくてまっすぐ。そして妹思い。
妹の禰豆子は、鬼の血が傷口から入ったことで鬼化してしまったのだけど、人間の心が残っている特殊な存在なのです。半鬼・半人。
鬼は光に弱いので、禰豆子は木の箱に入れられて、炭治郎がいつも背負ってます。
この設定がもうせつないですよね。鬼に対する復讐心がありながら、禰豆子を元に戻すことができるのも鬼という。
伊之助は、イノシシのかぶり物をして上半身裸でむちゃくちゃな行動ばかり取る。山でイノシシに育てられたので野生的な鋭さがあり、俊敏。炭治郎たちと出会うことで人々の優しさに触れ、人間らしい心を学んでいくんですね。
さらに、実は素顔はシュッとしたイケメンというギャップ。
そして私は、善逸というキャラが好きです。
自分に自信がなくて、ものすごく臆病で、極度の恐怖を感じると眠ってしまい、半覚醒状態になると別人のように強くなるんです。このギャップが面白くて。
さらに、「禰豆子LOVE」なので、禰豆子を守るためにものすごく一生懸命なの。
鬼とのえげつないバトルにハラハラしながらも、彼らのやり取りはコミカルなので、その緩急やギャップが楽しくて。
三人がそれぞれ足りない部分を補い合い、助け合い、個々の能力を引き出して成長していく。打ちのめされても立ち上がる。ここらへんがまさに「少年ジャンプ」的で、ウルウルしちゃうんです。
観ている側も、彼らの言動や苦悩する姿のどこかに共感するポイントがある。これが、老若男女に人気の秘密のひとつかと。
あと、大正モダンな衣装もかわいいよね。これはコスプレしたくなりますわ。
それから、「全集中! 水の呼吸」という炭治郎の決めゼリフ。これも日常生活で使いたくなりますよね……ならない?
『鬼滅の刃』のここが好き!:鬼の哀しみ
さまざまな場所でさまざまな鬼と出会うのですが、この鬼にも哀しい過去や後悔などがあるんです。
鬼も元々は人間で、それぞれの事情で鬼になっているんですね。
こういう、敵役にもやんごとなき理由がある作品って大好きなんですよね~。
これを
『ザ・ロック』あるいは『金田一少年』案件
と命名しております……笑
現実社会でも、理不尽な目にあうと、鬼のように無慈悲に自分勝手になったほうがラク、真面目に生きるほうがバカらしいって思う時がありますよね。
でもみんなギリギリ耐えて、歯を食いしばって生きている。
だからこそ、耐えて耐えて、でももう限界で、鬼の側に行ってしまった人の気持ちも分かる。鬼にも共感してしまうんです。
そこらへんが、今を懸命に生きる大人の心に刺さるのかと思います。
鬼のなかでもランクがあって、大ボスは「鬼舞辻無惨」という鬼なのですが、ものすっっっごく冷酷で、部下の鬼に対しても容赦ないのです。
鬼も大変です……ここらへんは鬼に同情します。
ちなみに鬼は藤の花が苦手なので、藤枝市には現れないと思います……笑
『鬼滅の刃』のここが好き!:少年の心に炎が灯る
さて、ここからは劇場版のお話し。
禰豆子を連れた炭治郎・善逸・伊之助が、短期間で40人以上もの人が行方不明になっているという《無限列車》に向かいます。
そこで、鬼殺隊最強の剣士である《柱》の一人、煉獄杏寿郎と合流し、鬼と戦うことになります。
はい、ようやく来ました「煉獄さん」!
『鬼滅の刃』のアニメーションは動きもなめらかで、映像がとてもキレイなんです。
雪が降る森の中や、闇を抜ける列車など、本当にキレイで。劇場の大画面はさらに大迫力で。
しかし、観たのがレイトショーということもあり、中盤ちょっとウトウト……。
これ、そんなに大絶賛されるほどなのか…と不安になっていたら、終盤の畳み掛けがスゴい!
涙の波状攻撃!
煉獄さん…?
煉獄さん!
煉獄さーーーん
煉獄さん……
炭治郎と一緒に、何種類の「煉獄さん」を心の中で連呼したことか。
煉獄さん、登場シーンではタダのヘンな人だったのに……。
終盤は名言のオンパレード。「全集中」煉獄さんの呼吸ですよ。
先をゆく者が、次の世代へと伝えるべきこと、お手本にすべき生き様が詰まってる。
それから、常識はずれだった伊之助の成長した姿にも注目。泣かせます。
誰でも心の中には、まっすぐな正義をもった少年が眠っていると思うんです。
煉獄さんの言葉と行動は、現実社会で冷めきってしまった少年の心に炎を灯らせ、力を授ける。
「心を燃やせ」
これは何としてでも、煉獄さんを『300億の男』にせねば!と思いますね。
人が成長し強くなるには、悔しさや無念という感情が必要なんだなと感じました。
未知のウイルスという「鬼」と戦い、今を生きる私たちのモヤモヤを滅し、力強いメッセージがスッと沁み込む作品。
ここまで社会現象になるのも納得。
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