【花のあるくらし研究所】毎日新しい花と出合えるサブスクを用意したお花屋さんが2021/3/28(日)に上足洗にオープン
月に何度でも550円の日替わりミニブーケを受け取れる月額2200円のサブスクリプションを提案する「花のあるくらし研究所」。すでに200人の利用者を集め、お店がある葵区を中心にクチコミが広がりつつある。オーナーの中村将史さんにお話をうかがった。
2021/3/28(日)OPEN! ショップ・上足洗「花のあるくらし研究所」
「花のあるくらし研究所」の定額プランで毎日新しい花を愉しむ
「花のあるくらし研究所」には、次々とお客さんが訪れる。花屋の個店としては珍しいのではないだろうか。
通常、花屋というと、母の日や父の日、誕生日、お祝い、発表会のときなどにブーケをお願いしに行ったり、おしゃれな観葉植物を買いたいというときに訪れたりする程度ではないだろうか。駅やスーパーマーケットなど、日常的によく訪れるお店の中に入っていれば、比較的賑わっていることも多いが、郊外の個店でこれだけお客さんが出入りするお店も珍しい。
静岡市内の有名な花屋で、ブーケやブライダルの会場装花などを手がけてきた中村さんがオープンした花屋。「花のあるくらし研究所」という店名の通り、花のある暮らしを提案しているお店で、切り花の販売やブーケ製作、観葉植物、苗も販売しているが、ほかの花屋と異なるのは花のサブスクリプションを用意しているところ。
「花のあるくらし研究生」という月額2200円の定額プランでは、550円で販売しているミニブーケが1日1回、月に何度でもお店で受け取ることができる。つまり、休業日である日曜日以外、毎日ミニブーケを受け取りに行っても2200円というとてもお得なサブスクリプションなのだ。
他に静岡県産のバラが月額3300円で月10回まで受け取れる「バラのあるくらし研究生」もある。申し込みはwebから可能。
個性豊かな花以外に、インテリアとして存在感がある枝ものの植物も用意している。
「もともとは壁紙や床材が貼られていたのですが、一部をのぞいて外してみたら、コンクリートの雰囲気がよかったんです。そこで内装は花が映えるようにシンプルに、そして“研究所”という名前にあうように無機質な実験室のような雰囲気にしました」と話す。
カウンターらしいカウンターはなく、作業テーブルを置いて、ブーケなどを製作しているときはテーブルの椅子に座って、アレンジをみてもらったり、会話を楽しんだりするそうだ。
「花のあるくらし研究所」のオーナー・中村さんが、花に関わるようになったきっかけとは?
オーナーの中村さんは、学生時代、接客の仕事がしたくて居酒屋でアルバイトをしていたそう。しかし、手に職をつけたいと思い、別のアルバイトを探し始める。そんなときに見つけたのが通学途中にあった花屋だった。「最初は花屋でバイトしていたらもてそうと思った程度の軽い気持ちでした」と中村さんは当時を振り返る。
子どもの頃から生き物や土いじりなど、自然と触れ合うのが好きだった中村さん。大学では生物を専攻していたという。「実はひいおばあちゃんがいけばなの先生だったんですが、教えてもらったこともないし、その作品をみたこともありませんでした。でも、もしかしたら花に親近感を感じたのは、そのせいかもしれません」。
花屋で接客や掃除、雑用をするうちに、自然とほかの花屋も気になるようになる。いろいろな花屋を見るうちに出会ったのが、その後長く勤めることになる静岡市内にある「スナゲリーフラワーズ(SNUGGERY flowrs)」の杉山社長だった。「社長との出会いは大きかったですね。社長もスナゲリーフラワーズも魅力的でした。大学では生物学を学んでいましたが、実験ばかりの授業に何か違うなと感じるように。社長との出会いもあり、花屋になろうという気持ちが強くなり、大学は結局退学。スナゲリーフラワーズに就職しました」。
就職後は、花屋での店舗勤務はもちろん、仕入れやフラワーギフトの製作、店舗ディスプレイ、結婚式やお葬式などの会場装花、展示会など、「花ができるすべてのジャンルに携わった」と言えるほど、花の世界にどっぷりと浸った。14、5年ほど勤めたというから、地位もそれなりに築いていたのではと推測できる。そんな中村さんがなぜ独立したのだろうか。
「30歳を過ぎたころから、このまま会社に残るか、それとも独立するか、いろいろ考えるようになりました。考えた末に自分が出した結論は『35歳になったら独立する』ということでした。それまでの仕事に不満があるわけではなかったのですが、異業種交流会でさまざまな人と出会い、話すうちに、チャレンジしてみたいという思いが強くなりました」。
これまでの仕事の引き継ぎ等もあったので、社長には辞める1年半前にそのことを伝えたという。こうして、2020年9月に退職し、「花のあるくらし研究所」を開いた。
「花のあるくらし研究所」でサブスクリプションを始めたのは?
「最近は若い方を中心に“花を触ったことがない”“花の扱い方がわからない”“花はすぐ枯れちゃうので扱いにくい”といって、敬遠されがちになってきました。以前ならお祝いの際にスタンドの花や胡蝶蘭を贈ったりしましたが、最近は贈り物の形も多様化し、花を贈る機会がどんどん減ってきています」と語る中村さん。
花の楽しみ方を広げていかないと、このままでは花がなくなってしまう。そんな危機感も感じているという。これまでの経験を活かし、ブライダルやギフトというジャンルも考えたが、コロナ禍においては先行きが見えない。そこで中村さんが注目したのは、自宅で花を楽しむということだ。
確かに最近、花のサブスクも随分と増えてきた。定期的に郵便ポストに花が届くプランは、比較サイトがあるほど種類豊富だ。コロナ禍で外出があまりできなくなり、家で楽しめることへの需要が高まっている。中村さんも最初はそこに目をつけた。
「『花のあるくらし研究所』を立ち上げましたが、最初は今のように店舗は持っておらず、2020年12月から花を毎月1回配送する定期便というサブスクからスタートしたんです」と中村さんは話す。
5500円と8800円の2種類のプランを用意し、季節のブーケを毎月自宅に配送するというサービスで、2021年7月に終了した。
「申し込みはある程度あったのですが、やはり花を発送すると花のダメージも大きくて。鮮度もよくないし、単価も高くなる。お店にとってもお客さんにとってもあまりいいサービスではないなと思っていました。ちょうど探していた店舗が見つかり、3月28日に実店舗をオープンすることに。そこで今の来店型のサブスクに切り替えることにしました」。
「花のあるくらし研究所」のサブスクの楽しみ方
2021年7月現在では、店舗がある静岡市葵区を中心に約200人のサブスクリプション利用者がおり、新規受付をストップし、キャンセル待ちになるという。遠方でなかなか取りに来れない方向けに、受け取り回数を減らして金額を抑えた、ライトプランを用意する予定だそうだ。さすがに毎日利用する人はそんなにいないというが、それでも1日に50人程度の来店があるという。子どもに花を触れさせたいというお母さんも多く、子連れでの来店も多い。
用意されているミニブーケも一つではなく、時間帯にもよるが2〜4種類ほど用意されており、好きなものを持っていくことができる。
「来店いただけると、花の名前や種類、手入れの仕方について会話ができるので、花の魅力を伝えやすいですね」と話す。
家の各部屋に花瓶を置き、それぞれの部屋で「花のあるくらし」のサブスクの花を飾ったり、大きな花瓶をおいて、少しずつ入れ替えていったり、ドライフラワーにしたりなど、楽しみ方は人それぞれとのこと。
また、簡易的なラッピングがしてあるので、プレゼントにしてもいいし、 55円でリボンをつけたラッピングも可能。このラッピングは再び店舗に持ってきてもらって、リサイクルしているそうだ。
「今はまだ花を雑貨的な感覚で買っていただいていますが、少しずつでもいいから花には命があって、その命を長くさせてあげるためにはどうしたらいいかを広めていけたらなと思っています」。
花を長持ちさせるには、買ってきたあと、水を入れたボウルなどの中で茎を切る“水あげ”という工程を踏むと、花が長持ちするという。そんな花の楽しみ方のコツを教えてくれるワークショップも500円で開催している。
このワークショップの売り上げは、全額、子どもにまつわる施設や福祉施設へのお花のプレゼント代として使うというからすごい。いったいどうやって売り上げを立てているのか心配になってくる。
「確かにサブスクではそんなに利益は生まれませんが、花屋に出入りしてくれることで、花を身近に感じてもらえるようになってきたと思います。サブスクのミニブーケ以外の切り花や観葉植物などに興味を持ってくださる方も増えてきているんですよ」。
「静岡県はバラの産地でもあるので、今後は農家さんとコラボして、バラの刈り取り体験などもできたら」と話す。
季節を感じる花のある暮らしをぜひはじめてみてはどうだろう。
【MENU】
●花のあるくらし研究生……2200円/月
すぐに花瓶に生けられる「日替わりミニブーケ@550円」が、1日1回、月に何度でも受け取れるプラン
※定員に達した場合、新規受付終了。以降、キャンセル待ち
●バラのあるくらし研究生……3300円/月
地元静岡産のバラを使った「ブーケ@660円」が月に10回まで受け取れるプラン
★研究生特典
・店内商品が10%引きに(一部除外商品あり)
・月替わりで開催される「お花のお手入れワークショップ」に500円で参加可能。初回は無料招待!
※ワークショップの売り上げは、全額分をブーケとして、子どもにまつわる施設や福祉施設等にプレゼント
★利用方法
事前にホームページから申し込みをするか、店舗で登録を
「花のあるくらし研究所」の詳細はwomo店舗ページへ
編集部の気になる新店 WOMO編集部が今いちばん気になるニューオープン・リニューアル店をピックアップ。