和菓子職人になるきっかけは、あるフランス料理店でした/アートをするには腹が減る vol.2 菓子屋 静かの海
静岡県に縁のある若手アーティストの作品と、アーティストの思い出のごはん・制作期間中に食べたいごはん、その名もクリエイト飯を紹介する企画「アートをするには腹が減る」。インタビュアーはWOMOの新人デザイナー「おか」。第2回目は、和菓子職人の菓子屋 静かの海さんにお話を伺った。
和菓子職人 菓子屋 静かの海
プロフィール
浜松市出身・在住。
他にはない素材の組み合わせで、和菓子の考えを新しく塗り替え、最新技術と職人技術の組み合わせで斬新な造形を生み出す和菓子職人。
ジャンル:和菓子、上生菓子
趣味:ギターを弾くこと
最近関心のあること:3Dモデリング、カクテル作り
好きな色:浅葱色
静岡県内でお気に入りの場所:東海大学海洋科学博物館
お気に入りの制作場所:菓子工房(12月に完成し、お気に入りの制作場所になる予定)
「菓子屋 静かの海さんこんにちは!以前、ココナッツの和菓子をいただいたことがあるのですが、とってもおいしかったです〜」
「ありがとうございます!嬉しい!今日はどうぞよろしくお願いします」
「最近3Dモデリングに関心があるとのことですが、3Dプリンタがご自宅にあるのですか?」
「はい!3Dプリンタが自宅に2種類あって、細かい造形を表現したいときと大まかな造形を表現したいときで使い分けているんです。『紫陽花』の花びらや、『朝顔』の花などの型を作るのに3Dプリンタを使っています」
「職人技と最新技術の組み合わせですね〜!きれい〜!」
菓子屋 静かの海さんにとってのクリエイト飯は?
「では次に菓子屋 静かの海さんにとってのクリエイト飯をお聞きしたいです!」
「私のクリエイト飯は『ビストロ・ラパン』さんのお料理です!」
「素敵なお料理!磐田市にあるお店なのですね。選ばれた理由は何ですか?」
「ここでは気軽に本格的なフレンチが楽しめます。田んぼが広がる中にぽつんとある小さなフランス料理店で、ほっとできる家庭的な雰囲気とシェフの人柄が魅力です。ここは私が和菓子職人を目指すきっかけになったお店なんですよ」
「そのきっかけって…?」
「高校生のときにここでアルバイトをしていて、デザートの盛り付けを任されたんです。盛り付け方や飾り方ひとつでお皿の上がとても華やかになることや、それがおいしくいただけることに心を打たれ、洋菓子のパティシエを志しました」
「でも今、和菓子職人でいらっしゃるということは…どこかで心境の変化があったのでしょうか?」
「そうなんです!専門学校で和菓子の練り切りなどの上生菓子のことを学んだとき、『ビストロ・ラパン』で感じたお菓子の繊細さや華やかさを思い出して…。練り切りなどの上生菓子には洋菓子よりもさらに見た目に具体的な意味やメッセージ性があることに感銘を受けて、今のような和菓子職人を目指すようになりました。
『ビストロ・ラパン』は本当に素敵なお店です。岡本さんもぜひ一度行ってみてくださいね!」
「田んぼの中で四季折々の風景を楽しみながら味わうフレンチ…時間を忘れてゆったりと過ごせそうですね!」
ビストロ・ラパン
住所:磐田市万正寺251-1
TEL:0538-37-2828
定休日:火曜の夜、水曜
営業時間:月曜・火曜・木〜日曜11:00〜15:00(L.O.14:00)、月曜・木〜日曜17:00〜22:00(L.O.21:00)
菓子屋 静かの海さんの作品について
「『静かの海』の中に入っている2つの白い四角星は、上南羹という羊羹でできています。友人に作ってもらったオリジナルの型で作りました。砂糖はてんさい糖を使用しているため素朴な味わいで、豆の風味を生かした和菓子に仕上げています。羊羹と色の違う錦玉を重ね、銀箔を浮遊させて宇宙の果てしなさを表現しました」
「『結』は、オレンジピール入りのガナッシュ餡をきんとん餡で包み込み、飾り結びをあしらいました。固く結ばれた縁、 魔除け、 お守りのイメージです。『白妙』は、てんさい糖と糸寒天で作った錦玉羹にジンとマラスキーノというリキュールで華やかな香りをつけました。底に道明寺粉を沈ませて、ウェディングドレスの引き裾を表現しています。『bouquet』は、ショコラの練り切りで『寛容・ 一途な愛情』という花言葉がある白い紫陽花のブーケを表しました」
「どれも宝石みたいで美しいです。『静かな海』は透き通った部分の重なりが幻想的ですね!ウェディングギフトの和菓子は、それぞれのコンセプトがつながりや結婚を意味するもので構成されていて、素敵だと思います。制作する上で特にこだわっている点もお伺いしたいです」
「はい!こだわりは大きく3つあります。1つ目は、美しさだけでなく、おいしさを追求すること。和菓子はアート性がありますが、あくまで食べ物。とことん味にもこだわっています。
2つ目は、シンプルな美しさの追求。 作り込みすぎず、素材を生かした表現を大切にしています。
3つ目は、さまざまなシーンで選んでもらえる和菓子をつくること。朝にコーヒーを淹れる何気ない時間や晩酌など、ゆったりと過ごす時間は人によって違いますよね。自分の生み出す和菓子がどんなシーンにも寄り添えるように、お茶だけでなくコーヒーやお酒と合わせてもおいしいものを作っています」
「今まではお茶と一緒にいただくイメージがあった和菓子ですが、気軽に和菓子の世界に触れてみるきっかけになりそうですね。今日は素敵なお話、ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
これからの活動にも目が離せない!
「菓子屋 静かの海さんの作る和菓子は、斬新な造形で今までの和菓子のイメージを覆すほどの美しさが感じられます。販売は年に数回しかないので、気になった方はぜひチェックしてみてください。お酒に合うお菓子もあるので、晩酌のお供にもおすすめです」
販売予定
商品名:静かの海 上生菓子セット/ウェディングギフト
内容:bouquet-紫陽花 (季節の御花)・白妙・結
販売時期:12月中旬ごろ
価格:1500円