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【第六回】現代の茶屋の偉大さを実感

1日目 日本橋~鮫洲 ④

「コマ切れ東海道あるき旅」連載一覧

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womoライターで寄り道担当の妻【こしあん】と、下調べと三脚担当の夫【つぶあん】。「あんこは、こしあんかつぶあんか」のような、ある意味どうでもいいけれど永遠のテーマを時おり議論しながら、東海道五十三次を“コマ切れ”で歩きます。お供は磐田市イメージキャラクター「しっぺい」です。日頃まったく運動せず、極度の面倒くさがりである二人が、どこまで頑張れるか、どうぞ笑いながら見守ってください。(筆者:つぶとこし)

第六回 現代の茶屋の偉大さを実感


寒さと疲れによるダメージで「もう、帰りたい……」と泣きそうになっていた時、唐突に現れた日比谷神社。

▲妙に新しく近代的ですが、由緒はあるようで、平成21年に今の場所に移ってきたとか


ちょっとだけ気分が和らぎ、元気づけられました。街道沿いに、神社仏閣が多いのは、こういう理由もあるんでしょうね。
そんなヤル気をくじくように
「足痛めた、もう歩けない、川崎なんて無理」
と言い出す、つぶあん。
えーーー、マジですかーーー!!!
私だって痛いっすよ。何、弱音吐いてんすか。
まだ品川にも着いていないというのに……。
だからさっき、休憩しようって言ったのに、自分が道の向こうに渡りたくないって言ったんじゃんかーーー!!!
と、心の中は怒りでいっぱいになるも、それを口に出すともっと面倒くさいことになるので、「とりあえず、次の駅の大門付近にはカフェとかいっぱいあるはずだから休憩しよう」と冷静に対応しました(-_-;)
暗い気分で、何ひとつ面白みのないビジネス街をひたすら歩くこと15分。都営浅草線大門駅付近に到着。
ドトールだ、ドトールがあるぞ~
ありがとう、鳥羽博道!(←ドトールコーヒーの創業者です)
ドトールコーヒーの存在をこんなにもありがたく感じたのは生まれて初めてです! 嬉しくて嬉しくてふるえる……。も、もちろん日頃もお世話になってますよ。

▲まるで後光が差しているかのように輝いて見える店舗


行きの高速バスの中で朝ごはんを食べたというのに、もうお腹がすいているので、モーニングセットを注文。
温かい……座れる……あぁ、生き返るうぅぅ。
疲れ切って動けず、「この企画、もうやめちゃおっかなぁ」という思いが一瞬よぎります(>_<)

つぶあんはどうやら足首を痛めたようで、協議の結果、今日は川崎宿は諦めて、とりあえず品川宿までは頑張ることにしました。
ここから品川まではJRの駅でいうと2駅なので、なんとか行けるはず……たぶん……。
私は頭痛がするので鎮痛剤を飲む。なんでこんな思いをしてまで、こんな大変なことをやっているのだろうかと、ちょっと後悔する(~_~;)
早起きしたことで眠気もおそってくるし、居心地のいいこの場所を離れてまた歩かなくちゃいけないのかぁという思いが邪魔をし、なかなか席を立つことができず、グズグズと40分が経過。
疲れすぎる前にこまめに休憩を取ることが大事だなぁと実感しました。疲れ切った後の休憩では回復速度が遅いのです。


江戸時代の街道沿いにはたくさんの茶屋があり、賑わっていました。現代の茶屋は、カフェやファーストフード店のほか、最近ではコンビニにもイートインコーナーがあったりするので、こういう旅にはとてもありがたい存在です。
街道歩きで一番不安なのはトイレ問題!
事前に街道沿いのトイレの場所はある程度調べておくこと、何よりもコレ、大事。疲れると思考能力が落ちるし、トイレが見つからない不安感は相当なストレスになります(>_<)
コンビニは本当に助かります!!!

さて、いい加減、そろそろ出発しましょうかね。
休憩を十分にとったことと、川崎を諦める決断をしたことで気持ちも楽になりました。

負けないこと、投げ出さないこと
逃げ出さないこと、信じ抜くこと
この気持ちはもちろん大事。でも、心に余白がない時は
完璧にならないこと、気負いすぎないこと
一旦逃げること、余計なプライドは捨てること

これが大事だなぁと思いました。
江戸時代は「お江戸日本橋七つ立ち」と歌われ、「七つ」=およそ午前4時に出発し、日が暮れる前に宿屋に着くよう歩いていたそうです。平均すると一日約10里(39km)も歩いていたとのことですが、当時だってそんなアスリートみたいな人ばかりではなく、私たちのような【のんびりさん】もいましたよ、きっと!


この道の先に、徳川将軍家の菩提寺「増上寺」がありますが、今の状況ではそこまで歩くのはつらいので、今回立ち寄るのはスルーさせていただき、代わりと言っては何ですが、明治中期の増上寺の写真を……。

▲長崎大学付属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベースより


参考

http://sepia.lb.nagasaki-u.ac.jp/zoom/jp/record.php?id=1016


この界隈は高校時代に3年間通った、とても思い出深い場所。
こしあんにとって、この風景はザ・青春なのであります。
もう20年以上も前のことなので、お店はいろいろと変わっていましたが、街が持つ雰囲気や風景は変わっておらず、懐かしスイッチをグイグイと押されました。
そんな思い出エネルギーが注入されて元気復活、東京タワー(と増上寺)に見送られながら、再びスタートです。
最初の宿場町・品川宿までは、なんとか頑張って辿り着くぞ~。


つづく

【つぶとこしがこれまで歩いたルート】

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更新日:2016/10/3
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つぶとこしの『コマ切れ東海道あるき旅』 文章担当の妻【こしあん】と写真担当の夫【つぶあん】。日頃まったく運動せず、極度の面倒くさがりである二人が、東海道五十三次を“コマ切れ”でゆるゆると歩きます。

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