子どもの歯ならびを考える。「いい呼吸といい寝相でいい歯ならびに!」
これまで3回にわたり、“歯医者さんに聞きました”シリーズのコラムで読者の「こどもの歯」に関するギモンに答えていただいた、ふじみ歯なら びクリニックの高橋先生。今回は今までのお話も踏まえ、子どもの歯ならびを考える上で、日常生活から改善できる重要なポイントや、知っておきたいことを教えていただきました。
口呼吸は酸欠のもと!
「酸素」は、勉強するときも、運動するときも、食べたものを消化するときも、どんなときも、体がうまく働くために必ず必要です。「水」は数十分飲まなくてもガマンできますが、呼吸は数十分もガマンできませんよね?「水」も生きていく上で欠かせないものですが、「酸素」はそれ以上に大切なものだということです。
短時間でも口で呼吸をしていると、鼻で呼吸をするよりも体に入ってくる酸素の量が少なくなり、体が酸欠状態になってしまいます。体の酸欠は、エネルギー不足をひき起こし、さらには全身の病気のもとにもなります。睡眠不足やアレルギーの原因になったり、脳の機能低下にもつながったりするため、性格や学習・スポーツの成績に悪い影響がでる可能性もあります。
呼吸は歯ならびにも影響する
そして、呼吸の仕方は歯ならびにも影響を与えます。
鼻呼吸のときは、唇はしっかり閉じていて、舌は上あごの内側にくっついています。この唇と舌の正しいバランスが、良い歯ならび、良いかみ合わせを作ります。
反対に、口呼吸のときは、唇が開いていて、舌が下がり、唇と舌が悪いバランスになっています。この習慣が、悪い歯ならび、悪いかみ合わせの原因になるのです。
起きているときは意識して口を閉じていても、夜寝ているときに口が開いていたり、いびきをかいていたら、口呼吸の習慣になっているので注意が必要です。
また、寝ている時に、あごが枕や布団に当たっていると、頭の重さで、あごの成長が悪くなったり、歯が内側に押されて歯ならびや、かみ合わせが悪くなります。横向き寝や、うつぶせ寝は要注意です!なるべく仰向けで寝るように心がけましょう。
今ある歯やこれから生えてくる歯というのは、歯の外側にある唇やほっぺたの筋肉と、内側の舌の筋肉のバランスのとれたところに並びます。
そのため、口呼吸や悪い寝相によって、口の周りの筋肉のバランスがくずれることで、歯ならびが悪くなることがあるのです。歯ならびが悪くなる原因は遺伝だけではないのですよ!
子どもの頃からの良い習慣で良い歯ならびに
呼吸や寝相の他にも、日常生活で口の周りの筋肉のバランスを良くする習慣をつけることは、歯ならびやかみ合わせを良くすることにつながります。
◆例えば、こんなことに注意してみてください。
●哺乳瓶の乳首から吸うのと、おっぱいから吸うのでは必要な口の周りの筋肉の力が全く違います。おっぱいをしっかりと吸う力が、お子さんの唇やほっぺたの筋肉をきたえることにつながります。
●離乳食をスプーンであげる時は、まず下唇にスプーンを置いて、お子さんの上唇が閉じるのを待ちましょう。急いで上あごにこすりつけたり、舌の上に放り込んだりしてしまうと、唇を閉じるのに大切な筋肉をきたえることができなくなってしまいます。離乳食はあせらずにあげてみてください。
●ストローで飲むときは、飲み口を舌の上までもっていかず、唇と前歯の間でくわえるように習慣づけましょう。唇や舌の筋肉を正しく使うためには、飲み口が唇と前歯の間にあるのが正しい位置です。ストローの付いたマグカップを使う時は、ストローの長さを少しずつ短くして使いましょう。ストローを噛んでしまう場合も、長すぎるということです。また、コップを使うと、唇や舌の筋肉を正しく使うトレーニングになるので積極的に使ってみましょう。筋肉が鍛えられることで、ストローも正しく使えるようになりますよ。
●食事中に水分で食べ物を流しこんでしまうと、噛む回数が減り、筋肉をきたえることができないので、食事と水分は別々にとりましょう。
●食事中に足がブラブラしていると、踏ん張ることができず噛む筋肉をうまくきたえることができないので、足の着く高さのイスに座るか、足の下に新聞や雑誌の束を置いて、足が着いた状態で食事をしましょう。
●寝ている時、無意識に口が開いていると、口呼吸になってしまい、睡眠が深くならないので、いくら長く寝ても充分にリフレッシュできません。そんな時は、口に“サージカルテープ(包帯を留める時などに使うもの)を縦に軽く貼って”寝かせてみましょう。寝ている間に勝手に口が開かないようにするためです。「テープを貼って寝たら窒息しちゃうのでは?」と心配になった人は、起きている時に試しに貼ってみてください。ちゃんと呼吸できますよね?
(注:テープは刺激の少ないサージカルテープを推奨していますが、肌に合わない場合はご使用をお止めください。また、息ができるよう縦方向に軽く貼ってご使用ください。)
「あいうべ体操」で筋肉をきたえよう!
最後に、どんな時も鼻呼吸になるためのお口の周りの筋肉の体操「あいうべ体操」を紹介します。やり方はとっても簡単です。
「あ〜」と大きく口を開けて、「い〜」と口を横に広げて、「う〜」と唇を思い切りとがらせて、「べ〜」と舌をおもいきり前に出すだけです。この「あいうべ体操」を1日30回、毎日繰り返すと、唇を閉じる筋肉と舌を持ち上げる筋肉のトレーニングになって、鼻呼吸がしやすくなります。今日からぜひ家族みんなでやってみてくださいね。ゆっくりと、おもいきり、おおげさに動かすのがポイントですよ。
◆「あいうべ体操」はこんなことに効果があります。
・アレルギー性疾患(アトピー、喘息、花粉症、鼻炎)
・膠原病(関節リウマチ、エリテマトーデス、筋炎、シェーグレン)
・うつ病、うつ状態、パニック障害、全身倦怠
・腸疾患(胃炎、大腸炎、便秘、痔)
・歯科(歯周炎、ドライマウス、顎関節症、虫歯、歯列不正)
・その他(いびき、尋常性乾癬、高血圧、腎臓病、風邪など)
ここに上げた病気は口呼吸が根本的な原因だということですね。
鼻呼吸になって良い歯ならびを手に入れるだけでなく、将来病気にならない体づくりをしましょう。
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◇ふじみ歯ならびクリニックのコラム
第1回「虫歯はうつるって本当?虫歯知らずの子育て法」
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第2回「おしゃぶりは歯ならびに影響するの?~年齢別おしゃぶりの影響~」
https://womo.jp/column/detail/6041/