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【第二十回】ナニコレ珍百景in保土ヶ谷

4日目 新子安~保土ヶ谷 ③

寄り道と文章担当の妻【こしあん】と、下調べと写真担当の夫【つぶあん】。
「あんこは、こしあんかつぶあんか」のような、ある意味どうでもいいけれど永遠のテーマを時おり議論しながら、東海道五十三次を“コマ切れ”で歩きます。お供は磐田市イメージキャラクター「しっぺい」です。
日頃まったく運動せず、極度の面倒くさがりである二人が、どこまで頑張れるか、どうぞ笑いながら見守ってください。(筆者:つぶとこし)

「コマ切れ東海道あるき旅」連載一覧

第二十回 ナニコレ珍百景in保土ヶ谷

前回のコラムからだいぶ間があき、新しい年も明けてしまいました。今年もゆるゆるとした歩みになりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、ここは横浜市保土ヶ谷の「洪福寺松原商店街」。“横浜のアメ横”との異名をもつ、とっても賑やかな商店街です。


「洪福寺松原商店街」

なんだこの市場みたいな楽しい雰囲気は~!
しかも、オシャレなヨーロッパの“マルシェ”とかじゃなく、昭和ムード満点の市場みたいな商店街です。こういう場所、落ち着くわ~。人混みは苦手だけど、こういう賑わいは嫌いじゃないのよね、なぜか。
子どもの頃、近所にあった商店街の、お肉屋さんの揚げたてコロッケとか、個人経営の手作りハンバーガー屋さんとか、たばこ屋さんの店先に座ってるおじいさんと、そっくりの飼い犬とか、一瞬にして懐かしい思い出が駆け巡りました。
お値段も激安!! 本当はいろいろ買いたかったけれど、これ以上荷物が増えるとますます歩けなくなってしまうので、泣く泣く断念。

こんな商店街、近所にほしいわ~。タイクツな日常生活が楽しくなりそう。
歩いてるだけで楽しいーーー。クタクタだけどーーー。

お茶屋さんの店先でソフトクリームを売っていたので、休憩がてらカブリつく。うまい……疲れ切った体にしみる……。そして、ふらふらで思考能力が低下しているので、写真撮るのも忘れてがっついてしまったよ……。仕方ないので、いただいたお茶の写真を。さすがお茶屋さん、美味しゅうございます。


ソフトクリームをなめながら、ふと店の向かい側を見ると、なにやら『ナニコレ珍百景』的な光景が!


♪テンテンテンテンテンテンテーーーンテーーーン♪


八百屋さんの屋根の上にダンボール!?

地元ではおなじみの光景のようで、ダンボールをたたむヒマがないほど忙しく、スペースもないので、こういうスタイルになったとか。片付けるときは、トラックを横付けにして一気に落とすそうです。
ワイルドだな! いいぞ、いいぞ。素晴らしい~。

ひたすら歩くだけのツライ旅では、ちょっとでも面白い光景を見るだけで、疲れも吹き飛びます。


一本の通りだけでなく、横道までのびる商店街。別の日に改めて、ゆっくり訪れてみたいです。
看板の『やすさ、来やすさ』のキャッチコピーもたまらん。

国道16号を渡ると、ここからは「天王町商店街」になります。「洪福寺松原商店街」とはガラっと変わり、おとなしめの普通の商店街です。この商店街の途中に保土ヶ谷宿の江戸方見附跡があります。見附とは宿場の出入口のことなので、ここが江戸寄りの保土ヶ谷宿の入口ということですね。
商店街に神社があるのもいいですね~。


帷子(かたびら)橋を渡ると、相鉄線の天王町駅があります。ガード下をくぐった先に、「旧帷子橋跡」が整備されていて、ちょっとした公園のようになっています。


帷子橋は、広重の絵にも描かれています。


保土ヶ谷宿は日本橋から8里(約32km)、当時の人々にとっては少し早い宿になるけれど、この先にある難所「権太坂」に備えて、ここを一泊目とする人も多かったそうです。
弥次さん喜多さんの珍道中『東海道中膝栗毛』でも、保土ヶ谷宿と次の戸塚宿で、泊まり客を取り合う様子が描かれています。


ここからJR保土ヶ谷駅まで約500m。しかし今の私たちには、たったこれだけの距離でも歩くのがキツイ……。なんとか最後の力をふりしぼって、よろよろと保土ヶ谷駅に到着。

ひとまず、本日のゴールはここで。
さらにまた電車で横浜駅まで行き、高速バスで静岡へ……。あぁぁ、ぐったり。

今回は、新子安~保土ヶ谷の約7.5km、休憩を含み約4時間の旅でした。

次はいよいよ、江戸を出て最初の難所、箱根駅伝でも有名な「権太坂」が待っています。かつては、ここで命を落とす人も多かったという、長く険しい坂。
とりあえず、次回の旅までに、体重を落として負荷を少しでも減らさねば……と思いつつ、食欲の秋が止まらないのである。


つづく

【つぶとこしがこれまで歩いたルート】

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更新日:2017/1/10
コラムシリーズイメージ

つぶとこしの『コマ切れ東海道あるき旅』 文章担当の妻【こしあん】と写真担当の夫【つぶあん】。日頃まったく運動せず、極度の面倒くさがりである二人が、東海道五十三次を“コマ切れ”でゆるゆると歩きます。

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