【man's Vision】株式会社天神屋野尻祟生さん（左）、株式会社花城ミートサプライ花城明伸さん（右）

今話題の仕事人を紹介する『man's Vision』。womo12月号掲載の男性をご紹介

株式会社天神屋　野尻祟生さん（左）

静岡市出身。大学卒業後、株式会社天神屋に入社。31歳で商品開発本部に配属される。スピード感のある企画・開発が評価され、2015年、36歳の若さで取締役に就任。以来、美味しさを追求したメニュー開発を進める。2017年から、静岡産の食材のみを使った「しずおかおせち」を開発、販売している。

株式会社花城ミートサプライ　花城明伸さん（右）

株式会社花城ミートサプライ代表取締役。大学時代、帰省した際に父親が営む食肉卸業を手伝い、家業に興味を持つ。その後、食肉の専門学校、東京芝浦の牛肉専門市場での勤務を経て、29歳で花城食肉御（現・花城ミートサプライ）に入社。以来、先代が築き上げてきた生産者との絆を大切にした事業を営む。

ふたりのプロがタッグを組んで美味しい「しずおか和牛」を食卓へ届ける

誰もやらないなら自分がやる。採算度外視の企画で勝負！

静岡県産の良質なブランド牛、「しずおか和牛」。今、その普及のために、採算度外視で立ち上がった人物がいる。30代にして天神屋の取締役に就任、商品開発部を率いる野尻崇生さんだ。「昨年のブランド誕生時は、複数の飲食店や総菜店でフェアを行いましたが、その後トーンダウンしている。本当に美味しい牛肉だから、もっと認知してもらえるよう、誰かが先頭に立ってPRしなきゃダメだと思ったんです」野尻さんのすごいところは、思いついたことを人まかせにしない行動力。自ら企画をまとめると、県の担当部署に掛け合った。創業から64年の天神屋は、県内に27店舗を持つ。この全店でキャンペーンを張るというのだ。「しずおか和牛を使った『すきやき重（仮）』を商品化しました。そして、天神屋にしかできない、インパクトのある企画として、しずおか和牛一頭分の希少部位ローストビーフ詰め合わせを、抽選で1名様にプレゼントします！」この『すきやき重（仮）』の味に太鼓判を押すのは、静岡県内の畜産農家の信頼も厚い食肉卸業者、花城ミートサプライの代表取締役、花城明伸さん。一頭買いした牛を自ら割く食肉卸のスペシャリストが、確かな目利きで最高品質のしずおか和牛を天神屋に提供する。「しずおか和牛独特の甘い脂が、すきやきにすることでさらに引き立ち、肉が持つ旨みも味わい尽くせます。しかも、店頭調理なので、できたてが並ぶ。肉好きにはたまらない味ですよ」

花城さんは、野尻さんからのオファーを、格別の思いで受け止めている。「子どもの頃から、天神屋のおむすびを食べて育った。自分が扱う肉を天神屋さんに卸したいと思い続け、念願が叶いました。生産農家さんにも、一軒一軒報告に行きます。自分が育てた牛が天神屋さんのお弁当になったと、みなさん喜んでくれますよ。それだけ天神屋さんは、静岡では特別な存在。加えて、野尻さんという若い力が天神屋の新しいイメージを創っているんです」

会社の枠を超えて結集する“チーム野尻”のメンバー

静岡の若い人に本物の味を伝えたいと、地元の優れた食材で商品開発を手がける天神屋。地産地消という言葉がなかった時代から、“目に見える商品を仕入れ、目に見える人に売る”をモットーに、静岡産の和牛を地元に卸していた花城ミートサプライ。この夢のコラボレーションの実現は、多くの協力者のおかげだと野尻さんは言う。「試作を繰り返して納得の味に仕上げてくれる製造工場、インパクトを追求してくれるパッケージの会社。短い準備期間でここまでできたのは、それぞれのプロのみなさんのアイデアと瞬発力があってこそなんです」野尻崇生という男は、実行力はあるが決してスタンドプレーではないのだ。「静岡の肉好き女子のみなさん、最高級のしずおか和牛を、『すきやき重（仮）』でぜひ味わってくださいね！」